小型バスのボディメーカー
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ここでは、小型バスの車体メーカーについてまとめてみます。
シャーシメーカー別の記載内容とは重複する場合があります。
(掲載は五十音順です)
荒川車体工業
トヨタ・ライトバス
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トヨタの“マイクロバス”は、1963年に発売開始の「トヨタ・ライトバス」から「コースター」に至るまで、荒川がボディを製造してきました。ちょうど吉原工場の操業と時期を同じくします。
事業の譲渡に伴い、2004年以降の「コースター」のボディはトヨタ車体の製造に変わります。
尾張車体工業
ダイハツ・ライトバス
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一般のバス車体を製造することは少ない会社のようですが、「ダイハツ・ライトバス」に尾張車体での製造例があるようです。もともと初期の小型バスは、トラックシャーシに改造扱いでボディを架装するという面で、特装車と同じプロセスを経ることから、尾張車体が関与したのかもしれません。
川崎航空機 → 川重車体工業
1986年にいすゞ自動車との共同出資によりアイ・ケイ・コーチを設立し、完全にいすゞの系列になりました。1995年にいすゞバス製造と改称しています。
いすゞ「スーパーライトバス」
「マツダ・ライトバスA型」
ダイハツ「SV型ライトバス」
1960年代には、川崎ではいすゞだけでなく多くのシャーシメーカーに対してバスボディを製造していますが、これは小型バスの世界でも同じでした。ただし、ボディメーカーの特徴が前面に出る大型バスと異なり、小型バスではシャーシメーカーごとに特徴を出したボディデザインとなっています。
中でも「マツダ・ライトバスA型」は、大きな曲面ガラスと四角い断面が近未来のバスと言われ、人気を博したモデルです。同じ時期に並行生産されていたいすゞ「スーパーライトバス」は流線形の丸みのあるボディ、ダイハツ「SV型ライトバス」は単純な箱型ボディです。
北村製作所
いすゞジャーニーQ
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北村製作所製ボディは、“マイクロバス”よりも中型・大型バス寄りのスタイルになっています。1976年からのこの写真のボディも、角張ったスタイルが斬新で、同じボディスタイルはいすゞ中型バスにも展開されています。
1986年には、大型バス「スーパークルーザー」と近いイメージの前ドア対応の小型バスにフルモデルチェンジをしています。
金産自動車工業 → 日野車体工業
2004年にはジェイ・バスに合併し、現在の同社小松工場の前身に当ります。
日野レインボー
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金産としての小型バス製造は、ビルマなどへの輸出用に日野BM型を製造したことに始まり、1966年から国内向けの同型車の製造を開始しています。日野車体工業への合併後、同社金沢工場は日野の中型・小型バスを中心に製造する工場となり、日野AMをはじめとした以後の小型バスの製造を担当しています。
また、同じトヨタ系列のダイハツの輸出用小型バスの生産もしていたそうです。(注1)
呉羽自動車工業
その後、呉羽自工が三菱のバスボディメーカーとして一本化されることになり、2003年に三菱ふそうバス製造となった後、2010年までに小型バスの生産も一本化されています。
ふそうライトバス
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短期間の製造でしたが、1960年代のふそうブランドの小型バス。
三菱ボディの「ローザ」に比べると大人しい外観です。
帝国自動車工業
日野レインボー
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帝国自工では、1960〜63年の間、小型バス「コンマース」のボディを製造したほか、1966年から、それまで金産自工のみで製造されていた日野BM型の製造に加わりました。帝国では、スケルトン構造を採り入れた角張ったボディスタイルを採用しています。
日野車体工業に合併後は、小型バスの製造は旧帝国自工の横浜工場では行わず、旧金産自工の金沢工場に集約されています。
トヨペット整備
トヨペット・マイクロバス
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同社の公式サイトによると、1957年に「トヨペット・マイクロバス」を販売、「マイクロバス」の名前は商品名としてトヨタが最初に使ったとのことです。
その後、1963年まで「トヨペット・マイクロバス」の名前で製造を続け、最後はバスらしい大型化、箱型化されたボディスタイルになりますが、それ以降は荒川車体製の「トヨタ・ライトバス」にその座を譲ります。
西日本車体
1997年に「マツダ・パークウェイ」の生産は終わりましたが、いすゞ「エルフ」のシャーシにバスボディを架装した「プレビス」(量産時は「ジャーニーE」)、いすゞ「UT」をベースにした「UTバス」などコミュニティバスに向いた低床タイプの小型バスなどにチャレンジしています。2010年に事業を終了しています。
なお、西日本車体での最初の小型バスは1962年のダイハツDV200Nだったそうです(注2)。
マツダ「ライトバスC型」
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西日本車体製の「マツダ・ライトバスC型」は、窓の大きい斬新なスタイル。川崎航空機製のA型とは競作のような位置関係にありますが、あちらが斬新すぎて、西工製の存在感は若干薄れてしまった感があります。
日産車体工機 → 日産車体
なお、日産車体京都工場は2001年に子会社オートワークス京都として分社され、マイクロバスボディ製造はこちらに移管されました。同年に宇治オートを合併しています。
日産シビリアン
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1960年に日産「キャブオール・マイクロバス」の生産を開始し、その後「エコー」、「シビリアン」と名称を変えた日産の“マイクロバス”の車体をすべて手掛けています。
新三菱重工業 → 三菱自動車工業
三菱ローザ
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「だるまローザ」との通称を持つ初代ローザ。他に類を見ない独特のスタイルは、メルセデスベンツの小型バスに範をとったと言われています。
目黒車体
日産ジュニアバス
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新目黒車体となった後の1959年に、プリンス「ライトコーチ」と日産「ジュニアバス」に、ほぼ同形の背の高いボディを架装しています。
1960年からが量産スタイルと思われ、前面窓の上辺が曲線的になり、後面窓が連続窓に変りました。プリンス「ライトコーチ」、日産「ジュニアバス」のほか、いすゞ「ライトバス」にもほぼ同形のボディを架装しているようです。
梁瀬自動車
小型バスの製造実績についてはよく分かりませんが、1960年代にダイハツの「ライトバス」のボディを手掛けているようです。(注3)
日産 S680
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写真は日産自動車の特装車で、日産キャブスターをベースに小型化したと思われる車両。純粋な小型バスではありませんが、梁瀬自動車製ボディの一例です。
(自動車工業振興会(1964)「自動車ガイドブックVol.11」)
渡辺自動車工業
小型バスの製造実績についてはよく分かりませんが、1960年代にいすゞのBL171型のボディを手掛けているようです。(注4)
いすゞライトバス
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「いすゞニュース(1965年4月号)」に掲載された写真の中の1枚です。
福岡県の原鶴温泉の各旅館の“マイクロバス”が紹介されていますが、いずれも渡辺ボディのようで、地元ボディメーカーの架装による車両を集中的に販売したようです。