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荒野
あたしの目の前には、荒野が広がっていた。
ひどく乾き、荒れ果てている。
なんということだろう。
いや、あたしは今までにも何度も、この光景を目にしている。そして目にする度、水を入れ、なんとか潤いを広げようとした。でも、水気を取り戻したかと思えばそれは一時のことで、すぐに、砂漠になりかけた荒野に戻ってしまう。
とにかく、あきらめずに何とかしなきゃ。
あたしはまず、水を撒いた。これで、表面だけでも湿らせる。
次に、特殊な、ミルクに似た液体を塗りこむ。
丹念に、丹念に。心を込めて。
「よし」
とりあえず、潤った、と言っていい。
明日まで、もてばいいけど。そう祈りながら、私は眠る。
そして翌朝。
アパートの部屋に、目覚めたばかりのあたしの声が響く。
「あ〜あ、またかぁ」
溜め息をつきながら、右手の甲を目の高さに持ち上げる。
あたしの目の前には、荒野が広がっていた。
やっぱり冬の寒さは、肌にもキツイ。
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