ACT3 BLACK DOG
〜黒き獣はラムの夢を見るか〜

                                                         9.戦いを終えて

双子を倒した<マイト>たち。<ヴィシャス>の暴走を止めることができるか。


■お約束シーン

ビスマルク:こいつら(生徒)が起きる前に、眠っている<ヴィシャス>どもを探して駆除しないとな。双子から聞き出すか。ステージに向かいます。
クック:あ、<ヴィシャス>ですが、悪魔憑きならワタクシの≪悪魔の咆哮(デモニックハウル)≫で気絶しないはずですから、とりあえず視界内にはいないと判断してよいでしょうね。なので舞台裏、袖、体育館だから二階の踊り場とかですかね?
大馬:なるほどな。
GM:クックはこれで仲間の仇は討てましたね。
クック:これであの子達が戻るわけではありませんが…。

GM:クックはヴォージェ咲江の≪魔種吸引(キャプチャー)≫可能です。経験点5点の「魔結晶」と特殊能力≪剛腕の一撃(パワーブロー)≫の「魔結晶」を手に入れた。ヴォージェ咲江の姿を彷彿とさせる漆黒の「魔結晶」です。咲江は元の姿に戻り、うつ伏せに倒れたまま目覚めません。ヴォージェから元に戻った咲江は、お約束通り全裸です。
大馬:おお!ついに来たデモンパラサイトお約束のお色気シーン(笑)。
GM:毎回おやじ(大馬)の裸じゃ、皆さん引くでしょ?学園祭なので華やかにしました(笑)。
大馬:しかし、大馬は意に介さず。ふふん、子供の裸には興味ねぇな。ドラムの梵蔵(ぼんぞう)から皮ジャケットを剥ぎ取り、咲江にかけてやる。
ビスマルク:ちっ、余計なことを。男の浪漫ってものをちっとも分かってないな。裸にはこのアイテムしかないだろ…。と言って、悔しそうに脱ぎ捨ててあった咲江のエプロンを握り絞めている。
クック:そういう細かい伏線のはり具合が大好きです(笑)。
大馬:なんで犬のお前が悔しがるんだよ。
ビスマルク:それよりも自分の心配をしたらどうだ?と言ってアロハシャツの入っていた例の紙袋を渡す。
大馬:仕方がない…。最後のアイテム、腰ミノ巻いてレイを首にかけるか。

クック:ついでに素子さんからも≪魔種吸引(キャプチャー)≫しておきましょうかね。ステージ後方の暗幕へと向かい、≪魔種吸引(キャプチャー)≫いたします。
GM:経験値5点の「魔結晶」と特殊能力≪衝動操作(インパルスコントロール)≫の「魔結晶」を手に入れました。素子はヴァンパイアに仮装した姿に戻りました。未だに気絶中です。

クック:双子には後遺症ありませんでしたか?
GM:双子の後遺症は気絶から覚めた時に分かります。
大馬:後遺症の判定をした後で、咲江と素子を覚醒させてヴィシャスの居場所を聞き出すってのはどうだ?
ビスマルク:おい、≪悪魔の咆哮(デモニックハウル)≫で気絶した生徒達が目を覚ます可能性がある。こいつら(双子)叩き起すぞ!


■眠れる<ヴィシャス>

GM:ここで体育館に動きがあります。

ゴロゴロと重たい音を立てて、体育館の出入口が開く。一条の光が外界から入り込み、体育館内を照らした。
「“悪魔化”の気配を感じて来てみれば、また随分と派手にやったみたいね」
真白とビスマルクには聞き馴れたこの声の主は、セラフィムエージェント安西東子だ。

真白:これでも被害を最低限に押さえるよう努力はしたんですよ?
GM:「ふふっ、努力は認めるわ。真白にしか出来ない仕事をキッチリこなしたみたいね」と真白に微笑む。更に「さてと…、私はそこの犬から『赤い目の獣を倒し、事件は解決した』『戦闘を目撃した女子高生の記憶を消してほしい、ウォーコイトを要請する』って報告を受けて来たのだけれど…」と言って安西はビスマルクをジトーッと見る。すぐに視線は体育館内を見渡し、煙の上がるスピーカーの弾痕を見る。「たった今、終わったってところかしらね?」
ビスマルク:終わってる事には違いないだろ?
GM:安西はスーツを着た若い男性と一緒にいる。
真白:ところで東子さん、その方は?
GM:「ん、この子?バカ犬の要請で連れて来たウォーコイトよ。もう間に合ってるみたいだけど」。体育館内で倒れている生徒たちがウォーコイトの仕事であると理解しての発言です。「ところで、まだ後処理が残っているのかしら?」と真白に問いかける。
真白:…ええ、主犯格と思われるのは倒したのですが、まだ隠れている<ヴィシャス>がいるようです。
大馬:頭をポリポリ掻きながら。ふふん、どうやら俺も事件に巻き込まれちまってな。どうやら首謀者はここに倒れている双子のようだぜ。あと、屋上にも≪魔種吸引(キャプチャー)≫した犬がいる。後始末はセラフィムに頼むぜ。
GM:「了解。その子たちと犬はセラフィムが預かるわ」

GM:クックはその場所で[知覚]技能又は【感覚】で目標値15の判定をしてください。
クック:ふふふ。[知覚]は中級ありますよ。でてきなさい、悪魔憑きさん。(ダイスを振って)達成値19で成功です。
GM:暗幕の隙間からダンボール箱が見えます。そして、箱からは、鋭く尖った細い嘴がはみ出している。クックはそれが「凶暴化した鳥」の嘴だと分かります。1メートル四方はある箱の大きさからして、1体ではないと思われます。
クック:…またですか。しかし今の状況からしてばらまかれなくてようございました。ドラムの音で目覚めるということは、今は気絶でもしているのでしょうか?
GM:気絶していますね。全然動きません。
クック:みなさん。こちらに<ヴィシャス>がおりましたよ。舞台袖から飛び出す合図を待っている箱入り娘達のようです。
真白:見つかったようですね。
大馬:お手柄だな。そっちの奴らもセラフィムに任せようぜ。
GM:「心配事はこれで解決かしらね?ウォーコイトさん、そこの<ヴィシャス>はセラフィムが回収するわ。貴方にも迷惑をかけたみたいだけれど、この事件はうちの”美女と野獣(真白&ビスマルク)”に任せた仕事なの。後始末は私達がさせてもらうわ」と安西。
クック:笹見クックと申します。そちらに依頼したのは宗男さんでございますから、迷惑などというのは筋違いでございますよ。後始末の方はお願いしたしましょう。いささか疲れすぎました。

GM:「仮装パーティーに『本物の悪魔(リアル)』は似合わないわ。この騒ぎも『偽者の悪魔(フェイク)』の仕業にして、私達は消えましょ♪」。安西はニッコリと皆さんに言います。

その後、体育館での騒ぎは、ステージ上の悪魔たち(パレットツェッペリン)の過剰な演出として片付けられ、程なく仮装ダンスパーティーは再開された。
セラフィムのウォーコイトがバンドメンバー4人に偽の記憶を植え付けたのでしょう。メンバー自らが「爆破&催眠ショー」をウリに会場を盛り上げた。
こうして、学園内で起こった騒ぎは、イベントのひとつとして人々の記憶に刻まれる事になりました。死亡者0、負傷者2(双子)、器物破損少々……。私立桃ノ花女子学園文化際、通称「ひな祭り」は正義の“悪魔憑き”の働きによって、大盛況の後、無事に終了しました。


■エンディング〜真白

GM:それでは、エンディングシーン、今回事件の後日談です。

学園祭終了後、風の強いある日の…。

GM:喫茶店リポーゾです。「始めての仕事はどうだったかしら?真白の“悪魔憑き”としての気持ちの整理が出来たかどうかが心配だったけど、体育館での姿を見たら安心したわ」。カウンター席でコーヒーを飲みながら安西は優しく言う。
真白:私にはまだ実感が湧きませんが…。自分にしか出来ない事を成すと言うのは案外悪くない物ですね。
GM:「これは今回の報酬よ。また事件があったらお願いできるかしら?」と言って長封筒を手渡す(中には1万円札が入っています)。
真白:ええ。私でよければ、いつでも声を掛けてください
GM:「屋上で倒れていたセントバーナード犬は、リベルタで保護する事になったわ。彼女の後遺症は残念な結果だったけれど、それは“悪魔憑き”には必ず伴なうリスクなのよ。『衝動』に飲まれた<ヴィシャス>には仕方の無い事ね。私の経験では、<ヴィシャス>化した“悪魔憑き”が<マイト>に戻った例もあるの。でも、それは極稀なケースね。今回の≪魔種吸引(キャプチャー)≫も真白の判断でやった事。今後も、真白が正しいと思った事をしていけばいいのよ」。

裏コメント:”リベルタ”は”悪魔憑き”の動物たちの組織です。

真白:そうですか、<ヴィシャス>が<マイト>に戻る事が…。それをもっと早く聞きたかったです、なんて(笑)。
GM:「そうそう、子犬も無事だったわよ。<ヴィシャス>の入っていた箱の底で、丸くなって寝ていたわ」
真白:無事だったんですね、良かった。
GM:「名前は『トキオ』っていうそうよ」と言って1枚の写真を出す。コロコロとよく太った小犬で、茶色の背中と白い足のカラーリングは母親と一緒だが、なぜか異様に毛足が長い。更に、カメラ目線の目付きが悪い!
真白:笑いを堪えます。
クック:ビスマルクの仕込みだったのですか(笑)。

裏コメント:その真相は定かではない。

GM:「MIX犬みたいね。」と言って外の小さなオープンスペースを見る安西。視線の先には…、昼寝をしているアフガンハウンド犬がいた。
真白:「そうですね」と私もオープンスペースの方を見ます。


■エンディング〜大馬

GM:喫茶店リポーゾ外のオープンスペース。「すみません、若。ビスマルクのせいで事件に巻き込んでしまって…」と申し訳なさそうに下を向く弁護士。その隣には昼寝をしているビスマルクがいる。
大馬:ふふん、いいさ鏡さん。俺も”悪魔憑き”事件は放っておけないんでね。それにビスマルクに任せとくのも不安だったしな。
GM:「今回の事件の首謀者は、デビルズネストという“悪魔憑き”の犯罪組織でした。組織の目的は人類全てを“悪魔憑き”にする事です」。
大馬:そうらしいな。
GM:「双子の彼女たちも、自分たちの知らない目的で組織に利用されていたという点では被害者と言えますね」。
大馬:あの子たちは今でも繭の友達だ。またいつでも家に遊びに来ればいいさ。
GM:「騒ぎに乗じて感染者を増やす事が狙いだったようですが、私立桃ノ花女子学園を対象とした理由は『最強種の捕獲』です。直接的な狙いは理事長の山月実伽(さんげつ みか)にあります。彼女は純血のヴォージェですから…。今後も学園に対してなんらかの動きがある可能性は否定できません」。
大馬:繭の学園は俺が…。いや、あそこには心強い仲間がいるんだよ、鏡さん。以前から学園を守ってくれていたんだよ、そしてこれからも…。空を見上げて無骨だが愛嬌のある笑みを浮かべる。
GM:「山月実伽は紅虎組とも関係の深い方です。この事件の波紋が来なければいいのですが…」。

裏コメント:山月実伽は今後のシナリオへの伏線らしいです。

大馬:ふふん。親父や兄貴たちを敵に回す奴らに同情するよ。…ところで、鏡さん。繭のことなんだけど、合コンするって本当?
GM:最後にそれかいっ(笑)。


■エンディング〜クック

GM:「素子さんと咲江さんは転校しましたよ」。飼育小屋の前で宗男はクックに報告します。
クック:宿り木の上で閉じていた目をゆっくりと開く。左様でございますか…まあ、仕方のない処置かもしれませんね。
GM:「セラフィムで目覚めた二人には特に後遺症は無かったようですよ。彼女たちは感染して間が無かったのでしょう」。
クック:それは何より。あれほどの子達でしたから、きっと元の生活に戻って楽しく過ごせることでしょう。
GM:「彼女たちは前の学校では酷いイジメを受けていたそうです。どういう経緯で“悪魔憑き”になったかは分かりませんが、彼女たちの境遇を変えるには十分な材料だったのでしょうね。人に傷つけられる痛みを知っている彼女たちだからこそ、力を得た時には人を傷つけることに喜びを感じてしまったのかもそれませんね」。
クック:何があったにせよ、他人を傷つける免罪符にはなりません…。<悪魔憑き>の力に溺れた方が間違いなく悪いのです。
GM:「クックさんも、『衝動』にはくれぐれもお気を付けください」。
クック:わかっておりますよ。それは比奈子さんとの約束でもございますから。
GM:「それにしても…、今日もまた、風が強いですね」と言って、宗男は屋上の風見鶏を見上げる。
クック:宗男さんに促されるように空を見上げ、眩しそうに翼を広げて顔を覆う。
GM:「翼を広げたら、空を飛べそうな…、気持ちのいい秋風ですね」と宗男はクックに微笑む。
クック:ワタクシもあの風見鶏と同じ…。風に憧れ、右へ、左へ、動くのみ…。ですがワタクシはあきらめが悪いのですよ。ニヤリと口元をゆがませると、飼育小屋の扉を勢いよく蹴飛ばし、屋上へと向かうのでした。

この4人の”悪魔憑き”はまだ出会ったばかりです。個性の違うこの4人が、新たな事件を解決するのはもう少し先のお話…。
変わりやすい秋空の下、変わらない思いを胸に空を見る。<マイト>の信念、己の正義。風の強い青空には一筋の飛行機雲が揺ぎ無く真っ直ぐと延びていた。

デモンパラサイトACT3 BLACK DOG〜黒き獣はラムの夢を見るか〜 END

裏コメント:初の複数PCによるデモンパセッション。さすがにPC4人は強いですね。セッションの形態は、以前から掲示板セッションでGMと試してみたかったものでした。序盤は各PCのシーンをパラレルで進行させるものでした。掲示板セッションであれば各PCのシーンが同時に処理できるので掲示板むきなのではないかと。その試みはある程度成功したのではないでしょうか。反面、よくない点も浮き彫りになりました。PC同士の絡みがあまりなく、情報共有もしづらいという点です。今後のセッションでさらに改善していきたいと思います。



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