ゴジハム感想文・改訂版
〜2005年版〜


(はじめに)
昨年、一昨年に続き、2004年12月5日、茨城県某市の劇場で鑑賞した「ゴジラ FIN
AL WARS」(以下「GFW」)の感想文を発表したいと思います。
昨年までだったらゴジラは「劇場版とっとこハム太郎」と同時上映だったんですが、200
4年度は「GFW」は単独上映、「劇場版とっとこハム太郎・ハム太郎とふしぎのオニの絵
本島」は「映画 犬夜叉 紅蓮の蓬莱島」と同時上映のため管理人「ハム太郎」は見てい
ませんが(去年までだって同時上映だったため見ていただけ)今までの流れを考慮した
上で「ゴジハム感想文」に掲載することをご了承ください。

前置きが長くなりました。感想文に参りましょう。なお、例によって以下に挙げる文は当
日のBBSにおいて発表したもので、一部手直しをしています。また、コレを発表した後
に感じたものを「追記」として発表させていただきます。

シリーズ50年の集大成 最高作にして最終作・ゴジラ50周年記念作品
ゴジラ FINAL WARS

(スタッフ)監督/北村龍平、脚本/桐山 勲・三村 渉、特殊技術/浅田英一、
     音楽監督/キース・エマーソン、メインタイトル/カイル・クーパー


正直言って「面白かったけど…」というのが感想でしたね。
特番(筆者注・2004年11月28日テレビ東京系で放送)で見た際に感じた「落ち着
きのないカメラワーク」は話が進むにつれそれほど気にならなかったし、何より怪獣バト
ルはよくできてたと思うんですが(さすが浅田監督)、何か物足りない気がしたんですよね
…。
で、帰り道に気がついたんですが「これが最終作!」みたいな感じが画面から感じ取れな
かったんですよね。

これが例えば同じ「シリーズ完結編」と銘打った「ゴジラVSデストロイア」の場合だと
「ゴジラ死す」というのが作品のテーマですから結局はそれに向かって一直線に進んでい
くゴジラを描いていてゴジラのバトルそのものに悲壮感みたいなのを感じたんですが、今
回の「GFW」のバトルシーンはほとんどあっという間に片付けてるから(特にVSジラ
なんざ秒殺)、最後のモンスターX戦でも苦戦してるようには見えるんですけど、それ程に
は感じなかったし…。
それに何だかX星人もイマイチずるさ、というか「悪さ」が見られなかったような…。そ
れもこれも全て北村一輝扮する統制官が時折見せるコミカルなシーンがそうさせるのでし
ょうか(笑)。
それに破壊描写も世界各地が壊滅した、というのになんと言うのか悲惨さがなかったよう
な…。この辺は例えば廃墟の中で尾崎あたりに「もう我々には打つ手がないのか?」と言
わせてゴードン艦長が「いや、まだひとつだけある」みたいな「絶望感に打ちひしがれる
中でわずかに見えた希望」みたいな描写があればもっとよかったような…。

もう一度言いますけどこれを「アクション映画」として見ればよくできた作品だと思うし、
面白かったんですけど「怪獣映画」として見ると最終作という割には…、と言う感じでし
た。
とは言え、松岡昌宏はいい演技してたし、管理人はあの映画見てドン・フライ(というか
ゴードン艦長)にホレました(笑)。

ま、いつになるかわかりませんがいつかゴジラが復活した時には本当に「見ててよかっ
た!」と思える作品になって欲しいと思います。

(追記・2005年1月)
今回の作品は色々とHPを覗いて見たんですが、肯定派と否定派が真っ二つに分かれてい
る作品のようですね。勿論これまでの作品でも肯定派と否定派がいましたが、これほど空
前の割れ方をした作品にはここ最近お目にかかっていなかったような…。
で、考えて見たんですが肯定派は「今までのゴジラ映画のパターンを打ち破った作品」「こ
ういったゴジラ映画もアリだ」「かつてのチャンピオンまつり(※)を髣髴とさせる作品」といっ
たところで否定派は「怪獣の出番が少ない」「ドラマ部分がからきし駄目」「ハリウッド映画
のパクリが多すぎる」といった所でしょうか?

私自身はどっちかというと肯定派ですから「ハリウッド映画のパクリ」も大して気になら
なかったし(それでも「ちょっとこれはオーバーだろ」という演出はありましたが)、ドラ
マ部分もよくやっているな、と思いましたが。
ただ、バランスが悪いというのか、尾崎と統制官、ゴードン大佐とX星人のバトルは結構
時間を取ってるのに、怪獣バトルの方は中盤はあっさりと終わらせ過ぎで、それとは逆に
最後のモンスターX→カイザーギドラ戦はちょっと長すぎたような…。
また、上にも書いてあった北村一輝演じるX星人統制官の「やっぱりマグロばっか食って
るようなヤツじゃダメだな。次!」とか「あ、ちょっと待ってて!」といったコミカルな
部分が何だか目に付いて…。「オイオイ、もうちょっと落ち着けよ!」と劇場でツッコミを
入れてしまいました(笑)。
それとオープニングタイトルは何だか「チカチカしてて見づらいな…」と思いました。も
う少し工夫できなかったのでしょうか? (ま、いつもの「東宝マーク」が昔使ってた「T
OHO SCOPE」の文字入りだったのには驚いたけど)
それともうひとつ。醍醐国連事務総長(演・宝田明)の「私も昔は百発百中の男と言わ
れたものだ」という台詞。かつて宝田氏主演・福田純監督の「100発100中」という作
品があって、それに絡めたギャグだ、というのどれだけの人が知っているかしら…(ちな
みに管理人も「100発100中」は未見です)。

聞いた所によると北村龍平監督のフェイバリット・ゴジラは「ゴジラ対メカゴジラ」(19
74)とか。つまりもろ「チャンピオンまつり」世代なわけで、その頃のゴジラというのは
「地球侵略に来た宇宙人(海底人もいたけど)が送り出す悪玉怪獣をヒーロー・ゴジラ
が迎え撃つ」といった形の所謂「善玉としてのゴジラ」の映画として製作されてたわけで
すよね。
もしかしたら北村監督はこの話があった際に「自分がかつて見ていたチャンピオンまつり
の興奮を再現しよう」と思っていたのかもしれませんが…。
「チャンピオンまつりの頃のゴジラも許容範囲」という人だったら今回の作品は面白かっ
たかもしれませんが、「あの頃の作品はどうもなあ…」と言う人だったら今回の作品はどう
しても許せない作品となってしまうのかもしれませんね。

で、考えて見るとこの作品は「シリーズ完結編」というよりも「生誕50周年記念のお祭
り作品」としての感じが強かったように思われますね。「シリーズ完結編」を期待して見に
行った人にとっては肩透かしを食らったような作品だったと思いますし、それとは逆に「5
0周年記念作品」として見に行った人はとても面白い作品だったのではないでしょうか?

一応東宝はこの作品をもってゴジラシリーズは一時休止、という形を取るようですが、3
年先か5年先か、はたまた10年くらい先になるかわかりませんがまたいつか劇場に帰っ
てくる日を今から楽しみにしております。
とはいえ、たとえ製作休止期間中でも雑誌などの展開は続けて欲しいですね。 実際新
作が製作されなかった「メカゴジラの逆襲」から'84「ゴジラ」の間の9年間もそういった展
開を行なってたおかげで「新作を見たい」と言うファンの声が高まってきて1984年にシリ
ーズが復活したわけですし。
それにしても、シリーズ休止の間、東宝は年末に何やるんでしょうかね。2005年はTV
シリーズの劇場版「幻星神ジャスティライザー THE MOVIE(仮)」と言うのをやるよう
ですが…。

(※)「チャンピオンまつり」…東宝が1969〜78年に学校が長期休暇になる春・夏・冬
の休みに怪獣映画やアニメを5〜6本同時上映していた子供向けプログラムのこと。
(現在に例えるなら「ゴジラ」をメインに「ポケモン」「クレしん」「コナン」「ドラえもん」「ハム
太郎」「ジャスティライザー」といった中から3〜4本の短編を同時上映するようなもの)
怪獣映画は1年3回のうち1回が新作、残り2回が旧作の再編集版となっていた。 ちな
みに「ゴジラ」シリーズだと「オール怪獣大進撃」から「メカゴジラの逆襲」までの6作が
「チャンピオンまつり」の中の1作として製作されていた。


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