訪問記 【2008.12.21】
今日は庭園で有名な江東区の常盤湯へ。改めて訪れてみると常盤湯はなんとも外観の美しい伝統的な一軒家レトロ銭湯だ。玄関周りだけが改装されているのだが、まるで博物館のように正面玄関部分を昔のまま保存して左横に新たな玄関を増設している。左にL字状に配された下足箱(松竹錠)に靴を入れて右に進んで自動ドアーから中に入ると、なんと昔の玄関の中へと誘導される。従来の番台裏がそのままに保存されていて正面には七福神のタイル絵が燦然と輝いている。締められた本来の引き戸の裏を眺めるのは不思議な感じだ。
左右の脱衣場へ通じる木の引き戸も昔のまま。中に入ると右手には重厚な番台(番台脇の木の模様も見事)。玄関を改装しているのに番台はそのままなのだ。年配の親父さんがどっぷりと腰掛けている。お遍路帳の判子を貰って中へ。天井は折り上げ式の綺麗な格天井で柱時計も健在だ。男女境は鏡壁で周りの木枠も年季が入っている。体重計はYMATOの小型のアナログ体重計。島ロッカーは2列で、脱衣場の左側はすべてガラス張りの引き戸で広い縁側に続いている。驚いたことに縁側にも島ロッカーが1列置かれていて、外で脱衣ができるようになっている。欄干越しには浴室脇まで広がる縦長の池があって大きくて立派な鯉が泳いでいる。足立区の宝湯には及ばないものの、噂どおり大田区の重の湯と3本の指に入るほどの立派な庭だ。灯篭や岩組みの造作がなかなか見事だ。
浴室へ続く引き戸も重厚な白木造りのまま。正面には早川さんのペンキ絵、日付がないのだが「早川、伊豆」とだけ書かれている。男女境に富士山が描かれていて、男湯側は波しぶきがはじけ飛ぶ西伊豆の海岸線、左寄りに穴の開いた岩がそびえ立っている。男女境の壁上には横長にタイル絵。和風の屏風絵のような感じで、兼六園かなにかの庭園のようにも見える。橋やら弁天堂のようなものが細かく描かれている。
島カランは2列でカランの配置は4-5-5-5、一番外側の壁は引き戸(ここだけはサッシに替えられている)で庭に面しているのでカランがない。立ちシャワーブースは1基、カランは6角のライトブルーで、湯温はかなり熱くて湯量も豊富。桶はケロリン黄桶で、椅子は普及版。カラン周りも昔ながらの白いタイル張りのままで、お湯の流れる側溝もタイル張りと昔のままの状態が保たれている。グリーンのタイルの縁取りがあるのがお洒落だ。浴槽は3浴槽、深湯(高温槽と書かれている)、真ん中が広い浅湯で3点背ジェット2基あり、そして左端に低温と書かれた第3の浴槽がある。熱いほうは43℃強はあるだろうか。浴槽はすべて白いタイル貼り。
そんなわけで、清澄白川の常盤湯は噂に違わず、堂々の何もかも揃った昔ながらのそしてすべてが綺麗に温存された貴重な超レトロ銭湯だった。この銭湯は絶対いつまでも続いてもらいたいものだ。
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