ピクトグラムの部(駅構内編)
新幹線の基本でもある丸い鼻の0系の誘導サインを最後まで固持したJR東日本。常に自慢の新車をデザイン化するJR東海。駅構内サインを見ると、JR各社が新幹線をどう見せたいのかが分かってきます。
≪おさらい≫ 駅構内ピクトグラムの歴史
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過去のものでも、まだどこかの駅構内に残っているものも多数存在します。探してみましょう。
JR東日本
日本の玄関に“0系”健在
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撮影:東京駅(2009)
JR東日本は伝統的な0系のピクトグラムを緑色にしたものを全エリアで統一的に使用。もちろん東京駅構内も同様です。そして東海道新幹線には青色の0系が健在です。このボンネットの丸い蓋が、やはり新幹線を最も印象付けているからでしょう。
「西へ向かう青い新幹線と北へ向かう緑の新幹線」と言う対比を自ら壊してしまったJR東日本が、いつまでも基本コンセプトに忠実な誘導サインを守っているわけです。
(注)2009年から東海道新幹線は700系へ、2010年から東北・上越新幹線はE5系への変更が始まりました。
両社の歩み寄り
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撮影:東京駅(2009)
2009年春、それまでJR東日本、JR東海が独自に展開していた東京駅構内の誘導サインが統一されました。両社とも東北、上越、長野新幹線はJR東日本の緑色の0系のまま、東海道新幹線はJR東海の700系になりました。
JR東日本も最新型に
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撮影:長野駅(2010)
2010年夏、とうとうJR東日本も新型車のピクトグラムへの切り替えを始めてしまいました。
モデルとなっているのは東北新幹線新青森開業後に登場予定の「はやぶさ」E5系ですが、遠くから見るとダルマ、近くから見ても困った顔の爬虫類にしか見えません。それも、これがあったのは当面この電車は来ないはずの長野駅でした。
全国の新幹線ピクトグラムが、会社によって異なるという混沌とした時代が始まりました。
東海道・山陽新幹線のE5系
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撮影:茅野駅(2015)
「東京駅では東日本と東海のピクトグラムを使い分けるという大人の対応を見せ始めたJR東日本でしたが、遠く離れた長野駅では、東海道・山陽新幹線もE5系が使用されていました。」などという説明文で2011年に掲載したのち、2013年に消滅を確認していた「青いE5系」ですが、長野県内の他の駅ではまだ健在でした。
ちなみにこれは、指定券券売機で見られます。
北上駅構内の隠れキャラ
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撮影:北上駅(2024)
JR東日本の構内サインは丸っこいE5系に統一されているはずですが、隠れキャラが存在しました。青森県が道路標識用にデザインしたE5系が、なぜか岩手県の駅構内にあったのです。
JR東日本の700系
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撮影:熱海駅(2007)
熱海駅で見かけた700系です。運転台窓が中央にしかなく、最初はN700系ではと思いましたが、ライトの形状から700系です。
熱海駅はJR東日本の駅で、新幹線改札口から内側はJR東海になります。恐らくこの看板はJR東日本が作成したものだと推定します。同じピクトグラムを品川駅の在来線ホームでも見かけました。
JR東日本にN700系登場!
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撮影:東京駅(2015)
2015年夏、東京駅にとうとうN700系のピクトグラムが登場しました。ただし、この時点では、JR東日本の看板にしか展開されていませんでした。(2016年にJR東海各駅での展開を確認)
ちなみに、写真ではよく見えませんが、ライト部分は薄い灰色で表現されています。2色必要なピクトグラムになってしまいました。
福島駅の0系
左党89号様(福島駅 2008)
左党89号様(福島駅 2008)
左党89号様(福島駅 2008)
JR東日本の駅構内は緑色の0系(200系?)だけで面白味がないと思い込んでいましたが、福島駅構内にはイレギュラーなバージョンが存在するようです。
まずはいびつ頭バージョン。通常品を真似て描いたのだと思いますが、かなりの傑作です。矢印の形状から国鉄時代のもの。
次はJRになってからのものですが、ヘッドライトが欠落したバージョン。
最後は東北新幹線なのになぜか青色。これも国鉄時代のものだと思われますが、当時はサインの色区分が曖昧だったのでしょうか。
(注)撮影者によると、2009年現在ヘッドライト欠落ver.は消滅しています。
E3系ピクトグラム
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撮影:一関市民様(新庄駅 2012)
統一化が進むJR東日本にも、時々変わったものが見つかります。ミニ新幹線の山形新幹線新庄駅に見られるE3系のピクトグラムです。
確かに来るはずのない200系というわけにはいかないので、熟慮の末こうなったのだと思います。
JR東海
JR東海にも0系健在
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撮影:三河安城駅(2009)
JR東海の駅にも0系が残っていました。これでJR東海管内には2009年時点で0系から700系まで歴代ラインナップがすべて揃っていることになります。
この三河安城駅は駅構内のリニューアルにより、新幹線改札口周辺は700系ピクトグラムに変わっていましたが、在来線とを結ぶ跨線橋には、このように0系新幹線と103系が健在でした。
JR東海の100系
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撮影:豊橋駅(2009)
JR東海は早々と100系を淘汰しましたが、ピクトグラムにはまだところどころでこの精悍な表情の100系を見ることができます。
300系
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撮影:新大阪駅(2009)
「のぞみ」として華々しく登場した割には、いつの間にか「こだま」専用車のようになってしまった300系。世代交代の早さを見せ付けてくれたものです。多分そんな300系の短い全盛期に作られたと思われる誘導サインです。
なお、私は300系も700系も横から見れば同んなじだと思っていたんですが、ブルーラインの細線が上か下かと言う違いがあったんですね。
JR東海自慢の700系
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撮影:名古屋駅(2009)
東海道新幹線の駅では見飽きるほど使われているのがJR東海自慢の700系。カモノハシのような顔つきは決してカッコいいとは思えませんが、今や日本を代表する新幹線の顔です。
名古屋駅の中央通路では、この700系ピクトグラムがこれでもかと駅利用者にアピールしています。
(2016年7月に、N700系への変更を確認)
JR東海にN700系登場!
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撮影:掛川駅(2016)
JR東日本の東京駅で既に登場していたN700系ですが、本家JR東海にも登場しているのを確認しました。それも、意外な穴場、掛川駅で。
確かに700系引退も秒読みに入ったので、そろそろ変える必要はあるのですが、車種が変わるたびにピクトグラムを変えるのも大変です。もっとも、看板自体も年とともに交換するので、結果オーライなのかもしれません。
(2016年5月に名古屋駅はじめ各駅での展開を確認しました)
100系顔の200系
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撮影:東京駅(2006)
東京駅構内でJR東日本とJR東海が別々のピクトグラムを使用していた頃、JR東海の管理地にある東北・上越新幹線はこのような誘導サイン。自社の700系に対して東北・上越は100系ピクトを流用した200系。かつて2階建てグリーン車を連結して大活躍していた「スーパーやまびこ」を思い出して涙が出ます。
(同じピクトグラムは2010年には存在しましたが、2015年に消滅を確認)
JR西日本
山陽新幹線の0系
EF210-115様(徳山駅 2008)
EF210-115様(徳山駅 2008)
EF210-115様(徳山駅 2008)
JR西日本の駅に残る0系です。看板自体のデザインが三河安城のものと似ているので、国鉄時代からのものだと思います。もっともJR西日本には2008年までは0系実物が健在なので、ピクトグラムに何の問題もありません。
ただ、こうして並べてみると、表情に微妙な違いがあることが分かります。東北新幹線福島駅にもあったライトが欠落バージョンや、正面の窓柱がちょっと太いバージョンなど、こうして並べてみると違いが見えてくるものです。
100系(JR西日本バージョン)
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撮影:岡山駅(2006)
今度はJR西日本の100系です。JR東海の100系ピクトに比べると幾分実物に近いように見えます。
100系(反転)
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撮影:新神戸駅(2006)
同じ100系ですが、地色が反転しているタイプ。だからなんだと言われればそれまでですが、ちょっとイメージが異なるのでバリエーションということで掲載しました。
ひかりレールスター
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撮影:岡山駅(2006)
JR西日本の現時点での標準ピクトグラムがこれ。山陽新幹線区間のみで活躍する自慢の「ひかりレールスター」です。運転席周りを黒くしたことで普通の700系よりも速そうに見えるところがミソです。
N700系の新ピクトグラム登場
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撮影:京都駅(2012)
京都駅構内で見かけた横顔のピクトグラム。在来線の通路にあったのでJR西日本のものですが、初めて見たので撮りました。ボンネットの形やスカートのグレーなどからN700系を表現したものと推察します。
4ヶ国語が表記されており、どうやら2012年から使用が開始された最新のものだったようです。
JR九州
800系
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撮影:久留米駅(2016)
九州新幹線では、JR九州自慢の800系が細かくデザインされたピクトグラムが使われています。「つばめ」をデザインした紋章まで入れられたこだわりのピクトグラムですが、2011年に予定されている全線開通の際、N700系「さくら」が乗り入れてくるとどうなるのでしょう。
それ以前に、800系を知らなければ、目の潤んだロバに見えてしまうのは私だけでしょうか。
100系(JR九州バージョン)
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撮影:小僧猫様(博多駅 2010)
同じJR九州でも、既設の山陽新幹線駅ではJR西日本と同じ100系が使われています。よく見るとJR西日本仕様のものより屋根に厚みがあるため、JR九州オリジナルバージョンと解釈できます。
在来線は813系のシルエットです。赤いのもあるようですが、近年JR九州では誘導サインのモノトーン化が進んでいるようです。
ひかりレールスター
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撮影:小僧猫様(博多駅 2010)
博多駅でもより新しい場所は、JR西日本にあわせて「ひかりレールスター」に変わっていました。形状は変わりませんが、青色を使用していない点が“こだわりのなさ”に見えてしまうのはいけない事でしょうか。
ひかりレールスター(反転)
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撮影:小僧猫様(小倉駅 2011)
小倉駅で見られる「ひかりレールスター」は青色ですが濃淡が反転しています。もともと窓周りを黒くして格好良くしたのが「ひかりレールスター」なので、窓周りが白くなってしまうと別物に見えてしまいます。
N700系
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撮影:小僧猫様(博多駅 2011)
博多駅ビルのリニューアルに伴い登場したN700系のピクトグラム。
駅周辺からコンコースにかけて、すべてこのピクトグラムに統一されたようです。)
JR北海道
北海道新幹線のピクトグラム一番乗り!
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撮影:左党89号様(奥津軽いまべつ駅 2015)
2016年春に開業予定の北海道新幹線の青森県内の唯一の駅である奥津軽いまべつ駅にピクトグラムのフライング発見です。
隣接する道の駅いまべつに設置されているとのこと。まだ新幹線駅舎に立ち入りはできないそうですが、地元の熱意はひしひしと伝わってきます。
JR西日本のピクトグラムと似た側面の絵ですが、モデルはE5系。色付です。
駅ビルのピクトグラム
山陽新幹線のリニューアル200系
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撮影:姫路駅(2010)
姫路駅に隣接するビルからの誘導サインに、イラストチックな新幹線を発見。ちょっと丸っこいイラストで、スカートは緑色なので間違いなく200系。運転席窓の丸さから、リニューアル編成にリバイバル塗装を施したK47編成に見えます。
隣の神姫バスも同じタッチの丸っこいイラストになっています。
ただ、裏を見てみると山陽電車のピクトグラムは全く違うタッチでした。さらに、よく見てみると阪急電車に山陽電車のカラーを塗ったもの。ちょっと手抜きな感じです。
赤い0系
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撮影:姫路駅(2010)
姫路駅ビルの誘導サインに使われていた赤い0系です。駅ビルはリニューアル中で、このサインは仮に作られたもののようです。短期間のものなので、洒落で0系を使ったのでしょうか。赤の理由は駅ビルのイメージカラーのようです。
(工事期間中のものなので、2010年中に姿を消した模様です)
広島駅ビルの0系
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撮影:EF210-115様(広島駅 2007)
広島駅ビル内にある新幹線ピクトグラムは端整な表情の0系電車。太い線で構成されていますが、なかなかしっかりとしたデザイニングではないかと思います。
2015年を先取り
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撮影:金沢駅(2008)
北陸新幹線開業に向けて工事が進む金沢駅の駅ビル内の誘導サイン。JR西日本によく見られる100系のピクトグラムで改札口に誘導しています。
北陸新幹線が開業してからも使えるようにという時代先取りのピクトグラムですが、金沢駅に100系が乗り入れる可能性はほとんどないと思われます。
(北陸新幹線開業の2015年には存在しませんでした)
京都駅の進化型100系
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撮影:京都駅(2009)
京都駅地下で見つけた新幹線は、JR西日本の100系ピクトをアレンジした感じのデザインですが、正面窓の鼻筋を途中で切ったあたりにこだわりを感じます。しかしJR線は以前の電車ピクト、近鉄電車にいたっては“やっつけ仕事”を感じます。
博多駅ビルの100系
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撮影:旅男K様(博多駅 2008)
博多駅の駅ビルにあった誘導看板は、釣り目のヘッドライトから100系と思われるピクトグラム。
なお、隣のJRマークにはJRとふりがながふってあります。
新大阪阪急ビルの下ぶくれ700系
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撮影:新大阪駅(2015)
新大阪駅に隣接した新大阪阪急ビル内の誘導サインには、JR東海の700系ピクトグラムをちょっと下膨れにしたものが使われています。色はブラウンで、JR公式ピクトには見られない色使い。
新大阪駅の改札外はJR西日本のピクトグラムしかないので、それに合わせたデザインにするのが普通ですが、デザイナーさんが選んだのはJR東海のものだったという残念な結果です。
博多駅ビルの簡略形N700系
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撮影:小僧猫様(博多駅 2011)
博多駅の駅ビルのリニューアルに合わせて、駅ビル内の商業施設の誘導サインもN700系に変わりました。しかし、窓の形などが丸い簡略形になっています。
駅構内の非公式ピクトグラム
大宮駅の下膨れ0系
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撮影:大宮駅(2012)
大宮駅の改札内の新幹線乗車券売り場の奥に大きく掲げられた0系。こんな大きなものを作ったのは、新幹線改札口と間違えて反対側の改札から外へ出てしまう人が続出したためでしょう。
もともと複雑な曲線で構成されている0系ピクトグラムを手書きでトレースしたため、下膨れになりました。
広島駅構内の0系
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撮影:旅男K様(広島駅 2012)
広島駅構内の手作りと思われる誘導看板に0系。広島駅ビルにあるピクトグラムと同じデザインです。
新幹線改札内に、「これでもかという感じに」たくさん掲げられているそうです。
なお、言うまでもありませんが、0系が使用されたことがあるのは「ひかり」だけです。
おヒナさま
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撮影:熱海駅(2007)
JR東日本の自動券売機の説明板に描かれていた0系です。まん丸で屋根にとんがったアンテナがついていますが、スカートの部分の丁寧な表現が折り紙のおヒナさまのようです。
0系は正面から見ても丸いという幻想を、道路看板メーカーだけでなくJR当人も信じていたという衝撃的な事実がこれを見て分かります。
そういえば、自動券売機の画面にも同じ絵が出てくるのかをしっかり確認してくるのを忘れました。心残りです。
新大阪の劣化100系
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撮影:新大阪駅(2008)
新大阪駅構内の自動券売機のところにあったもの。くびれがなく下半身太りの傾向が見えます。色が緑色なのは東北新幹線というわけではなく、「みどりの窓口」をイメージしたものだと思われますが、ここは自由席用券売機しかありません。
(2015年に消滅を確認)
ひかりレールスター「あさぎり」
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撮影:姫路駅(2010)
姫路駅構内で、JR西日本の公式ピクトグラムに混じって散見される「ひかりレールスター」。なんとなく見過ごしてしまいそうですが、「ひかりレールスター」とは似て非なるスタイル。JR東海の「あさぎり」371系に見えます。
多分、運転台窓が低いところにあったり、ボディとスカートが一体化しているあたりが原因だと思いますが、電車のスタイルというのは難しいものです。
金沢駅のN700系
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撮影:金沢駅(2014)
JR西日本の駅なので「e5489」の看板があり、そこにN700系が描かれていました。
しかし、この駅は間もなく、JR東日本の新幹線と緊密な関係の駅になります。
駅周辺
0系と横浜地下鉄
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撮影:横浜駅(2007)
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撮影:横浜駅(2008)
横浜市営地下鉄の駅にある看板です。新幹線の新横浜駅に行くには地下鉄でどうぞということを誇示しています。
新幹線は0系です。同じ場所に2枚並んでいるのですが、よく見ると新幹線の形がちょっと違いました。2008年撮影のほうが丸みが強くなっているのが分かります。
伊豆箱根鉄道の0系
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撮影:三島駅(2012)
伊豆箱根鉄道駿豆線の駅構内に残っていたレトロな0系。JR線と書いてあるので、1987年以降の作品と思われます。しかし、「東海道線」のほうも原型がよく分からない電車が描かれています。
伊豆箱根鉄道改札の100系 (and211系)
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撮影:三島駅(2012)
こういう所にはなかなか気付きませんでした。と言うより、伊豆箱根鉄道駿豆本線に乗らないと見つけられません。
三島駅の伊豆箱根鉄道からJRへの乗り換え改札の所に、見慣れないピクトグラムを見つけました。JR東海の100系のピクトグラムを周囲も白地にしたもの。そして在来線用には211系のピクトグラムが使われています。
三島駅にはこの時点でJR東海管理エリアにも100系ピクトグラムが残っていました。それから実物の211系はJR東日本の東海道線からは姿を消したようですが、JR東海では走っていました。
水沢江刺の200系
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撮影:一関市民様(岩手県 2007)
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撮影:一関市民様(岩手県 2007)
水沢江刺駅正面口への誘導看板。道路脇に立つ誘導サインです。
両方とも緑色を基調としており東北新幹線らしさを感じます。南岩手交流プラザの方は200系の表情をうまく捉えたピクトグラムです。一方の新幹線は恐らくそれを真似て描いたと思われますが、ちょっとつぶれた感じで上手ではありません。ピクトグラムというのはこうやって少しずつ原型から乖離していくんだな、という一場面が分かる一例です。
なにゃーとの200系
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撮影:左党89号様(岩手県 2007)
新幹線開業に合わせて二戸駅併設で作られた二戸広域観光物産センター「カシオペアメッセ なにゃーと」の看板。ネーミングも微妙ですが、看板に描かれた新幹線もかなりのものです。漫画の犬かと思いました。
二戸駅「なにゃーと」の700系
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撮影:二戸駅(2022)
二戸駅に併設された物産センター「なにゃーと」に、東海道新幹線の700系のピクトグラムが・・・。
ちなみに700系は既に東海道新幹線からも引退済みです。
八戸のかぐや姫
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撮影:左党89号様(八戸駅 2008)
八戸駅前広場にあった東北新幹線のピクトグラムは丸っこくて竹から生まれてきたような形をしています。場所からしてJRではなく八戸市が作ったものではないかとのこと。
在来線のほうもJISピクトより若干角張っており、オリジナルの雰囲気があふれています。
(撮影者によると、2011年現在E5系のJR公式ピクトグラムに変わっています)
新大阪の「ど根性ガエル」
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撮影:新大阪駅(2008)
新御堂筋の誘導サインです。多分駅構内の100系ピクトグラムを下敷きにしているのだと思われますが、窓が大きすぎて「ど根性ガエル」っぽくなっています。
マリオスのE2系
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撮影:左党89号様(盛岡駅 2008)
盛岡駅西口の地域交流センター「マリオス」にある誘導サインは、E2系の横顔をモチーフにしたもの。ちょっとごつい感じに仕上がっています。
下のタクシーとエレベーターはJISピクトに準じているのに新幹線が独自仕様なのを見ると、新幹線ピクトの標準形がないための苦悩が見て取れます。
北上駅地下道のE2系
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撮影:岩手県(2018)
北上駅の東西駅広をつなぐ地下道で、E2系のピクトグラムを発見。英語や中国語をはじめとした5ヵ国語が使われていますので、そう古い物ではないと思います。
E2系は、東北から上越、長野と幅広いエリアで使用されたにもかかわらず、ピクトグラム化率は非常に低い系列です。その理由は、あまりにもシンプルなそのスタイリングにあるのかも知れません。
700系のいろいろ
豊橋駅(2009)
三河安城駅(2009)
旅男K様(福山駅 2010)
同じ700系でも、場所によって表情は色々です。
まずは豊橋駅構内の案内図にあった700系。正面の楕円の穴は何でしょう。どうやらここには非常用の連結器があるようですが、この蓋が開いているところを普段見たことはありません。
次に三河安城駅前の地図。実物も見る角度によって表情がかなり違う700系ですが、こんな風に見える角度もあるんでしょうか。連結器の蓋はおちょぼ口になっています。
そしてJR西日本のパーク&ライド看板用ピクトグラム。本家JRが作成したはずですが、駅構内のものとはかなり違います。
こう見てくると、700系というのは正面窓下の二つのヘッドライトのみがアイデンティティだと思えます。
N700系ピクト初登場!
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撮影:EF210-115様(小倉駅 2009)
(参考)JR九州バージョン
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撮影:EF210-115様(小倉駅 2009)
なかなか現れなかったN700系のピクトグラムがとうとう発見されました。それも本家JRではなく、場所から言って駅前広場の管理者、恐らく北九州市によって作られたものと推定します。
中央部にまとまった運転席、ボンネットの先端に向けて収束する段差のラインなど、N700系の特徴をうまくまとめています。
参考としてJR九州のものと思われる駅コンコースの標識も挙げますが、こちらは100系です。在来線の方は813系と思われる形に統一されていますが、モノレールはJR版のほうが実物に忠実です。
(小僧猫様によると、2011年現在、小倉駅内外は「ひかりレールスター」に統一され、上記2種類は存在しないそうです)
東北新幹線の800系
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撮影:左党89号様(青山駅 2007)
IGRいわて銀河鉄道の青山駅にある周辺案内看板。新幹線はこの駅の脇を通過していくわけですが、地図の「東北新幹線」のところに描かれたピクトグラムは、どう考えても九州新幹線の800系。多分北限の800系だと思います。
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ピクトグラムについて
ピクトグラム(Pictogram)とは、案内標識などに用いられる絵記号のことです。国際化の進展に伴い、使用言語の違いにより文字では情報が伝わらない場合があることから、特に公共的な場所で多く用いられています。
右写真の非常口のピクトグラムをご覧ください。どの国の人も、また大人も子供も、文字が読めなくても緊急時にはこのマークを目指して進めば助かるというわけです。ほかにもトイレ、禁煙、車椅子などよく見かけるピクトグラムが多数あります。
2001年に制定されたJIS規格のピクトグラム
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これらピクトグラムの形や色は基本的には「伝わればそれでいい」のですが、生活風習の違いなどで国によって異なる解釈をされると言う混乱を防ぐため、国際標準が決められています。
国際標準化機構(ISO)で決められた物に加え、2001年に日本工業規格(JIS)に制定された物が多数加わり、現在これを使用するのが一般的になっています。上の写真が鉄道駅とバスのりばを示すピクトグラムです。鉄道は下の2本の線が線路を表現しており、他の乗り物と区別できます。
これら標準化されたピクトグラムは、交通エコロジー・モビリティ財団の「標準案内用図記号」からダウンロードできるようになっています。
1980〜90年代に見られた標準的ピクトグラム
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国際的に標準といわれるピクトグラムは、1980年代から見られます。上の写真は1980年代に撮影した鉄道とバスのピクトグラムで、デザイン的にはこちらのほうがスマートだったのではないかと個人的には思います。
電車のほうは縦長で屋根上にライトのようなものが見られるなど、ちょっと路面電車のようなイメージもあります。もちろん、これはあくまでもデザイン的に共通化、単純化された記号であり、このままの姿の電車が存在するわけではありません。
しかし、ひとたび駅構内に足を踏み入れてしまえば、誘導サインの目的は変わってきます。「○○線ののりばへ行きたい」という目的です。すべてののりばが同じピクトグラムで表現されるのでは、ピクトグラムを使う意味がないため、駅構内では路線によって、或いは鉄道会社によって異なったものを使う例が多く見られます。
下の写真は有名な東京駅京葉線通路にある案内サインです。実物の電車のイラストを使い、誰でも行き着けるように工夫がされています。字を読まなくても絵を見ただけで一瞬で理解できるというメリットがあります。しかし問題点もあります。2枚の写真は同じ看板の表と裏ですが、描かれている絵が微妙に違います。姿を消してかなり経つ横須賀線の113系や京浜東北線の103系が健在な片面に対し、もう片面はこれより若干新しい電車です。しかし、撮影時点で京浜東北線の209系は既に引退し、中央線の201系や成田エクスプレスのE253系も余命わずかです。あまり細かく表現すると、頻繁に更新しなければならず、手間隙がかかりすぎるという残念な一例です。
東京駅京葉線通路の看板の表と裏(2010年撮影)
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私鉄の特急電車のように各社ごとに個性的にデザインされたものの場合も、ピクトグラム化する際に個性を主張することが少なくないようです。その最たるものが本サイトで取り上げている新幹線なのですが、探してみるとこのような例は多数見つかります。
下の写真は1990年ごろに撮影した私鉄の駅構内のピクトグラムです。名鉄パノラマカーや京急2000系などが看板車両だったことが分かります。一緒に表示されているバスも、主力として導入されていたメーカーのボディスタイルになっています。これが現在どのように変わっているかという興味もあるのですが、それを追求し始めるとまた壮大なテーマになってしまうので、ここでは触れません。
1990年代の鉄道ピクトの一例(京急、名鉄、西鉄)
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