3 Minutes NetWorking
No.4

3MinutesNetWorking

第4回ネットワーク・モデル

■ ネットワーク・モデルが必要なわけ

インター博士

さて、前回プロトコルというものを説明したな。

ネット助手

通信で使われるルールでしたっけ。

インター博士

そうだ。
同じルールを使っているデバイス同士は通信できる。インターネットだと、TCP/IPというプロトコルを使って、世界中を接続できるようにしているわけだ。

ネット助手

会話をする時に、同じ言語を使って喋るようなものですよね。

インター博士

うむ。ちゃんと前回の事を覚えているようだな。
通信には、プロトコルの他にも使用する機器についてや、ケーブルを流れる信号について、データの表現方法についてなど様々な規格が存在する。

ネット助手

へ〜。

インター博士

統一した規格が必要な理由はわかるな?

ネット助手

規格に合わせて作れば、相互に通信が行えるからですね。
そうしないと、ネットワークの利点である「リソースの共有」が行えない、と。ウラー!

インター博士

ロ…ロシア人?

ネット助手

ハラショー!

インター博士

いや、それはもういいから。
昔から統一した規格があってそれに皆が従っていたわけではない。メーカで独自の規格を作り出し、異なるメーカの製品間では通信できないことが多かった。

ネット助手

へぇ。なんか不思議な感じですね。例えばNECと富士通のパソコン同士が通信できないなんて。
同じパソコンなのに。

インター博士

うむ。だが、企業の業務が拡大するにつれ、この制約があまりにも大きくなってきたのだ。
「なんてことだ、我が社と銀行で相互通信ができないなんて!スピード第一の商売で負けてしまう!! それに不便すぎるっ!!」

ネット助手

なるほど。
それこそ、商売敵が通信できたら致命的ですね。

インター博士

だろう。なので、統一した規格が必要だ、ということになったのだ。
そこで考え出されたのが、ネットワーク・モデルだ。

ネット助手

ねっとわーく・もでる?

インター博士

そう、モデルだ。
ベンダは、他ベンダと相互通信可能にするためにこのモデルに従う。だが、モデルはモデルでしかない。

ネット助手

インター博士

つまり。例えば、画家が何人か集まって、お姉ちゃんの絵を描いたとする。この場合、お姉ちゃんのことを「モデル」というよな。
さて、この画家たちは全く同じ絵を描くだろうか?

ネット助手

同じ絵ってわけじゃないでしょうね。
人それぞれの画風ってのがあるでしょうし。

インター博士

そうだな。同じものを見て、同じものを表現したはずなのに違う。画家の特色がでるわけだ。
では、その画家の色が出た絵は、それぞれ違うモデルを描いたように見えてしまうのだろうか?

ネット助手

いや、そんなことはないと思いますよ。
同じモデルを描いているんだし。

インター博士

うむ、そうだろう。で、これをネットワーク・モデルに当てはめてみると。
ベンダ達は、「相互通信可能なネットワーク」という「モデル」を題材に、「製品」という「絵」を描く、というわけだ。

ネット助手

つまり、ベンダが作った製品は違うように見えても、実は似ている?

インター博士

というよりも、異なるベンダとの相互通信を行うための、最低限の部分は同じにしてある、と言うべきかな。
これが、ネットワーク・モデルの考え方だ。

ネット助手

なるほど。で、誰が作ったんです?

インター博士

ISOだ。▼ link

ネット助手

いそ?

インター博士

もしくは、アイソと読む。単にアイ・エス・オーでもいいが。
ここが作ったモデルを、OSI参照モデルという。

■ OSI参照モデル

ネット助手

おーえすあい参照もでる?
ISOが作ったOSI…、間違えそうだ

インター博士

間違えるな。
これはすごく重要な事だからな。間違えたら殺す

ネット助手

殺すって…
(ヤバい、目がマジだ…)

インター博士

実際は、他にもモデルはいくつか存在するが、このOSI参照モデルが現在の主流だ。
ほとんどのベンダがこのモデルを使用している。

ネット助手

なるほど、それは重要そうですね。

インター博士

このモデルをろくに説明できん奴が、ネットワークがどうだとか、インターネットが、とか。回線状況がどうで、Linuxでサーバをたてたからどうとか…。 一度死ね!! いや、俺が()る!!

ネット助手

あ、あの。博士…?

インター博士

…、ああ、すまん。何かが乗り移っていたみたいだ。
それはそれとして、このOSI参照モデルには特徴がある。

ネット助手

(なんだったんだろう?)
どんな特徴ですか?

■ OSI参照モデル・例え話

インター博士

うむ。簡単な例でいえば、そうだな手紙にしよう。相手に手紙で意思を伝えたいと思った。
それにはいくつかの手順が必要だな?

ネット助手

手紙を書いて、ポストに出す?

インター博士

それだけか?
まず、内容を考える。何語で書くか決める。

ネット助手

そんな所まで?

インター博士

そうだ。
内容を書く、封筒に入れる、宛名を書く、切手を貼る、ポストに出す。

ネット助手

すると次は。
郵便局員がポストから回収する、郵便局へ運ぶ、仕分けする、相手側の郵便局まで運ぶ…。

インター博士

いいぞ、ネット君。その通りだ。このように通信には段階がある。
大雑把にわけると、「内容」「表現」「伝送物」「伝送」となるかな。

ネット助手

内容を決めるが「内容」。
何語で書く、内容を書くが「表現」ですか?

インター博士

そうなるな。「伝送物」は便箋・封筒になるな。「伝送方法」はポスト・郵便局員・郵便トラックになる。
そして、これらにはそれぞれ別のルールが必要だよな?

ネット助手

そうなりますね。
手紙の書き方と、配達の仕方が同じルールなわけないですもんね。

インター博士

そうだ。段階に応じて、それぞれルールが必要になる。
つまり図にするとこんな感じだ。そして、この段階は上から順に行われる。

段階行うこと・するものルール
内容伝えたい事を考える明瞭に・簡潔に。
表現手紙に書く相手がわかる言葉で。文語文にする。
伝送物便箋・封筒・宛名定型の便箋・封筒。切手や宛名の書き方
伝送郵便局員・郵便トラック宛先までの道を決定する

[Table04-01:通信の段階]

ネット助手

ははぁ。確かに段階に応じて、それぞれの役割にあったルールがありますよね。

■ OSI参照モデル・7つの層

インター博士

実際のOSI参照モデルでは、以下の7段階で、それぞれ名前がついている。

第7層アプリケーション層Application Layer
第6層プレゼンテーション層Presentation Layer
第5層セション層Session Layer
第4層トランスポート層Transport Layer
第3層ネットワーク層Network Layer
第2層データリンク層Data-Link Layer
第1層物理層Physical Layer

[Table04-02:OSI参照モデル7階層]

インター博士

それぞれの段階を層(レイヤ)と呼ぶ。
さきほどの手紙の例と同じように、それぞれの層でルールがあり、上から順番に下っていって、通信の手順を整えていく形になる。

ネット助手

は〜。
7つもあるんですかぁ。

インター博士

そうだ。
この名前と順番は死んでも覚えろ

ネット助手

やだなぁ、死んだら覚えられませんよ。

インター博士

そうか?

ネット助手

そりゃそうですよ。

インター博士

試してみたか?

ネット助手

試してみたかって、何を言って…。

インター博士

(ニヤリ)

ネット助手

さささ、3分間ネットワーキングでした〜!!

ベンダ
[vendor]
ハードウェア・ソフトウェアの製品の販売に対して、製品に責任を持つメーカもしくは販売会社。製造メーカの意でとられることが多い。
ISO
[International Organization for Standardization]
国際標準化機関
工業分野での標準化と規格統一を目指す国際機関。
ネットワークやコンピュータだけの標準化機関でなく、品質管理規格のISO9000シリーズや、環境保全管理のISO14000シリーズが有名。
何故「IOS」ではないかといえば、「ISO」が英語の略称ではないため(らしい)。
OSI参照モデル
[Open Systems Interconnection Reference Model]
開放型システム間相互接続参照モデル。
1984年リリース。
何かが
…。
いや、僕は…違うですよ?
層(レイヤ)
[layer]
層・階層の意。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • 異なるベンダ間で相互通信するために「ネットワーク・モデル」という統一規格がある。
  • 現在つかわれているのは「OSI参照モデル」。
  • OSI参照モデルの7階層の名前と順番は重要なので覚えよう。

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管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp