小説
アフターコロナ
Episode 04 カラスの見解
あー? 絶滅した?
ふざけんな。くそったれが!
ここ最近、緊急事態宣言とかで、飲食店が軒並み休業して、残飯が全く出なくなってやがった。
いいか? 俺たちが楽に餌を漁るには、夜の店で余った大量の食べ物を、路地裏に袋に入れて出しておいてもらうのが、一番近道なんだ。
それなのに、政府は何をやってるんだ?
酒類を出すなとか、夜8時以降の飲食店の営業はするなとか、都心に来ないでうちでテレワークしろとか、俺たちの生活をなんだと思ってるんだ。
人間だって、酒は飲みたいし、みんなで騒ぎたいんだ。
それで余った食べ物や飲み物を俺たちが頂いて、そうやって、みんな元気に生きてるんだ。これを食物連鎖というんだ。え? ちょっと違う?
まあ、いいよ、細かいことは。
で、飲食店が休業させられてるから、コンビニの前とか、公園の中とか、駅の通路とかで缶ビールとつまみで一杯やりたくなるだろ? え? なるだろ?
それをな、公務員の連中が、変な合羽着て、排除に歩くわけだ。
そんなことやってる暇があったら、医療崩壊を防ぐとか、感染対策ちゃんとやってる店を確認する方に力入れろってんだ。
俺の言ってること、間違ってるか? 間違ってないよな。ちゃんとメモっとけよ。
政府がきちんと感染対策やって、ワクチンとか治療薬とかをちゃんと開発して、人間たちを守っていれば、こんなことにはならなかった。
俺たちは一体これからどうすればいいんだ。
もう都会には住めない。小動物がたくさんいる田舎に移住するしかないんだ。
まあ、まだしばらくは、エサがなくて弱ったネズミとかがいるから、そいつらを食べて食いつなぐけどな。
え? それが食物連鎖だって? そうか、分かったよ。あんた、結構賢いな。