京都の焼物の旅を終えて
焼物の産地というのは、一般的には山間部にあって一つの焼物の街を形成しているようなところであることが多い。街に入ればどこもかしこも焼物一色に埋め尽くされていて、訪問先を見つける苦労もない。そういう観点からすると京都という街はひどく異質な存在だ。清水焼の陶磁器を扱う店はいっぱいあるけれど、焼物の産地としての臭いを感じ取れるかどうかは全く自信が持てなかった。しかし、五条坂の煉瓦作りの煙突を見たとたん、京都も決して例外ではないということを実感できた。そういう目で見てみると東山界隈もまさに焼物にうってつけの地形をしている。京都という街があまりにもいろいろなものを内抱しているために、焼物の産地としての京都がわかり難くなっているだけなのだろう。窯元の多くが山科の清水焼団地に場所を移しつつあるが、これまでどおり京焼の伝統を受け継いでいってほしいものだ。
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