高速・貸切バス
標準床車(いすゞ)
国鉄バスの貸切事業はもともとボリュームが少なく、車両も中距離路線バスと共通の地味な仕様が中心でした。長距離路線車もこれの延長で、「白樺号」「竜泉号」には路線バスシャーシを持った観光タイプの車両が投入されていました。本格的な観光仕様の車両が導入されたのは、高速バス「とわだこ号」からです。この項目で取り上げる車両は、シャーシ型式にかかわらず「641形」の形式(車番)を持つ車両です。ボディは後部スタイルを含めて完全な観光ボディ、車体側面にはJNRマークが入っています。もちろん、“その頃”に残っていた車両はすべて冷房付です。
なお、車体メーカーは、ローカル路線用では日野車体を持ついすゞ車が多くありましたが、高速・貸切車は川重や富士重工など、民間各社で見られるいすゞ車と同じです。
いすゞBU15KP(1973年式)
岩22か534
撮影:一関営業所(1985.8.17)
一関営業所に配属されていた貸切車です。1985年に新車と同じカラーに塗り替えられました。
正面の動輪のマークが外され、「国鉄観光」と書かれていた社名表示板には「JNR」のマークが入っています。また、側面のツバメのマークに丸みがあります。
車番は、「641-4905」です。
岩22か2163
撮影:盛岡支所(1985.5.12)
貸切車だったと思われますが、このときは「白樺号」に使われていました。上の車両の更新前の姿と考えていいと思います。
登録番号が新しいのは、営業所間の移動により宮城か青森より登録変更をしたためで、国鉄バスにはよくあることです。
車番は、「641-4908」です。
いすゞBU20KP(1979年式)
岩22か2083
撮影:盛岡支所(1985.5.18)
1979年式といえば、いすゞBUとしては最終期です。既にいすゞの貸切車はCRAに移行していましたから、国鉄らしい路線シャーシの観光車と言えるでしょう。
さらに、同時期の貸切ボディに比べ側面窓の縦寸法が小さく、実際より古い感じに見えます。
それでも冷房付で貸切並の車内設備を持ち、「白樺号」などに使用されていました。
車番は「641-9903」です。
(注1)
いすゞK-CPA520(1980年式)
岩22か1495
撮影:盛岡支所(1986.5.26)
岩22か1499
撮影:盛岡駅(1986.5.18)
「竜泉号」などに使用される車両で、路線マスクのBU15KP(中距離路線車の項目参照)の後継車です。サイズや出力なども変わりません。ただ、車体内外のレベルアップは図られ、カラーデザインもJNRマークが側面に入った高速バスタイプになりました。
沼宮内営業所(盛岡支所)に配属され、高速バスの続行便に使われることもありました。
前側の車番は「641-0904」。後ろ姿の車番は「641-0905」です。
いすゞK-CQA550(1982年式)
岩22か2176
撮影:盛岡支所(1985.8.3)
いすゞK-CSA580(1982年式)
秋22あ1246
撮影:休屋駅(1986.5.3)
東北新幹線の開業と同時に「とわだこ号」用に導入された高速バスタイプ。この車両から本格的な観光シャーシになりました。
十和田南営業所と沼宮内営業所に2両ずつが配属されていました。前側の写真は十和田南の配属なので、秋田ナンバーです。
前側の車番は「641-2975」。後ろ姿の車番は「641-2972」です。
岩22か1744
撮影:盛岡駅(1986.7.26)
いすゞK-CSA580(1983年式)
秋22あ1338
撮影:盛岡支所(1985.8.3)
「とわだこ号」用に十和田南営業所に1両が増備されたもので、秋田ナンバーです。1983年から富士重工の貸切車体はスケルトンタイプにモデルチェンジされました。
この車両は、当初は丸型ボディの車両と同じ塗り分けでしたが、1985年に正面のみ塗り替えられました。
車番は、「641-3971」です。
いすゞP-LV219Q(1984年式)
秋22あ1365
撮影:盛岡支所(1985.5.21)
十和田南営業所に1両が配属されたもので、秋田ナンバーです。「とわだこ号」で盛岡に乗入れてきます。
川重車体の標準床貸切タイプはまだモノコックボディだったため、年式・型式に合わない古い印象はぬぐえません。上の写真の富士重工製1983年式と見比べてみれば分かると思います。
車番は、「641-4971」です。