その他看板の部
沿線にあふれる色々な新幹線の看板です。世の中の人々が新幹線をいかにいい加減に捉えているかが分かります。
安売り系
新潟の金券ショップの0系
撮影:新潟県(2017)
JRの公式ピクトグラムをちゃんと活用した新潟駅前の金券ショップ。
入口の看板は上越新幹線の200系を堅持していますが、店側から見ると東海道新幹線700系になっていました。
さらにその下を見てみると、ちょっと小さくて分かり辛いですが、「新幹線も安い」というところに富士山の麓を走る0系のイラストが。
金券ショップの0系
撮影:愛知県(2007)
豊橋駅前にあった金券ショップの看板です。新幹線、在来線、観光バス、飛行機がキャラクター化されて描かれています。こういう場合の新幹線はやっぱり0系が似合います。ボンネットの丸い蓋が赤い鼻になっています。
のぞみ風0系
撮影:EF210-115様(広島県 2007)
三原駅前のチケット販売店の看板です。新幹線は0系が描かれていますが、窓下に青ラインがあるあたりは、300系「のぞみ」の先取りをしたようです。側面窓がやたら高いのは、1980年代に流行ったハイデッカータイプでしょうか。
ちなみに周囲の路線図は主要駅を押さえているようですが「富士」駅だけちょっとひっかかります。
飛行機の顔をした100系
撮影:大宮駅(2012)
大宮駅の連絡通路に掲げられた金券ショップの看板。目立てばいいという派手な色使いに、控えめな新幹線と航空機のイラスト。一方的に100系と解釈してみましたが、顔つきは飛行機と同じだし、プロトタイプはないようです。
安売りチケット販売機の100系と300系
撮影:静岡県(2015)
撮影:静岡県(2015)
東海道本線沼津駅前のショッピングセンター入口にあった安売りチケット販売機の看板に、今はなき100系と300系の姿がありました。
300系はご多聞に漏れず、ハイデッカーのように描かれています。
さらに、共演している東海道本線の113系や小田急線は、東急8500系の色違いと思われるデザイン。近くの伊豆急行に似たような電車が走っているので、それをベースに描いたのかもしれません。
八戸の300系もどき
撮影:牧場主様(青森県 2011)
八戸にある旅行代理店の看板に描かれた新幹線。誰にも似ていないのですが、あえて言えば300系。台車部分の欠き取りが2ヵ所見えますが、複式ボギーでしょうか。
まとめて描かれている高速バスのほうも、変な所にドアがついています。
新在直通風700系
撮影:静岡県(2017)
浜松駅のホームから、おかしなピクトグラムが見えたので、思わず「ひかり号」を途中で降りて、ホームから撮影しました。格安チケットショップの存在を、新幹線ホームに向けて堂々とやってしまう勇気もさることながら、絞り込んだ運転台を表そうとして700系をナロー幅の新在直通400系ぽくしてしまうセンスにも脱帽です。
緑色の700系
撮影:静岡県(2017)
上の看板を撮影していたら、その向こうにも新幹線を見つけました。別のチケットショップの看板です。700系のイラストが主体で、右側の上の方には新幹線にまたがっている無邪気なサラリーマンが描かれています。タイトル部分には、皆さんが見慣れたJR公式ピクトグラムの700系を掲げているのですが、このお店のイメージカラーなのか、緑色になってしまっています。
店舗系
雷おこしの0系
撮影:東京都(2018)
浅草の老舗雷おこしの店になぜか0系。日本語の右書きは、第二次大戦が終わったころまでのことなので、新幹線とのコラボは時代考証を誤ったとしか言いようがありません。
窓周りの色が緑になっているところが、東北新幹線を意識しているように見えてしまいます。
新大阪の0系
撮影:大阪府(2018)
こんなところに0系が生き残っているとはこれまで気づきませんでした。
昭和の家族が、0系で電車ごっこをしながら、「アルデ新大阪」にお買い物への階段を楽しく登ってゆくところです。
もしこれが最近の作品であるとしたら、デザイナーはずるい人です。
おもちゃ屋さんの0系
撮影:神奈川県(2008)
おもちゃ屋さんの看板と言えば子供がいかに食いつくかが勝負。最新型の新幹線ひかり号から動物たちが顔を出す楽しい看板が、私鉄の駅前に健在でした。広窓の0系が健在、というよりそれしかなかった時代からのものでしょう。
はんこ屋さんの100系
撮影:EF210-115様(山口県 2009)
下関駅構内のはんこ屋さんの立て看板に描かれていた新幹線100系。注文を受けてから特急で作成することから店名がつき、イメージイラストも新幹線になったようです。
100系はまだこの界隈では「こだま号」として現役ですが、色だけは変わってしまっています。その後この看板と同じような登場時のカラーにリバイバルされました。
パチンコ新幹線
撮影:カメやん様(宮城県 2011)
小牛田にあるパチンコ新幹線は、やはり緑色をベースにしており、200系を堂々とデザインした優れもの。
そういえば、小牛田の町は、東北本線から陸羽東線、石巻線が分岐する交通の要衝であったにもかかわらず、東北新幹線の駅はお隣の古川に取られてしまった不運の町です。
店名が新幹線(臨渕羨魚編)
左党89号様(福島県 2008)
栃木県(2008)
牧場主様(青森県 2008)
絵こそありませんが店名がそのものずばり「新幹線」。さすが東北新幹線沿線だけあって、どれも申し合わせたように緑色です。しかし、共通点はそれだけではありません。
「スナック新幹線」は福島県飯野町にあるというスナックですが、この町には新幹線はおろか鉄道自体がありません。
「居酒屋新幹線」は黒磯駅前の居酒屋。黒磯駅には新幹線が並走しているものの、駅は隣の那須塩原に奪われてしまいました。
そして「パチンコ新幹線」は東北新幹線新青森開業時には駅の設置が予定されている七戸町のパチンコ店。しかし、待ち望んだ新幹線が開業する前に、この店は閉店してしまいました。
せめてお店の名前だけでも新幹線を、という切実な気持ちがひしひしと伝わってきます。
旅行系
ゴルフパックの0系
撮影:山口県(2016)
新山口駅前にデカデカと掲げられたゴルフ場への送迎バスの看板には、これもちょっと大きすぎる0系電車。「駅長おすすめ駅プラン」の文字の横にJR西日本のロゴもあることから、0系登板は確信犯でしょうか。
ちなみに新山口駅と聞いてぴんと来なかった私は、小郡駅がいつの間にか改名されていたことを知りませんでした。
(2008年撮影の写真を掲載していましたが、2016年にも健在だったので、写真を差し替えました)
旅行会社の0系
撮影:愛知県(2007)
名古屋駅近くの旅行エージェントの窓ガラスに貼られているイラストです。こういうイラストにするとバスも飛行機も時代には影響されないのですが、新幹線だけはそうも行きません。
ちなみにバスのカラーリングはKM観光のように見えてしまいます。
高架の下の200系
撮影:高崎駅(2009)
上越新幹線の高架下に貼られ、在来線利用者に対して「列車の旅がおもしろい」と訴える看板。スマートな200系が描かれています。シンプルな中にもスノープロウのでっぱりが表現され、北へ向かう新幹線を強調しています。
JR東日本高崎建築技術センターの出した看板ですが、意図的に200系を描いたのか、それほど古い感じはしません。
(情報提供:ちょご姉様)
旅行会社の200系
撮影:長野県(2009)
JR東日本の提携旅行会社の看板に描かれた200系。
分割民営化後に自慢の新車だった200系2000番台をデザインして提携店に設置したものだと思われます。ぷるぷる新幹線のようにかわいく描かれています。
ちょっと下の方が修復してありますが、長く使ってもらいたいと思います。
看板の中に生きる400系つばさ
撮影:町田駅(2011)
新在直通のパイオニアとなった山形新幹線400系も2010年に引退しましたが、登場時のデザインが看板の中に生き残っています。
これは、横浜線町田駅の壁面に描かれた「びゅうプラザ」の広告看板。飛行機とミニ新幹線のコラボです。
四国の500系
撮影:愛媛県(2016)
今治駅のワーププラザの前に置かれた看板には、500系の窓から手を振る家族が描かれています。
正面の傾斜具合はちょっと遠慮がちですが。
東北新幹線の初代MAX
撮影:左党89号様(磐城棚倉駅 2011)
新白河駅からの東北新幹線のきっぷは磐城棚倉駅でお求めくださいという看板。
イメージとして使われているのは、初代MAXE1系。オール2階建てで登場したときはインパクトがありましたが、いつの間にか東北新幹線から完全撤退し、色も塗り替えられてしまいました。
恐らく東北新幹線の花形だった1990年代の作成でしょう。
ゴムダイヤのE2系
撮影:左党89号様(宮古駅 2010)
宮古駅の旅行センターの看板に使われたE2系ですが、車輪がまるでタイヤのようです。多分、元写真の台車が不鮮明だったので、浮かんだイメージで描いてしまったのだと思います。
情景系
岐阜羽島駅の0系
撮影:岐阜県(2021)
岐阜羽島駅にはこれまでにも何回か寄ったことがあったのですが、この看板には今回初めて気づきました。
目の周りに青い仮面をつけた0系です。
観音様やお地蔵さまに見つめられながら、岐阜羽島駅に到着です。
清水ベイエリアMAP
撮影:静岡県(2015)
撮影:静岡県(2015)
清水駅前にあった「清水ベイエリアMAP」に、粋な電車のイラストがありました。
東海道新幹線は雷光を引きずりながら走る0系です。テールライトの形がちょっと100系にも似ていますが、全体の丸みは0系です。
一方、東海道本線を走るのは湘南カラーの電車。塗り分けは115系。JR東海独特のインバータ・クーラーを載せているようです。
新倉敷の0系
撮影:兵庫県(2012)
新倉敷駅の大型看板に描かれた新幹線は、お約束のように0系。
右上のりんご園の女の人は、一瞬沢野ひとし氏のイラストに見えましたが違いました。
尺取り0系
撮影:EF210-115様(山口県 2008)
絵地図の中の山陽新幹線に残る0系。
新下関駅近くの秋根記念公園にある観光看板。黄色いお鼻の0系ですが、ちょっと尺取虫風の動きで、しかも鼻の頭が虫の頭に見えてきます。
ヤドカリ0系
撮影:EF210-115様(広島県 2008)
新岩国駅構内の観光地図に描かれた0系。新幹線が駅を背負ってヤドカリ状態になっています。
そんな中、徳山駅には右のようなイラスト看板があり、「ひかりレールスター」が描かれています。
ところがよく見てみると、絵の部分はシールになっており、左下にある厚狭駅を新設する前にはここに別の新幹線が描かれていたようです。恐らくそれは0系であったものと確信します。
出っ歯風の200系
撮影:一関市民様(宮城県 2010)
出っ歯風の0系
撮影:東京都(2010)
絵地図の中でスマートさを出そうとスカート部分を強調したため、出っ歯になってしまった新幹線。似たようなイラストが遠く離れた場所に二つありました。
東北新幹線の方は、白石市の石材木岩公園の案内地図の200系。
東海道新幹線は、大井埠頭の案内地図の新幹線車両基地に描かれた0系。
飛び出す200系
撮影:左党89号様(新潟駅 2007)
飛び出す0系
撮影:東京都(2010)
俯瞰地図の中に極端な遠近法を用いて飛び出す電車になってしまった新幹線。
上越新幹線の方は、新潟駅コンコース内の案内看板の地図に描かれた200系。
東海道新幹線は、大井埠頭の案内地図の新幹線車両基地に描かれた0系。
描いた人はそれぞれ別人だと思いますが、動物っぽい新幹線はこういう角度から見ると、こんな感じに描いてみたくなるものなのかもしれません。
盛岡駅の200系
撮影:左党89号様(岩手県 2008)
盛岡駅近くのタクシーの観光看板です。盛岡駅から出発しようとしている新幹線のイラストは200系。撮影者によると1982年の大宮暫定開業時に作られた看板であろうとの話です。その根拠は木造の上盛岡駅舎にあります。その後、色々なものが追加されて現在に至っているようです。
黒磯駅の200系
撮影:栃木県(2008)
黒磯駅前のバスの路線図看板の中で見つけた200系。
黒磯駅から行けるバスの路線がイラストとともに描かれています。牧場の牛や露天風呂でくつろぐ人、赤いバスなどが沿線に点在しているのが分かります。その中で、左下の「那須塩原駅」のところには東北新幹線200系が描かれており、隣の駅から新幹線に乗れることがわかるようになっています。
水沢江刺の200系
撮影:長谷川竜様(岩手県 2014)
水沢江刺駅前の大型地図の中に描かれていた新幹線。緑色なので200系だと思いましたが、全身緑色といえばE5系にも見えます。
奥州市成立後の作成ですので、2006年以降に描かれたもの。どちらとも判断できません。
ところで、“その頃”に仮称「新水沢駅」であった新駅の駅名を決める際、隣接する江刺市の強い要望で「水沢江刺駅」となったことを記憶しているので、水沢市も江刺市も同じ奥州市になってしまったことには、気落ちするような感慨を覚えます。
200系トリックアート
撮影:左党89号様(福島市 2008)
防犯ポスターの東北新幹線200系。東北新幹線というと、このポスターのように立派な高架線をひたすら直進していくというイメージがあります。実際この場所からこんな風景が見えるそうです。
ところでこの絵をよく見ると、奇妙なことに気付きます。中央のビルは高架線の手前にあるんでしょうか、向こう側にあるんでしょうか。
青函トンネルの200系
撮影:牧場主様(青森県 2007)
青森県側の青函トンネル入口にある「青函トンネル広場」に立つ看板の中に200系が描かれています。青函トンネル開通時にはバリバリの現役だった200系ですが、北海道新幹線開業後にここを走ることはなさそうです。
ちなみにこの看板の中央に「現在地」としてこの看板自身の絵が描かれています。その看板の中には200系の姿はないようです。
コンピューターグラフィック0系
撮影:愛知県(2011)
名古屋駅の駅ビルの飲食店案内に描かれた駅構内に、立体的で角張った新幹線の姿が。昔はコンピューターグラフィックで描くとこうなると思っていましたが、今ではこんな風に描く方が難しいはずです。
新潟になじんだE1系
撮影:左党89号様(新潟県 2007)
新潟駅周辺連続立体化工事をPRする看板です。描かれている新幹線は、新幹線看板界では最もマイナーな電車であるE1系(初代MAX)。この電車、現在では上越新幹線のみの運用で、リニューアルに伴い朱鷺(とき)色のラインを入れるなど、新潟県ではご当地電車なんでしょう。
ちなみに在来線を走っているのは「きらきらうえつ」とE127系、バスは赤屋根の新潟交通。
E2系を描くのは難しい
撮影:左党89号様(岩手県 2009)
E2系は色がないと分からない
撮影:埼玉県(2011)
新幹線を見たことがあってもE2系の絵を描こうとすると、大体うまく描けないという実例です。
岩手県の方は仙北町駅近くにあったセメント工場の看板だそうです。この色に塗られていなければ、単なる未来の電車です。
埼玉県のものは高崎線本庄駅に掲げられたイラスト地図に描かれた新幹線。色が塗られていない以上、E2系であるとの確証すらありません。変な所にライトが見えるので、E4系かもしれません。
工事看板における電車発達史
高崎における電車発達史
200系と165系
撮影:以下3枚とも群馬県(2007)
上越線と道路との立体交差化工事場所にあった看板です。
まず1番上の看板は、高架線を行く上越新幹線がグリーンラインの200系です。下を行く在来線電車も湘南色の165系風。
(これらの看板は、2009年現在で存在していませんでした)
E2系と165系
ところが、近くにあった同じような看板を見ていくと新幹線がE2系に変わってしまっていました。
車の量がかなり増えているほか、橋脚や背景のビルもリアルな造形になっています。
E2系とE231系
さらにもう1枚は在来線の電車がステンレス製に変わっていました。色が薄いのでちょと見難いですが、上の2枚で湘南カラーの電車の走っていた位置にシルバーの電車が見えます。
車の数はめっきり減ってしまいました。
富山における電車発達史
富山駅高架化の手順
以下4枚とも撮影:富山県(2015)
これらの看板は、在来線だけだった富山駅を高架線の新幹線駅にする過程を図解したものです。
ここに描かれている断面図などの電車を眺めてみることにします。
まずは、そのうち一つの看板から、この工事内容を概観してみます。当初平面にあった在来線を北側に移し、南側に新幹線高架と在来線高架を建設します。新幹線開業時には、北陸本線下りホームのみ地平で残りますが、これを高架化することで、地平が空洞になるため、北口広場から南口広場へLRTがつながるという工事内容です。
E2系と富山地鉄3000系
まずは駅周辺のイラストから。
新幹線高架を行くのはE2系。2両目の窓間隔が広い車両はグリーン車でしょう。芸の細かいイラストです。しかし、残念ながら、開業した北陸新幹線にこの電車が来ることはありませんでした。
手前の高架線を行くのは富山地方鉄道。元京阪テレビカーの10030形だと思われます。京阪カラーのリバイバル車でしょうか。
E2系と475系と富山地鉄3000系
新幹線開業後の断面図には、やはりE2系。
しかし、高架線に上がった北陸本線のホームには、いわゆる国鉄形電車の475系北陸色が並んでいます。そもそも、北陸新幹線開業と同時に北陸本線は、第三セクターのあいの風とやま鉄道になったわけですが、この看板作成時にはまだ決まっていなかったのでしょう。
富山地方鉄道のほうは、元京阪テレビカーの10030形。
E7系と475系とライトレール
新幹線開業後に引き続き行われる高架工事を解説した看板は、新しく作ったので新幹線はE7系に変わりました。
在来線もちゃんとあいの風とやま鉄道と記載されています。高架化によって駅前広場が北と南でつながり、富山地鉄の路面電車とライトレールが相互直通運転を開始します。新しい公共交通作りで視察団の多い富山市に、また新しい見学場所が増えます。
この図によると、平成31〜32年頃まで北陸色の国鉄形電車は健在のようです。安心しました。
ホバークラフトE7系
撮影:長野県(2018)
長野市の駅南幹線の工事看板に描かれた北陸新幹線E7系。
漫画チックに描こうとしたせいか、裾がホバークラフトのようになっています。ホバークラフトは、裾のエアクッションから空気を噴出することで、陸でも海でも進行することができます。
もし本物のE7系にこの機能が備わっていたなら(以下略)。
(参考掲載)沼津駅の小田急RSE
撮影:静岡県(2016)
沼津駅西側の「あまねガード」建設現場の看板には、2012年に引退済みの特急「あさぎり」小田急RSE20000系電車が描かれています。
もちろん、看板を作成した時はまだ現役だったのだと思いますが、JR東海にも「あさぎり」用の371系という電車があったのに、あえて小田急の車両を描いたのは、なぜでしょうか。
国鉄遺跡系
壁面に残る昭和の香り
撮影:上野駅(2009)
上野駅の壁面に見つけた古めかしい看板。東海道新幹線の0系が描かれ、新幹線の特急券は当駅で買うよう求めています。背景の区切り線も0系の側面イラストになっています。
恐らく国鉄時代に作られた標準品と思われますが、どのくらいの駅に今でも残っているのでしょうか。
手の長〜い0系
撮影:東京駅(2008)
(2012年に撤去を確認)
東北新幹線の0系
撮影:ちょご姉様(上野駅 2007)
緑色の東北新幹線カラーですが、スタイルはどう考えても東海道新幹線の0系。こういうテイストは当時は結構見られたものです。青梅鉄道公園では実際に保存車の0系を緑に塗り替えていたそうです。
(2012年に撤去を確認)
「ハンサムトレインやまびこ」の壁画
撮影:左党89号様(岩手県 2008)
「楽しい旅は新幹線で」と在来線利用者に新幹線をPRする大型看板が矢幅駅に残っていました。虹の上を走る東北新幹線200系や頭をかくジャイアントパンダちゃんなど楽しさいっぱいのイラストです。
真ん中辺の木の陰にも200系と思われるものが見える気がします。
更に上部のタイトルの前に描かれているのが「ハンサムトレインやまびこ」のシンボルマーク。右隅に拡大しましたが、1982年の大宮暫定開業時の東北新幹線のキャッチフレーズです。200系は東海道新幹線の0系より角張っていてカッコいいので、こんなキャッチが考えられたのです。
「THEやまびこ」の200系
撮影:一関市民様(岩手県 2008)
新幹線と国道の立体交差部分に書かれた水沢江刺駅への誘導看板ですが、端のほうになにやらイラストが。彗星の軌跡から飛び出してきたような200系と「THE YAMABIKO」の文字。ハンサムトレインに負けずとも劣らない、国鉄時代のカッコイイ200系「やまびこ」です。
ちなみに新幹線は上から見ると釣り目になります。
駅とその周辺
ホームドアの0系
撮影:熱海駅(2007)
熱海駅は通過線がないためかなり初期の段階でホームドアが設置されました。そのせいでホームドアを知らない人に対する注意喚起の意味で掲示されたのでしょう。
描かれた0系は右のほうに中途半端な遠近法が掛けられた不思議なイラストで、窓下にしかラインがないため300系の影響も感じられます。
(2014年に撤去を確認)
駅前駐車場の200系
撮影:旅男K様(福島県 2007)
郡山駅の駅前駐車場の看板です。パーク&新幹線ライド専用駐車場とのことで、「STEP3」のところに「JRで旅行に行こう!」という言葉とともに緑色の200系が描かれています。
200系までの新幹線は、この輪郭と屋根のアンテナを描くだけで簡単に新幹線だと分かったものです。私も幼稚園の頃、こんな感じで「ひかり号」を描いていました。
編成図の200系
撮影:左党89号様(二戸駅 2007)
東北新幹線二戸駅ホームにある乗車位置案内の看板です。定期列車は「はやて」10両なのですが、臨時列車を見越して「MAXやまびこ」と「やまびこ」の編成図も掲載されています。その「やまびこ」の12両と10両が旧塗装の200系、それも細帯付の2000番台になっています。
撮影者によると全車禁煙の部分に貼り直した形跡がないことから、2007年4月の全車禁煙時に製作した物だろうとのこと。皮肉にも本物の旧塗装200系はその直後に消滅しています。
両運転台の700系
撮影:熱海駅(2007)
階段を上がったところにあり、どちらが1号車でどちらが16号車なのかを示すために作られたようです。その下にはもっと細かい普通の編成図も書かれています。
ちなみにこれはホーム側から見た写真ですが、列車側から見ると文字のない単なる700系が見えるため、一体何の意味があるのだろうと疑問に思っていました。
(2014年に撤去を確認)
その他
幼稚園にウエストひかり
撮影:OKMR様(香川県 2008)
幼稚園の入口に掲げられた看板に新幹線のイラスト。子供は新幹線が大好きです。
この丸っこくて愛らしいスタイルは0系そのものですが、窓下に細いラインがありますので「ウエストひかり」だと思います。「ウエストひかり」は今の「ひかりレールスター」の原型となった2人掛けシートのハイレベルな0系でした。
未来の電車500系
撮影:旅男K様(福岡県 2010)
保育園の看板に「みらい21」という夢あふれるフレーズとともに描かれているのはスマートな新幹線。多分500系。
未来の電車として登場した500系が、子供たちが大きくなるまで現役であることを祈ります。
卒業記念の「こまち」
撮影:左党89号様(秋田県 2007)
大仙市の小学校の入口看板ですが、秋田新幹線のE3系をうまくデザインしています。平成8年度の卒業生一同からの寄贈だそうです。
秋田新幹線が開業したのは、ちょうどこの年度の卒業生が卒業した年。いい記念になったと思います。
こまちロールのE3系
撮影:左党89号様(秋田県 2007)
秋田新幹線の駅に出ていた「こまちロール」という洋菓子の看板。包装にE3系をデザインしたロールケーキだそうです。あきたこまち米粉100%使用で秋田りんごも入っているという優れもの。
撮影者によると窓から顔をのぞかせているのは、2007年の秋田わか杉国体のキャラクターだそうで、この看板も2007年限りかもしれません。
交通に便利ならN700系
撮影:左党89号様(岩手県 2009)
盛岡駅前のビルに取り付けられたLEDサインに出てくるカプセルホテルのPRに使われたN700系。 交通に便利ということを表したいようですが、東北新幹線ではなく、東海道新幹線の最新型が使われました。広告制作会社といえども、この程度の認識です。
新幹線の野立て看板
本編では新幹線のイラストを描いた看板を扱ってきましたが、サーチエンジンで「新幹線 看板」と検索すると、ほとんど違うものが引っかかってきます。それが新幹線の窓から見える野立て看板です。逆にこの野立て看板のことを知りたくて「新幹線の看板」で検索した人が、このコーナーにたどり着いてしまうこともあるわけです。そういう方々がガッカリしないように、ここでも野立て看板について触れておくことにします。
もしかするとそれが狙いなのかもしれません。何気なく見ているものの中に意味の分からないものがあると、それが人間の興味を引くのです。そして「727」が何であるか調べてみたり、誰かに聞いてみたりしたくなるのです。
更にそれが一つや二つでなく、いくつも現れてくるのですから、興味を持たない人の頭の中にも、いつの間にか潜在記憶としてインプットされているのです。これはテレビで禁止されている広告手法の「サブリミナル効果」というのに似ていると思います。
近くにいる友達に聞いてみてください。「新幹線の沿線に727って看板あるよね」と。恐らく多くの人が「そういえばある」と答えると思います。見ていない人も実は見ている。これがサブリミナル効果です。
ほかにも東海道山陽新幹線に多い「ローズテクニー」など野立て看板は多数ありますが、記憶に残るのは意味不明でシンプルなものに限られるようです。細かい字で読みにくいものや誰もに理解しやすいものはすぐに忘れてしまいます。
また看板の契約期間などの影響かその勢力地図は年々変化しているようです。こういった部分については、きちんと調べているサイトがたくさんあるので、そちらにお任せします。また、ここで触れた野立て看板がどんな商品を宣伝しているのかも、ここではあえて触れませんので、皆さんで調べてみてください。
(注)穴吹工務店は2009年に会社更生法を適用し、これらの看板も撤去されたようです。