30 Minutes NetWorking
No.RT02

30Minutes NetWorking

BSCI

第2回VLSM

■ IPアドレス拡張技術

スーパーインター博士

IPアドレスの枯渇まであと359日

ハイパーネット助手

わ。
続けてくるとは思わなかった。やりますね。

スーパーインター博士

「Webか、なにもかも懐かしい…。」

ハイパーネット助手

繰り返しがギャグの基本とはいえ、見苦しいですよ博士。

スーパーインター博士

…ネット君も言うねえ。

ハイパーネット助手

ええ、担当教官の薫陶をよろしく受けまして。

スーパーインター博士

…。
さて、IPアドレス枯渇の問題を解決するための、拡張技術の話だったな。

ハイパーネット助手

えぇ、前回はCIDRでしたね。

スーパーインター博士

クラスを無視した(クラスレス)、ネットワーク集約技術がCIDRだったな。

ハイパーネット助手

クラスBだと余るので、クラスCを複数つかうことによってその無駄を省こうっていうのが、前回の例でありましたね。

スーパーインター博士

今回はより無駄を省こうとする技術だ。
サブネットの最適化、というべきかな。

ハイパーネット助手

サブネットの最適化?

スーパーインター博士

うむ。
同一ネットワーク内で、使用していないIPアドレスを減らそうという技術だな。VLSMという。

ハイパーネット助手

びるすーむ?

スーパーインター博士

何故無理やり読むのだ。
素直に、ブイエルエスエム、でいい。

ハイパーネット助手

だって、CIDRで「サイダー」と読ませたじゃないですか。

スーパーインター博士

母音がないのに無理して読むことはないだろう。

ハイパーネット助手

母音があったからといって、WYSIWYGは読めるとは思えませんが。

スーパーインター博士

それはまた別問題だな。
まぁ、確かに最初聞いたときは、帝国の旗艦がどうした?と思ったが。

ハイパーネット助手

ですよね。

■ IPアドレッシング(クラスフル)

スーパーインター博士

ともかく。
まずは、ネット君に課題を解いてもらおう。

IPアドレッシング・課題

[FigureRT02-01:IPアドレッシング・課題]

スーパーインター博士

3つのルータと、5つのサブネットから成るネットワークが存在する。各サブネットには、20台のホストが存在する。
192.168.1.0/24をあげるから、IPアドレスを設定しなさい。

ハイパーネット助手

なめられてます?

スーパーインター博士

いや、いたって真面目だ。
そうそう、ルータ間もネットワークだということを忘れないように。あと、ゼロサブネットも許可する。

ハイパーネット助手

了解。
サブネットが8つなので、ぴったり3ビット。ホスト5ビットで台数もおっけ〜と。 できました。

IPアドレッシング・解答

[FigureRT02-02:IPアドレッシング・解答]

スーパーインター博士

うむ、よくできた。

ハイパーネット助手

で、次は?

スーパーインター博士

何故次があるとわかるんだね?

ハイパーネット助手

だって。
これで終わったら、3分間ネットワーキングと変わらないじゃないですか。

スーパーインター博士

なるほど。その通りだ。
で、大変悪いのだがネット君。新しい部署ができたので、20台ホストが入るサブネットをもう1つ作ってくれ

ハイパーネット助手

はい〜?

スーパーインター博士

わかってると思うが。
新しいIPアドレスはあげれないので、そこのところよろしく。

IPアドレッシング・再課題

[FigureRT02-03:IPアドレッシング・最課題]

ハイパーネット助手

ちょ、ちょっとまってください
もうIPアドレスがありません

スーパーインター博士

いや、ホストが20台入るサブネットが6つで120台。
各ルータが4つインタフェースをもつので、12台分。まだまだ余裕があるはずだよな?

ハイパーネット助手

数だけみればそうですが。

スーパーインター博士

何故だ?
どこが無駄になってるんだ?

ハイパーネット助手

え〜っと。
ルータ間のサブネットワークですね。30台分のうち、2つしか使っていないですね。

スーパーインター博士

そうだ。
2つしか使わないのに30台分割り振るとは、ネット君も剛毅だな。

ハイパーネット助手

そんなこといったって…。

スーパーインター博士

原因は、すべてのサブネットワークに、同じサブネットマスクを使うところにある。
2台しか使わないなら、2台だけ入るサブネットワークにすればいいじゃないか。そう思うだろう?

ハイパーネット助手

確かにそう思います。

■ IPアドレッシング(クラスレス)

スーパーインター博士

そうした場合、こうなる。

IPアドレッシング・VLSM

[FigureRT02-04:IPアドレッシング・VLSM]

スーパーインター博士

このように、使うサブネットの大きさに合わせて、サブネットマスクを切り替える
これがVLSMだ。

ハイパーネット助手

ふわ〜。

スーパーインター博士

ちょっと、アドレスとサブネットマスクの関係がわかりづらいかもしれんので、表にしてみた。
まず、VLSMを使わず、普通に/27でサブネット化した場合だ。

DECBINSM
サブネット0.000000000/27
サブネット1.32 00100000/27
サブネット2.64 01000000/27
サブネット3.96 01100000/27
サブネット4.128 10000000/27
サブネット5.160 10100000/27
サブネット6.192 11000000/27
サブネット7.224 11100000/27

[TableRT02-01:サブネッティング]

ハイパーネット助手

これはわかります。
さっきの課題では、サブネット0〜4をサブネットに。5〜7をルータ間に割り振ってましたね。

スーパーインター博士

そうだ。上の表のやりかたではそれが限界だ。
VLSMでは無駄が多いので、最後の192.168.0.224/27をさらに細かく分割する

DECBINSM
サブネット0.000000000/27
サブネット1.3200100000/27
サブネット2.6401000000/27
サブネット3.9601100000/27
サブネット4.12810000000/27
サブネット5.16010100000/27
サブネット6.19211000000/27





7
A.224 11100000/30
B.22800100/30
C.23201000/30
D.23601100/30
E.24010000/30
F.24410100/30
G.24811000/30
H.25211100/30

[TableRT02-02:VLSM]

スーパーインター博士

これで、30台のサブネットが1つ減った代わりに、2台のサブネットが8つできたことになる。
上の例では、元サブネット7のA〜Cをルータ間のネットワークに割り振ったわけだ。

ハイパーネット助手

はわ〜。

スーパーインター博士

VLSMを使用しない場合、例のようにルータ間で3つのネットワークを使うとすると。
最大台数は、サブネット5つで、30 x 5 の150台

ハイパーネット助手

VLSMを使用した場合、サブネットが0〜6までの7つ使えることになるから。
30 x 7 の210台。すごい、全然違う!

スーパーインター博士

うむ。
さらにVLSMを有効活用すると、この状態では元サブネット7のD〜Hを使っていない。もったいないから、こうする。

DEC BINSM
サブネット0.0 00000000/27
サブネット1.32 00100000/27
サブネット2.64 01000000/27
サブネット3.96 01100000/27
サブネット4.128 10000000/27
サブネット5.160 10100000/27
サブネット6.192 11000000/27
サブネット7.224 11100000/28





8
A.240 111 10000/30
B.244 0100/30
C.248 1000/30
D.252 1100/30

[TableRT02-03:VLSM2]

スーパーインター博士

ルータ間のサブネットを先ほどのD〜Hにし、使わない/30の4つのサブネットをまとめて14台可能なサブネットにしてしまう。
これで先ほどよりも14台増えて、224台まで可能になる。

ハイパーネット助手

すごいや。
まさしく、IPアドレスの最適化ですね。

スーパーインター博士

うむ、限界はあるが、サブネットマスクを必要な台数分によって変化させることにより、無駄なくIPアドレスが使用できるようになるのだ。

ハイパーネット助手

なるほど。

■ VLSMの条件

スーパーインター博士

もちろん、これを使うには条件がある。
ネット君わかるか? CIDRの時と同じだ。

ハイパーネット助手

CIDRの時と同じ…。

スーパーインター博士

ルーティングの問題だ。

ハイパーネット助手

あ〜、そうか。
サブネットマスク(プレフィックス長)の情報がなければ、上手くルーティングできないですね、これは。

スーパーインター博士

そうだ、またしてもルーティング・プロトコルが対応してないと駄目なのだ。

ハイパーネット助手

は〜、納得。

スーパーインター博士

うむうむ。
次回もIPアドレスの拡張の話だ。

ハイパーネット助手

了解。
…。
ところで博士?

スーパーインター博士

なんだ?

ハイパーネット助手

次回は、「IPアドレスの枯渇まであと358日!」とか言ったりしないですよね?

スーパーインター博士

…。

ハイパーネット助手

博士?

スーパーインター博士

…。
さ、30分間ネットワーキング、また次回〜!

ハイパーネット助手

あ、こら…、ちょっと〜!

あと359日
くどいようですが嘘です。信じないように。
VLSM
[Variable-Length Subnet Mask]
可変長サブネットマスク、と訳される。
WYSIWYG
[What You See Is What You Get]
ウィジウィグ、と読む。
画面で見た形で印刷できたり、文書化できたりする事をさす。GUIの基本概念。
帝国の旗艦
皇帝砲を持つ。って、それはグリグオリグ。
ゼロサブネット
サブネット部をゼロにすること。
ネットワークのネットワークアドレスと、サブネットワーク0のネットワークアドレスがわからなくなる可能性がある。
わかりやすいように、第4オクテットの2進数表示をのせます。
     .0:00000000
   .32:00100000
   .64:01000000
   .96:01100000
 .128:10000000
 .160:10100000
 .192:11000000
 .224:11100000
見やすいように、各サブネットの第4オクテットとサブネットマスクのみ書いています
IPアドレスがありません
20台のホストが必要なので、ホストに5ビット必要。
残り3ビットで作成できるサブネットは8つ。
よってサブネット6つと、ルータ間サブネット3つの計9つは無理。
数だけみれば
サブネット8つ。
各サブネットの最大ホストは5ビットで30台。
8 x 30 = 240台
ハイパーネット助手ハイパーネット君の今日のポイント
  • 使用台数によって、サブネットマスクを変えることにより使わないIPアドレスを減らすのが、VLSM。
  • ルーティングプロトコルが対応してないと駄目。

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管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp