岩手県交通のカラーバラエティ

1.前身3社(岩手中央バス)


岩手県交通は、1976年に岩手中央バス、花巻バス、岩手県南バスの3社が合併して成立しました。
ここでは、それら旧3社時代のカラーデザインを振り返ります。
なお、掲載した中には、岩手県交通に引き継がれる前に姿を消したデザインも存在します。

岩手中央バス

岩手中央バスは盛岡市を中心に営業展開しており、1970年に国際興業傘下に入りました。1971年には、花巻電鉄を合併しています。

1-1 岩手中央バス・旧カラー(都営バスカラー)
1950年代〜1962(昭37)年頃(1970年頃まで使用)
岩手中央バス

三菱R480(1960年式)60243
参考:IBC「いわてアーカイブの旅(デパートの屋上遊園地)」

岩手中央バスが1950年代に用いていたカラーは、東京都交通局と同じデザインでした。(東京都では、1951〜59年の間に採用)
岩手中央バスでは、路線バス、貸切バスの両方に用いていたようです。
1970年まで残存していた記録がありますが、岩手県交通には引き継がれることなく消滅しています。(注1)

1-2 岩手中央バス・貸切・長距離カラー(ブルーリボンカラー)
1962(昭37)年頃〜1966(昭41)年頃(1975年頃まで使用)
岩手中央バス

三菱MR490(1966年式)岩2く357
参考:IBC「いわてアーカイブの旅(第47回 集団就職)」

岩手中央バスが貸切バス、長距離路線バスに使用していたカラーで、日野ブルーリボンのカタログカラー。
貸切バスは1968年に岩手観光バスに分社されているため、その後は、長距離バス用にのみ残りました。
1973〜76年の間に廃車により消滅し、岩手県交通には引き継がれませんでした。(注2)

1-3 岩手中央バス・路線カラー
1963(昭38)頃〜1976(昭51)年 (1985年まで使用)
岩手中央バス

日野RB10(1963年式)岩2く256
参考:IBC「いわてアーカイブの旅(第224回 バス路線開通)」

岩手中央バスが1960〜70年代に用いていたカラーで、クリーム色に青帯のシンプルなデザイン。路線バスに展開されたカラーのようで、同時期の貸切バスは上のブルーリボンカラーでした。
最終的には1985年までに廃車や岩手県交通カラーへの塗り替えで姿を消しました。(注3)

1-4 岩手中央バス・貸切カラー(岩手観光バスカラー)
1967(昭42)〜1968(昭43)年(岩手観光バスでは1987年頃まで使用)
岩手中央バス

三菱MAR470(1967年式)

岩手中央バスが1967年に導入したセミデッカーの観光バスに採用されたカラーで、1968年に分社により岩手観光バスが設立されたため、同社に移籍、その後、長く岩手観光バスのカラーデザインとなりました。(注4)
(岩手中央バス時代の社名の入れ方については、詳細は不明で、イラストは岩手観光バスと同じ配置としています)

1-5 花巻電鉄カラー
1971(昭46)合併により引き継ぎ(1983年頃まで使用)
岩手中央バス

いすゞBA30(1967年式)岩2く5056・5057

1971(昭和46)年に花巻電鉄を合併したことで、花巻電鉄のカラーデザインも岩手中央バスに加わりました。
合併直後に、路線バスタイプについては、岩手中央バスカラーへの塗り替えが行われましたが、このカラーのまま残った車両もあります。

1-6 岩手中央バス・貸切カラー(花巻電鉄カラー)
1972(昭47)〜1974(昭和49)年(岩手中央バス導入車は1979年頃まで使用)
岩手中央バス

いすゞBU15KP(1972年式)岩22か221・222

花巻電鉄カラーと同じ色ですが、岩手中央バスが新車に採用したということで、区別して記載します。
岩手中央バスは1968年に貸切事業を分社していましたが、1971年の花巻電鉄合併で、再び貸切事業が加わりました。当然、車両も花巻電鉄出身の車両でした。そうした中、1972年と1974年に岩手中央バスとしての貸切新車を導入しましたが、これらは、花巻電鉄カラーに塗られました。
岩手県交通成立後の1979年頃に、岩手県交通カラーに塗り替えられたようです。
なお、側面の社名は、花巻電鉄では1966年以降の貸切車でローマ字表記を採用、これを岩手中央バスも引き継いでいます。さらに、岩手県交通成立後も引き続きローマ字でした。

1-7 岩手中央バス・長距離カラー(国際興業貸切カラー)
1973(昭48)〜1974(昭49)年(1984年まで使用)
岩手中央バス

いすゞBU15KP(1974年式)

岩手中央バスが1970年に国際興業資本に入った後、長距離路線バスに使用する車両は、国際興業貸切カラーになりました。これまで1-2 ブルーリボンカラーに塗られていた車両と同じ目的で使用されますが、カラーデザインそのものも出自が同じなだけによく似ています。
1973年の国際興業からの譲受車が最初だと思われます。続いて1974年に早坂高原線、花巻空港線用に新造された車両にも採用されました。岩手県交通発足後、1984年までに岩手県交通カラーに塗り替えられて姿を消しました。

1-8 岩手中央バス・譲受車カラー(国際興業カラー)
1974(昭49)〜1978(昭53)年(1984年まで使用)
岩手中央バス

いすゞBA741(1964年式)

岩手中央バスが1974年以降に国際興業から譲受した車両は、色を塗り替えずに使用しています。屋根肩部のローマ字社名やKKKロゴなどは消されています。
1976年に岩手県交通成立以降も、1978年の譲受車まで、この色で就役した車両があります。
1984年に、このカラーに塗られた車両がすべて廃車になったことで、姿を消しました。
(岩手県交通は、1986年に国際興業グループ入りし、2000年に、このカラーは岩手県交通に再度登場しています)

国際興業時代のカラーです。腰板の「KKK」のロゴと、屋根肩のローマ字の社名がある点が、岩手中央バス移籍後との違いです。

岩手中央バス
(注1)
河村かずふさ(2007)「思い出色のバス2」P.24に、都営バスカラーのバスで1962年式(撮影も1962年)の写真が掲載されており、1962年まではこのカラーが採用されていたことが分かる。
また、IBC「いわてアーカイブの旅(第167回地下道)」の1970年の映像にこのカラーの前ドア車(イラストと同じ型式と思われる)が写っているため、消滅は1970年以降。
(注2)
河村かずふさ(2007)「思い出色のバス2」P.52に、ブルーリボンカラーの長距離路線バス(1962年撮影)が掲載されており、1962年には存在したことが分かる。
また、板橋不二男様が1973年に撮影していることから、消滅は1973年以降。
(注3)
岩手中央バスカラーの最終車両は、1976年6月の岩手県交通成立後に納車されているが、発注は岩手中央バス時代に行われており、岩手県交通がこのカラーで購入したわけではない。
(注4)
岩手観光バスのセミデッカーは、同社設立の1968年より前の1967年式であり、かつ、岩手中央バス時代に最新型貸切車として岩手日報に広告掲載されているのを私自身が過去に確認しているため、カラーデザイン、車両ともに岩手中央バス時代に導入されたと断言できる。
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