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遊園地

 この遊園地は、今日も盛況だった。
 子どもたちが笑顔で人込みの間をかけ、若いカップルは観覧車に乗り、観光客の団体がサバイバルを擬似体験できるというドーム内に入っていく。
 サバイバル体験ドームや、宇宙空間を体験できるドームは、植物やアウトドア、天文学や科学の勉強にもなるということで、地方の学校からの見学旅行も多かった。
「また、あちらのゲームでは、一定時間にモデルガンで飛んでいる風船を割った数を競います。すでに固定ファンもついているもようです」
 ここのスタッフと同じ白いスーツ姿の男が、となりの男に説明する。彼らの周囲には、体格のいい、サングラスをかけた男たちが陣取っていた。
 この遊園地にはそぐわない姿だったが、皆楽しむのに夢中なのか、気にする者はいない。
「安全性は考えられているのか?」
 珍しそうに見回しながら、白いスーツの男のとなりの男が訊いた。
「ええ、もちろんです。貴重な戦力、ですからね」
 白いスーツの男は小さく笑った。
「他にも、さまざまな場所を再現できる『バーチャルかくれんぼ体験装置』、『パイロット体験コーナー』、反射神経を鍛える『バーチャル落下物回避』などがあります」
 彼は、歩きながら、それぞれの詳しい内容を説明する。
 一通り聞くと、となりの男は溜め息をついた。白いスーツの男は目を丸くする。
「お気に召しませんでしたか、大統領?」
「いや」
 大統領と呼ばれた男は、笑って、通路を占める人込みを見回した。
「感心していたのさ。実に良くできているよ、この〈訓練施設〉は」
 子どもたちが笑顔で人込みの間をかけ、若いカップルは観覧車に乗り、観光客の団体がサバイバルを擬似体験できるというドーム内に入っていく。
 この遊園地は、今日も盛況だった。


※モノカキさんに30のお題「遊園地」回答

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