その後の廃車体
廃車体の棲む家4(岩泉町)
岩泉町にある国鉄バス廃車体が集合している場所が、一関市民様から報告されたのが2007年でした。今回、その2年後の2009年の光景がキュービック様より届きました。撮影者はこの場所を「岩泉バスターミナル」と呼び、所有者の許可の下、詳細に車両写真を撮影していました。2年前に比べて車両が増えたようにも見えますが、外からでは見えない角度にあった車両が撮影できたということなのかもしれません。
廃車体
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
日本国有鉄道 日野RB10P
国鉄バスの旧カラーが見えますので、元は国鉄バスだと思いますが、「自家用」「安家洞天然記念」「無料」「岩」などの文字が見えますので、岩泉町が国鉄バスの払い下げを受け、自家用の送迎に使用していたのではないかと想像します。
廃車体(537-8001)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 日野RE141(1978年式)
この敷地の外側に並ぶ路線タイプ車両の一番後ろにある車両です。国鉄時代に北海道から移動してきた前中引き戸の長尺車。沼宮内営業所に配置され、沼宮内本線(盛岡〜葛巻)で盛岡まで来ていたのを見ていました。東北地方にふさわしい仕様だったかどうかは疑問符ですが、複数台が同じエリアで活躍していたものです。
現役時代の登録番号は岩22か1822。
廃車体(331-9006)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 いすゞCCM410(1980年式)
これは後ろから2番目にある車両です。いすゞの中型バスで、本来は正面窓は2枚ガラスですが、この年式での国鉄バスの車両はなぜか4枚ガラスになっています。
廃車体
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
日本国有鉄道 日野RE100
1台置いて後ろから4番目にある車両。
この車両にはJRバスを貼った跡がないので、国鉄バス時代に廃車になったものと推察します。ただし、前ドア脇に白い「一般乗合」の文字があり、国鉄時代にはあまり見覚えのない表記です。
中ドア上に方向幕のある仕様で、1973〜74年式ではないかと思います。
廃車体
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
日本国有鉄道 いすゞBU10
後ろから5番目にある車両。
中ドア車ですので車掌が乗務していた路線での使用車両。従って、国鉄バス時代に廃車になっているはずです。国鉄バスの仕様がどのように決められるのかはよく分かりませんが、ツーマン車でありながら、正面方向幕に系統幕が併設されています。
新しいものでは1975年ごろまで、ツーマン車が作られていたようです。
廃車体(537-8009)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 日野RE101(1978年式)
後ろから6番目、つまり一番前にある車両。2007年に一関市民様が撮影した写真でも、前のほうが写っていますが、予想通り前中折り戸のRE101でした。
左党89号様によると、現役時代の登録番号は岩22か1272で、北福岡営業所に配置になっていました。
廃車体
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 日野P-RU638AA(1985年式)
日野のミドルデッカーで、国鉄バスが貸切兼高速路線車として導入した車両のうちの1台。
1997年発行の「バスジャパン・ハンドブックス」によると、同形車はJRバス東北に2両あり、647-5975か647-5976のどちらかのようです。
廃車体 JRバス東北 いすゞP-LV218N(左)・いすゞP-LV219Q(右)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
外周に並べられた国鉄バスの内側には、同じような川崎ボディの観光バスが3台置かれています。この車両、2007年に一関市民様撮影の現場とは、車両の角度が異なるだけでなく、1両増えています。
2年間の間に1両増えたのか、2007年の段階では見えないところに置かれていたのか、その辺は分かりません。
廃車体(641-4971)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 いすゞP-LV219Q(1984年式)
上の3両の詳細を順番に見て行きましょう。まずは右端の1両です。
この車両は1両のみの存在だった観光シャーシの川重平屋根車。ハイデッカーは角型ボディにモデルチェンジされていた時期ですが、平屋根車はモデルチェンジ未実施だったため、LVでありながら、前世代ボディです。
“その頃”に十和田南営業所に配置され、特急「とわだこ」の増発便などに使用されているのを見かけました。1997年発行の「バスジャパン・ハンドブックス」では、久慈営業所に配置になっています。
廃車体(641-5972)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 いすゞP-LV218N(1985年式)
次に真ん中の車両です。
ボディスタイルは同じですが、こちらは路線シャーシの高出力車。キュービック世代のシャーシにモノコックスタイルのボディには違和感があります。
前年度製の観光シャーシとの見分け方は、側面後部の通気孔が小さいことと、側面窓最後部にルーバー状のダクトがあることです。
廃車体(641-5971)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 いすゞP-LV218N(1985年式)
そして左端の車両です。
真ん中の車両とは同形車で、車番は見えませんが、JRバス東北には2両だけしか存在しませんでしたので、消去法で車号が分かります。
いずれにせよ、この3両は、JRバス東北にこれだけしかいなかったものが全部集められている所で、意図を感じざるを得ません。更に、2013年5月現在、長谷川竜様の情報によると、この3台だけが姿を消していたということで、これも何かの意図を感じざるを得ません。
廃車体
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
トヨタ検診車
中央部に建物と一体化した感じで置かれている検診車。トヨタのキャブオーバーで、車体は川崎製のように見えます。
側面には「みんなそろって健康診断」という文字が消された跡がありますので、地元で検診車として使用されていた車両だと思われます。
廃車体(531-4472)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
JRバス東北 いすゞP-LV314M(1984年式)
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撮影:キュービック様(岩泉町 2009.5.21)
これは、他の車両とは少し離れた所にある富士重工製5Eボディの廃車体。国鉄時代に製造された前中折り戸の冷房車。車番は消されていますが、531-4472と読めます。
同じ1984年式でも、青森に配置された車両は非冷房でしたが、福島に配属されたこのグループは冷房車でした。その中の1両である531-4472が、後に岩手県に転じてきており、1997年発行の「バスジャパン・ハンドブック」では、久慈営業所の配属になっていました。