岩手県のバス関係書籍
ここでは、“その頃”から現在までの岩手県のバスを研究するためには欠かせない書籍をご紹介します。
当然ながら、“その頃”には岩手県のバスに絞った本など皆無でしたが、バス雑誌が充実してくるに従い、特に古いバスの多い岩手県に関しては特集の対象になることも多くなりました。
日本バス友の会(1987)「よみがえる過疎バス」
民間のバス事業者が路線バスを廃止する例が増え始め、これを自治体が自家用登録のバスで肩代わりしたり、貸切免許で民間事業者が「廃止代替バス」として運行する例が現れ始めた時期です。
巻末の資料には、市町村営バス一覧、廃止代替バス一覧、補助制度の一覧なども掲載されています。
ポルト出版(1993)バスラマインターナショナル20
車両アルバムには主要な車両の写真が掲載されており、営業所別の車両一覧表もあるため、一時期を切り取った資料性も十分です。
1993年という時期、まだボンネットバスは4台とも健在で、一部に導入された2ドア車(中ドア4枚折戸)が目を引きます。
BJエディターズ(1994)「バスジャパン・ハンドブック19 岩手県交通」
すべての車両が前と後ろの両方から撮影され、車両一覧表もあるなど、資料性の高さは定評があります。前所有者についても解説文の中で触れられています。
1994年というのは、廃止代替バスに私の知らない中型車が多数転入しており、国際興業からは1981年式のK-CLM470を譲受しつつある時期です。最古参車両は元国際興業のBU04(1974年式)です。
BJエディターズ(1997)「バスジャパン・ハンドブック20 ジェイアールバス東北」
1997年にはまだモノコックボディの非冷房車もかなり残存しており、民営化後の新車も国鉄バスのイメージを捨て切れていない車両ばかりです。“その頃”にはなかった三菱車は、夜行高速バスを中心に勢力を伸ばしています。
なお、その後に多く入った首都圏等からの譲受車はまだありません。
私にとって見覚えのある車両は多いのですが、国鉄時代からよくある営業所間移動により、登録番号が変わっており、岩手県内に配属されていても、見知らぬナンバープレートをつけていたりします。
ポルト出版(1999)バスラマインターナショナル54
車両は、この時点で78年式が最古参となり、オリジナル系のBUは全滅しています。国際興業からはLTが転入しつつある頃です。「少し昔の岩手県交通」というページには、花巻電鉄カラー、花巻バスの旧神奈川中央交通カラーがカラー写真で掲載されています。貴重です。
巻末には型式別の車両一覧表があります。
ポルト出版(2002)バスラマインターナショナル72
”その頃”から既に15年を経ており、当時の最新型が辛うじて最古参車としてわずかに生き残っている状態です。車両アルバムには、首都圏からの譲受車もありますが、前所有者を明らかにしないのが編集方針のようです。
巻末には営業所別の車両一覧表があります。
鈴木文彦(2004)岩手のバスいまむかし
ここでは紹介できませんでしたが、岩手県の交通史を知るために欠かせない文献として「大迫町史〜交通編」があります。同書は大迫町周辺にとどまらず、岩手県内全域の交通史に触れており、岩手県で初めてバスを運行した盛宮自動車から始まる競合、統合の歴史を知ることが出来ます。“その頃”の私はこの本を図書館で読み、県内の交通史調査のベースとして重宝したものです。