“その頃”の非売本
古いバスを扱った書籍の中でも、残念ながら通常は書店などで流通していないものもあります。
そういう本は、どんなに内容が充実していたとしても、趣味者の手に渡らずに終わってしまうのは残念でなりません。私も偶然入手できたのですが、もしかすると知らないまま終わってしまった可能性すらあります。
クラリオン(1981)「ダブルデッカーの世界」
時代的にはネオプランの輸入車がほんの少し日本に入ってきた程度の時期で、この本のほとんどを占めるのはいわゆるロンドンバスです。私自身あまり興味はないものの「バスの本だから」くらいの理由で書棚の隅に眠らせておいたようです。しかし、奇しくもこのサイトでロンドンバスの廃車体を取り上げるようになった時、ロンドンバスについて記述のある唯一の本として発掘するに至りました。
日本バス友の会(1985)「日本路線バス総合カタログ」
この時代までは、シャーシとボディの系列化が今ほど進んでおらず、その組み合わせは多様です。ユーザーによるドア配置、窓配置、方向幕配置、etc、の違いも千差万別。ボディの見た目から型式を割り出すのは至難の業でしたが、このカタログをめくれば、該当の仕様にめぐり合える、または近い仕様にめぐり合うことができます。
おそらく、今後こんな本が二度と発行されることはないでしょう。
クラリオン(1985)「ダブルデッカーズ」
70ページに及ぶ冊子の半分を占めるグラフ記事には、国内のダブルデッカー車両を漏れなく紹介しており、その中にはもちろん岩手県北バスのグランビューも含まれます。
クラリオン(1986)「THE BONNET」
岩手県関係の過去の写真はありませんが、目次の背景写真として、浄土ヶ浜を行く県北バスの「いたわり号」の綺麗な写真が見開きで使用されています。
日本バス友の会(1987)「消え行く名車オバQバス」
岩手県交通に残っていた6台についても記述されているほか、元岩手中央バスの日野のオバQや、元岩手県南バスの飾りモール付オバQの写真もあります。巻末の「オバQバス出荷台数一覧表」は貴重な資料です。
車史研(1987)「1960年代のバス」
マイクロバス、キャブオーバーバス、ボンネットバス、そして流線型の高速バスまで当時どんなバスが売られていたのかがよく分かります。また、当時のカタログには写真だけではなくて、実物に忠実な絵もありました。表紙のトヨタボンネットバスも写真のように見えますが絵です。
参考資料の少ないキャブオーバーバスや初期マイクロバスを知る手掛かりとして、非常に貴重な資料です。
(この本は、“その頃”には入手できず、後に古本として入手しました)