30 Minutes NetWorking
No.RT04

30Minutes NetWorking

BSCI

第4回その他のアドレス拡張技術

■ IPv6?

ハイパーネット助手

IPアドレスの枯渇まであと357日、はいいんですけど、質問があります。博士。

スーパーインター博士

いいたい事言っといて、何かね?

ハイパーネット助手

IPアドレス枯渇問題の大本命と言えばIPv6ですけれど、それはやらないんですか?

スーパーインター博士

あ〜、IPv6な。うんうん。

ハイパーネット助手

で、どうなんですか?

スーパーインター博士

CCNPでも出るとはいわれているが…。
ま、いずれやろう。いずれな。

ハイパーネット助手

いずれッスか。

■ unnumbered

スーパーインター博士

今回は、2つのことをやろう。
1つIPアドレスの節約技術。もう1つはIPアドレスの拡張技術だ。

ハイパーネット助手

2つもですか。

スーパーインター博士

うむ、まず1つ目は。
ネット君。VLSMのところでやったように、ルータ間ネットワークにもネットワークアドレスが必要だったな。

ハイパーネット助手

そうですね。
ルータのインタフェースにはIPアドレスが必要ですから、必然的にそうなりますよね。こんな感じに。

ルータ間ネットワーク

[FigureRT04-01:ルータ間ネットワーク]

スーパーインター博士

無駄じゃないか?

ハイパーネット助手

やけにはっきりいいますね。
でも、VLSMを使えば、それほど無駄にならないじゃないですか。

スーパーインター博士

確かにVLSMを使えば無駄は減る。
だがな、右のルータにしてみれば、シリアル1から送信されるデータはどうあっても左のルータのシリアル0につくのだ。わざわざ個別のアドレスを割り振るなんて無駄じゃないか。

ハイパーネット助手

確かに、そうですけど。

スーパーインター博士

だから、アドレスをわりふらない。
かわりに、同じルータ違うインタフェースのアドレスを仮にあたえる。下図をみてくれ。

アンナンバード

[FigureRT04-02:アンナンバード]

スーパーインター博士

この場合、左のルータのシリアル0には、イーサ0の210.18.136.2/24を。
右のルータのシリアル1にはイーサ0の208.120.58.1/24を仮にあたえたわけだ。

ハイパーネット助手

はぁ。

スーパーインター博士

例えば210.18.136.0/24ネットワークで208.120.58.3宛てのパケットが発生したとする。
そうすると左のルータのイーサ0がそのパケットを受け取り。ルーティングし、シリアル0から送信する。

ハイパーネット助手

左のルータのシリアル0から送られてきたら、右のルータのシリアル1が受け取りますね。

スーパーインター博士

そうだ。そしてイーサ0から送信して、宛先に届く。
IPを別個に与えられていた場合と、仮に与えられていた場合。まったく変わりない。

ハイパーネット助手

は〜。なるほど。

スーパーインター博士

つまり、この2つのルータを1つのルータとして運用する方法だ。
下図のようになる。

アンナンバード

[FigureRT04-03:アンナンバード・概念]

スーパーインター博士

ちょっと変な感じだが、左のイーサ0からのパケットを直接右のイーサ0にスイッチングしてると同じ事をやってるわけだからな。
このようにIPアドレスを割り振らない方式をunnumberedという。

ハイパーネット助手

は〜。

スーパーインター博士

これはポイントツーポイントでのルータ接続で使用される。ちなみにCiscoIOSでのコマンドは以下の通り。
今回は例としてさっき使った図の左側のルータのシリアル0をunnumberedにする。

  • Router(config)#interface serial 0
  • Router(config-if)#ip unnumbered ethernet 0
ハイパーネット助手

ふ〜ん。いつものip addressの変わりに、ip unnumberedを使うんですね。
そのあとIPアドレスを借りるインタフェースをつける、と。

スーパーインター博士

そうだ。
だが実を言うと、unnumberedはなんかもういろいろでつっこまれると困る。なので次の話だ。

ハイパーネット助手

珍しく弱気ですね、博士。
武士の情けでつっこみはやめておきましょう。次の話はなんです?

■ ヘルパーアドレス

スーパーインター博士

うむ。
まずネット君。ブロードキャストドメインは覚えているな?

ハイパーネット助手

さすがにそれぐらいは覚えてますよ。
ブロードキャストトラフィックが分断される範囲ですよね。ルータがドメインを分けるんでしょ?

スーパーインター博士

そうだ。
質問ついでにもう1つ。DHCPの動作を覚えているか?DHCP Discoverはどうだった?

ハイパーネット助手

クライアントがDHCPサーバを見つけるために、一番最初に行う動作で。
ブロードキャスト送信するパケットですよね。

スーパーインター博士

うむうむ。伊達にハイパー化してないな。いいぞネット君。
この2つのことをあわせると、DHCPサーバは同じブロードキャストドメイン内に存在していなければないない。そうだな?

ハイパーネット助手

そうなりますね。
違うブロードキャストドメインにDHCPサーバがあった場合、そこまでDHCP Discoverが届きませんからね。

スーパーインター博士

そうだな。つまり、1つのブロードキャストドメインにつき、1つのDHCPサーバが必要となる。
無駄じゃないか?

ハイパーネット助手

無駄って一概にそうとは言えませんけど。
他の役割をするサーバと合わせてしまえばいいわけですし。たとえばproxyとか。

スーパーインター博士

うむ。確かにそうとも言える。
だが、ブロードキャストドメインは分割したい、でもサーバの数は減らしたい、という要求がないわけではない。

ハイパーネット助手

まぁ、そうですね。
サーバは割と高機能なマシンを使いますから、その分金がかかりますからね。

スーパーインター博士

そうだな。Windowsのサーバを使えばOSにも金がかかる。
なので、サーバの数を減らしたい、ブロードキャストドメインを分割したいという矛盾した要求をかなえるのが、ヘルパーアドレスだ。

ハイパーネット助手

へるぱーあどれす?
助けるアドレス?

スーパーインター博士

DHCPを例にあげてみよう。
下図をみてくれ。

[FigureRT04-04:ヘルパーアドレス]

ハイパーネット助手

は〜。ルータが宛先IPアドレスを書き換えてくれるんですか。

スーパーインター博士

そうだ。
ローカルブロードキャストを特定のユニキャスト、もしくはディレクテッドブロードキャストに変換する。

ハイパーネット助手

ははぁ。

スーパーインター博士

変換されるアドレスのことをヘルパーアドレスという。
上図の例の場合、10.20.30.1がこれになる。この例でのCiscoIOSコマンドの設定方法は下のようになる。

  • Router(config)#interface ethernet 0
  • Router(config-if)#ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
  • Router(config-if)#ip helper-address 10.20.30.1
  • Router(config)#ip forward-protocol udp 3000
  • Router(config)#no ip forward-protocol DNS
ハイパーネット助手

ん?下の2つはなんです?
ip forward-protocolとno ip forward-protocolって?

スーパーインター博士

うむ、よくぞ聞いてくれた!

ハイパーネット助手

よくぞ聞いてくれたって、何の説明もなくいきなり書いてあれば聞きますよ。

スーパーインター博士

…。

ハイパーネット助手

あっ、うわ〜なんなんだろう?すごく聞きたいな〜。

スーパーインター博士

うむうむ。いいかね。

ハイパーネット助手

(まったく子供なんだから)

スーパーインター博士

すべてのブロードキャストを変換していては、ルータを使った意味があまりなくなってしまう。なのでCiscoルータの場合、ヘルパーアドレスで変換されるのは特定のUDPポートだけなのだよ。

ハイパーネット助手

なるほど。

スーパーインター博士

なので、デフォルトのポート以外も変換したいときは、ip forward-protocolで。
デフォルトを変換したくない場合は、no ip forward-protocolで指定してやるのだよ。

ハイパーネット助手

ははぁ。了解です。

スーパーインター博士

うむ。これでIPアドレスの拡張技術の話は、とりあえず終了だ。

ハイパーネット助手

はい。
では次回以降は?

スーパーインター博士

次回からは、今まで名前だけでてきた、OSPF、EIGRP。そして、BGPの説明を開始する。
こっからが正念場だぞ、ネット君。

ハイパーネット助手

了解です。覚悟完了しときます。

スーパーインター博士

うむ。ではまた次回。

ハイパーネット助手

30分間ネットワーキングでした〜♪

あと357日
どうしたって嘘です。信じないように。
IPv6
[IP version 6]
現在使われているのはversion4(IPv4)。
アドレス長を32ビットから128ビットに拡張。
[ogre]
だってそのためのページなんだもん。
悪魔
[diablo]
そこまで言うほど汎用性ないわけではないと思います、CiscoIOSコマンド。
unnumbered
逆にIPアドレスを割り振る方式をnumberedという
ポイントツーポイント
[point to point]
1対1でつなぐ接続方式。
弱気
ある程度はわかるんですけどね。
そっから先が…。
Windowsのサーバ
現行ではWindows2000Server。
まだWindowsNT4.0を使ってるところも多いとか。
安ければ自宅でも使いたいなぁ、などと。
ヘルパーアドレス
[helper address]
図:Dest-IP
Destination IP Addressの略です。
宛先IPアドレス。
ディレクテッドブロードキャスト
[Directed Broadcast]
他の(サブ)ネットワークへのブロードキャスト。
ダイレクトブロードキャストとも。
例の場合、10.20.30.1に変換ではなく、10.20.30.255に変換する。
特定のUDPポートだけ
 37:Time
 49:TACACS
 53:DNS
 67:BOOTPサーバ
 68:BOOTPクライアント
 69:TFTP
137:NetBIOSネーム
138:NetBIOSパケット
ハイパーネット助手ハイパーネット君の今日のポイント
  • unnumberdはポイントツーポイントで接続されたルータで使用する。
  • unnumberdにより、IPアドレスを節約できる。
  • ヘルパーアドレスは、ルータを越えたブロードキャスト送信に使う。

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