その頃
王子様 「あ、あなたはこのガラスの靴がぴったり合います」
女 「まあ、じゃあ、私が王子様の妃になれるのね?」
王子様 「ところが残念ながら、この靴がぴったり合った女性は、あなたを入れて58人もいるんですよ」
女 「なにそれ。でも、それ当たり前じゃない。靴のサイズなんて、5mmごとに決まってるから、5人に一人ぐらいの確率でぴったり合うのよ」
王子様 「え? そうなんですか?」
女 「そうじゃなきゃ、靴屋も靴メーカーもやってられないじゃないの」
王子様 「そうだったのかぁ」
女 「大体、どうして惚れた相手を選ぶのに、靴のサイズで決めるのよ」
王子様 「だって、昨夜、私とダンスした女性がこの靴を落として帰っちゃったんですよ」
女 「ダンスしたんなら、顔とか見てたでしょ。顔で探せばいいじゃない」
王子様 「それが、会場が薄暗かったから、顔がよく見えなかったんですよ」
女 「じゃあ、一体その子のどこに惚れたの?」
王子様 「性格かな」
女 「どういう性格よ。たった数分踊っただけで、性格分かるの」
王子様 「綺麗な月を見ると、思いを告げたくなるんですよね」
女 「何わけのわからないこと言ってんのよ」
王子様 「素直で、がっつかない人が好きなんですよ」
女 「本当は、何か別の所しか見てなかったんじゃない?」
王子様 「え? そんなことないですよ」
女 「あなた何フェチ?」
王子様 「*&%~\+"4'&(!=」
女 「ああ、そういうことなのね。それで靴なのね」
王子様 「ちょっと、大きな声で言わないで下さいよ」
女 「でも、その子があなたのことどう思っているかは、分からないわよね」
王子様 「どういうことですか?」
女 「だって、踊ってる途中であなたから逃げたんでしょ、その子。好きだったら逃げないわよ」
王子様 「そう言えばそうですよね」
女 「あなたは昨夜の0時で、体よく振られたってことよ」
王子様 「ガラスの靴はさよならの代わり・・・か」
女 「だから、靴のサイズで選ぶんだったら、私で手を打ちなさいよ。ほら、私って脚の線綺麗でしょ」
王子様 「もう1回、57人に再面接してみるよ」
女 「58人でしょ」
王子様 「いや、君は今回の話で、気が強いのが分かったから、ここで落選」
岩手県のバス“その頃”