訪問記 【2009.2.7】
2002年の銭湯マップを見ても「番台」ともう一つ、2つのマークがあるだけの設備的には超シンプル銭湯。要するに昔のまんまということ。開業は昭和も36年ということで、伝統的な二重の千鳥破風屋根の木造建築なのだが
、材木などが比較的綺麗。老朽化とはとてもいえない外観だけれども、銭湯はやはり水廻りとか配管が痛んでしまうのかな。ここは駅からかなり離れているが、小さな商店街があってその一角に鎮座している。商店街の奥は石神井団地になっていて、富士街道のバス停、石神井団地前で降りると比較的すぐ。登りのバスの行き先は阿佐ヶ谷(上井草、荻窪経由)と成増(石神井公園経由)だった。
少し階段上がって暖簾を潜って中に入る。左右に典型的な下足箱、鍵は確かさくらだったような。引き戸から中に入ると昭和中期的番台、なんとエラク若いお姉さんが週刊誌かなんかのジグゾーパズルしながら座っている。料金払い中へ。誰もいない(土曜日の18時)。テレビも音もなく、静まり返った脱衣場でお姉さんがいるところで裸になるのはやはり抵抗あり。番台に親父がいるときの女の人の気持ちがよく解る。脱衣場も実に昭和中期的で飾り気などは何にもない昔のまま。天井は一応、格天井だが折り上げ部分なし。真ん中に島ロッカー2列。トイレは中からのアプローチだけど、外には縁側もあって池のある庭もある(残念ながら魚はいないし、真っ暗)。体重計は石田のふるいアナログ体重計。男女境は鏡壁だ。
浴室へ。正面の中島さんのペンキ絵は前に来たときのまま。男女の境の上に富士山が描かれていて、男湯側は渓流の図。このペンキ絵の下のタイル絵がなかなかいい。九谷というほど古い感じがしないんだが、よく見るとやはり鯉はよく描けている。水がやに水色ぽいのが変わっているところ。上のほうに水滴が広がっていたりするので何か水中を描いている様だ。それで、男女境の横長のタイル絵がまた見事。写実的な日本画的な絵で、真ん中に富士山、両脇には桜が咲き乱れている。よく見ると和船があったり、これはすばらしい絵だ。
島カラン1列(横長鏡のみで、シャワーなし)。カランの配置はは8-7-7-8、カランは和栗の球形の赤青、桶は睦和の黄だが富士見湯の屋号入り、椅子はM字緑(小)。浴槽はシンプルな浅湯と深湯で、3点背ジェット2-
3基あり。浴槽周りのタイルは昭和中期に多い黄緑の無地。
というわけで、練馬の石神井団地の守り神的商店街の一角に位置する富士見湯はダブル富士山のビジュアルのある静かで落ち着く昔ながらのいい銭湯だった。こういう銭湯がほんとうに少なくなってきたのだ。団地はビルを建て直してモダンにで綺麗になっているのだけど・・・
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