(トゥルルルル……トゥルルルル……)
「はぁ〜〜い」
(バタバタバタ……)
(トゥルルルル……トゥルルルル……)
「はぁ〜〜い、はいはい。ちょっとまってよぉ〜……」
(バタバタバタ……)
(トゥルルルル……トゥル)
「はい! 天河です!……え!? あにぃ!! どうしたの? 何かあったの?
…………ほぇ?……え、え、え、えぇぇぇぇぇっ!?」
☆ Sister Princess ☆
<Short×2>
−platinum−
<ど、どどどどどどどういうことっ!? 何で来れないの!?>
電話口から動揺した声が、大音量で響いてくる。あぁ……矢っ張り怒るよね。
って、当たり前か。1ヶ月近く前から約束してたし……
「……い、いやその……急にバイトしなきゃいけなくな――」
<ボクとの約束の方が先じゃないか!!>
理由の説明を求めつつ、それを遮ってくる衛。どうやら僕に釈明の余地はな
いらしい(泣)。
「た、確かにそうなんだけど……どうしても納期の関係から、明日の追加テス
トの日程をずらす訳には、いかないらしくて……」
僕も何とか明日の臨時バイトを回避すべく、八方手は尽くしたんだけど呼び
出されたのも直前だったから、どうにもならなかった。
<他の人がやればいいじゃないっ!! どうして、あにぃがっ!!>
出来るなら変わってもらってる――とは言えなかった。悪いのは僕だし。で
も、この仕事を入れたのは僕じゃなくて父さんなんだから、衛への説明も父さ
んがやってよ……(泣)
『スマン! どうしてもスケジュールの調整がつかなくて……それに俺じゃ、
絶対説得できないからな!(笑)』
……(笑)じゃないよ、父さん……(泣)
「…………ごめん……」
もう僕には、謝る以外出来ることはなかった。理由はどうあれ、結果的に約
束を破ることになるんだから、どんな非難も甘んじて受けるべきだ。
<……途中からでも、応援に来れないの……?>
僕の声から何か感じるところがあったのか、一転して弱々しい声になる。
「……タイムテーブルだと、10:00開始、18:00終了になってる……」
衛の声に引っ張られて、僕の声にも力がなくなる。
<……そう……>
「……ごめん……」
……重苦しい沈黙が、電話越しに2人を支配する。
<…………ボクとバイトと、どっちが大事なの?>
「う゛」
それを破ったのは衛のありがちな、しかし禁断の選択だった。冷え冷えとし
た声でそう聞かれ、一瞬言葉に詰まってしまう。
「も、もちろん衛に決まってるよ! でも明日のバイトも、やらないと沢山の
人に迷惑が掛かるし……」
<もう、ボクが迷惑被ってるよ>
「あ゛う゛……(汗)」
厳しい切り返しに、再び言葉を詰まらせる。何か最近容赦ないね、衛……(泣)
兄は、喜んでいいのか悲しんでいいのか……
<……はぁ……あにぃも仕事優先で、家族を顧みない冷血な夫なんだね……>
「い、いや、そんなことは――っていうか、夫って?」
<あぁ……家庭崩壊の危機だよ……新婚当時はあんなに優しくしてくれたのに
……>
「いやだから、新婚って?」
容赦なくおかしな方向に話が進みはじめる。
<もう、ボクのことなんか愛してないんだね……>
何となく――だけど絶対体育座りして、廊下にのの字を書いてるに違いない
と思わせる雰囲気の声だった。慌てて反論する。
「な、何言ってるの!? そんなことないよ!!」
<ううん。いいよ、無理しなくて……それでも……それでもボク、あにぃのこ
と……>
「だーかーらー!! 無理なんてしてないってばぁ〜!!(泣)」
<……ホント……?>
「ホント、ホント!」
<……じゃあ……ボクのこと、1番愛してるって言って>
「あ゛う゛……(汗)」
またも、ありがち且つ禁断の発言……(汗) 何か、キャラクター変わってな
い?
「……あ、あのぅ衛さん……(汗)」
<……矢っ張り……矢っ張りあにぃはボクのことなんか……さよなら、あにぃ
……>
「待て待て待てっ!! 何処へ行くの、何処へ!?(汗)」
<……だってぇ……>
泣き出しそうな衛の声。うぅ……非常事態だ、致し方あるまい。
「あ〜〜……えっと……その……ま、衛のこと、1番……愛してる……よ……
(赤〜〜っ!)」
(ぱあぁぁぁぁぁ)
(ちゃらららぁ〜〜)
……何か、ピンクのピンスポットが差して、変なBGMが聞こえた気がした
けど、取り敢えず無視。
<あ、あにぃ……(はぁと)>
「衛……(照れっ)」
<……今のテープに録ったから(はぁと)>
「うそーーん!!(ガビーーン)」
<さあて、こいつはどうしたもんかねぇ……(ニヤリ)>
絶対キャラ違うぅぅっ!! ホントに衛なの!? あぁ……僕の可愛い衛は
何処へ行ってしまったの?(泣)……って待てよ!
「ちょ、ちょっと待った! 衛がテープレコーダーなんて、いぢれる筈ないよ!
メカオンチの衛が!!」
<ふっ……それはどうかな?>
「な、何っ!?」
何かもう、お互いキャラ違う。
<今こうして、ボクは電話に出てるじゃない。これ即ち、ボクにも扱える機械
が少数ながら存在していることの証!!……さて、あにぃにボクがどの機械が
扱えて、どの機械が扱えないか、その判別が出来るのかな?>
「あ゛う゛……(汗)」
<さっきのあにぃの愛の告白、皆にも聞かせて自慢しちゃおっかなぁ〜(はぁと)>
くぅぅっ! こ、こうなったらヤるしか……ヤるしかないの!? もちろん、
ここで言うヤるとは何時もヤってるヤるではなく――
<……なぁ〜んてね(はぁと)>
――そう、な〜んてね(はぁと)…………は!?
「あ、あの……衛?」
<ごめん、冗談だよあにぃ>
「へ? 冗談……?」
受話器の向こうからクスクスと、衛の笑い声が聞こえてくる。
<録音したっていうのは冗談。あにぃが約束破るから、ちょっと意地悪したく
なったの!>
「な、なんだ……」
ホッと胸をなで下ろす。
<あぁ〜! 何ホッとしてるのさ、あにぃ!>
「え!? べ、別にホッとしてなんか……(汗)」
電話越しでも、手に取るように様子が判るのはお互い様――というより衛の
方が一枚上手かな?
<んもぅ!……でも、今度ちゃんとこの埋め合わせはしてよ、あにぃ! あに
ぃが来れなくて残念なのは、ホントのことなんだからぁ!>
それは、何時ものように明るく元気な声に“聞こえた”。でも――
「……うん、もちろん。何でも付き合わさせていただきます」
衛に合わせて、ちょっとおどけてそう答える。
<よ〜〜し! 約束だよ、あにぃ!……それじゃ、明日早いからそろそろ切る
ね>
「うん、おやすみ衛。明日頑張ってね」
<ありがと! おやすみあにぃ……大好きだよ(はぁと)>
「僕も、大好きだよ衛……それじゃ……」
(ガチャッ……ツー……ツー……)
……かなり落ち込んでたな、衛……僕が気を使わないように無理におどけて
たけど……
この間のテスト休み中に、こっちに遊びに来て以来、衛は僕に対して以前と
同じぐらい、自分の気持ちを素直に見せてくれるようになった。でも矢っ張り、
最終的には僕に対して遠慮する部分も少なくない。それはよく言えば、分別の
付く大人になったってことなんだろうけど……
でも、だから傷付かないって訳じゃない。昔から、相手の気持ちを思いやる
優しい娘だったけど、今の方がもっと繊細で傷付きやすい――女の子なんだ、
衛は……だから、僕が気を付けてあげなくちゃ……
「……よーーしっ!!」
僕の中で、決意が漲った。
雲一つない青空。降り注ぐ太陽の光。絶好のスポーツ日和。
「はぁ〜〜……」
本日、何回目かのため息が口を吐く。それは、抜けるような青空へと吸い込
まれていった。吹っ切ったつもりだったんだけど、矢っ張り完全にとはいかな
いみたい……
「ふぅ〜〜……」
……言ったそばから、また無意識に……こりゃ、重傷だなぁ……
「どうしたのよ、さっきからため息ばっかついて?」
隣にいた麻由美が訝しげに訊ねてくる。その目にボクのことを気づかう色が
見てとれた。
「う、うん、ありがと……大丈夫だよ。それよりそろそろ麻由美の組でしょ。
そっちに集中してよ」
今日は、今度の地区内陸上競技大会の代表選手を決める記録会。各クラスか
らの代表者が集まって、タイムを計っていた。そろそろ、麻由美のグループの
100m走の計測が始まる。ボクのこと心配してくれるのは嬉しいけど、今は
レースに集中してもらわないと……麻由美と一緒に大会出たいしね。
「……って、人の心配してる場合じゃないよね……」
思わず苦笑してしまう。
「え!? 何か言った?」
「あっ(汗)、何でもない……」
「ふ〜〜ん……ね、ねえ、まも……」
心配そうだった目が、今度は落ち着きなく辺りを見回しだす。
「あ、あの……あのさ……その……きょ、今日はいらっしゃってないの……?」
「…………誰が……?(怒)」
何を言いたいのか判っていたけど、敢えてとぼける。半眼で睨んでやるけど、
そんなことまったく気付かないほど、舞い上がってるみたい(怒)。
「も、もぅ〜〜! 判ってるくせにぃ〜〜! おにいさまよ! お・に・い・
さ・ま(はぁと)」
……似合わないからヤメれ、ぶりっこは……
「来ないよ。昨日電話で、急な用事が出来たって言ってたから」
「えぇ〜〜! なぁ〜んだ、残念!!」
グランドの周りには応援のために、生徒や保護者の人達が結構集まっていた。
智里や舞子の姿もある。ホントならその中に、あにぃの姿もあったハズなのに
……
「あ、そうか!? だからアンタ、さっきからため息ばっかついてたのね」
合点がいった、とばかりに握った右手で左の手のひらをポンと打つ。
「……まあ、ね……」
「そうか、そうか。遂にまもは捨てられたか……これでアタシにもチャンスが
――ふぎゃっ!!」
手加減なしで、後頭部をはたく。すぱんといい音がした。
「いった〜〜っ!! 何すんのよぉ〜!!(泣)」
涙目で文句を言ってくる麻由美を、逆に睨み返して鼻先に指を突きつける。
「あ・の・ね! どさくさに紛れて、何バカなこと言ってんの!」
「どさくさじゃないわよ! 堂々とよ!」
「なお悪いよっ!!」
……まったくぅ……ボクを元気付けようとしてるのは判るけどもっと他に言
い方はないの? っていうか、かなり本音も入ってたし(怒)。因みに何で麻由
美がこんなこと言うのかというと……この間のテスト休み中にあにぃの家に行
った時、その……会ってしまったのだ、麻由美達と。……3日目にあにぃと2
人で遊園地に出掛けたら、そこで……(泣) せっかくあにぃと2人っきりで、
ラブラブだったのに……(泣) お約束で、3人ともあにぃに興味持っちゃうし
……
「……で、大丈夫なの? ホントに。アタシはアンタと一緒に大会出たいんだ
からね」
「……うん」
正直、体は重いし気分もノってない。昨日はあんまり寝れなかったし。まあ、
あにぃが来るとなったらなったで、緊張して寝れないんだけど(汗) そこはそ
れ、あにぃの姿を見ればそんなの吹っ飛んじゃうし。でも、今はそれも望めな
い。だけど――
「大丈夫!……あにぃのこと、信じてるから!」
「信じてるって……もしかしたら来てくれるかもしれない――って?」
その言葉に、微笑んでゆっくりとかぶりを振る。
「ううん。そうじゃなくて……あにぃは何時でもボクのこと、想ってくれてる
って――そう信じてるから……だから、大丈夫!」
この想いがあれば、力が湧いてくる。あにぃがどこにいても、どんなにボク
と離れていても、ボクはあにぃを真っ直ぐ見つめていられる。
「ハイハイ、ごちそうさま」
麻由美はやってられないとばかりに、右手をひらひらさせる。
「それじゃ、アタシも自分のことに集中しよう。人の心配してられるほど余裕
ないしね」
とかなんとか言ってるけど、麻由美の運動神経は他の人より、頭一つ抜きん
出てる。
「そうそう、アンタのグループ5組の鳴川さんがいるから、気合い入れといた
方がいいわよ」
「ほぇ? そうなの?」
5組の鳴川さんっていうと、確か陸上部のエースだ。最近特に調子を上げて
るって、何度か話題にものぼってる。
「アンタねぇ……組み合わせ表ぐらい、ちゃんと目を通しときなさいよ」
眉間に指をあてて、呆れ顔で言ってくる麻由美に笑顔で応える。
「誰と走っても、順位が関係ある訳じゃないし。それに、速い人と走った方が
いいタイムがでるよ、きっと」
「……判った、判った。そんじゃ、また後でね」
「うん」
手を振って、スタートラインの方に歩いていく麻由美に手を振り返す。
「麻由美ちゃ〜ん!! ガンバレ〜!!」
智里の応援が、一際大きく響いていた。
「やった〜っ!!」
「麻由美ちゃんスゴ〜イ!!」
智里と舞子のはしゃぐ声が、ここまで聞こえてくる。麻由美も照れ笑いを浮
かべながらも、それに応えて軽く手を振る。結果はぶっちぎりの1位。タイム
的にも多分、現時点でトップだと思う。ボクも頑張らなくちゃ――そう思いな
がら、スタートラインに向かう。いよいよボクらの組の番だ。
「衛ちゃんガンバ〜!!」
「がんばって〜!!」
応援してくれてる智里と舞子の方へ、ちらっと笑顔を向ける。その視線をス
タートラインに立ってから何となく上へと向けた。空の高いところを数羽の鳥
が悠然と飛んでいるのが見える。吸い込まれそうな碧を背景にしたその光景を
視界に納めていたら、胸の奥が何かが小さく灯ったように熱くなった。あにぃ
と一緒にいる時の感覚。飛べそうな気分。
「……よーーしっ!!」
ボクの突然の大声に、周囲から驚きの視線が集まる。
「見ててよ、あにぃ!!」
でも、それをまったく気にしないボクの叫びは、ボクの代わりに空へと吸い
込まれていく。こうすれば、この空の下にいるあにぃにボクの声が届くような、
そんな気がしたから……
ゆっくりと、スターティングブロックに足を合わせる。
「位置について」
肺に空気を溜めていく。感覚が鋭敏になっていく。自分の心臓の音がうるさ
いぐらい。
「用意――」
スターターの手が上がる。その手の中にある紙雷管の引き金を――
(パァンッ!!)
バネが弾けるように、溜めていた力を足へと伝える。呼吸を止めて上体を引
き上げ、第一歩を踏み出す。
そこから先は無音の世界――
数瞬前まで聞こえていた歓声も、自分の鼓動も、地面を蹴る音も、その総て
を振り切るようにゴールを目指す。隣のレーンの娘がボクの半歩先に飛び出す。
さっき話題に出た鳴川さんだ。矢っ張り速い。そのままの差を保ったまま、見
る見るゴールが近づいてくる。
――その時、ボクの耳に声が届いた。
一瞬自分の耳を、目を疑う。だって今のボクに聞こえるハズがない。その人
がここにいるハズがない。でも、ゴールの向こうで両手を振っているのは――
「衛ぅーーっ!!」
「(あにぃ!?)」
(ダンッ!!)
体が、自分の想像を超えて大きく前に一歩飛び出す。鳴川さんを抜こうとし
たんじゃない。それどころか、ゴールの存在すらボクの頭の中からは消えてい
た。ただ、あにぃの姿がそこにあったから。だから少しでも早く近づこうと思
っただけ。誰よりも早く……
結果、ボクは先頭でゴールラインを越えていた。
「あにぃ!!」
ゴールの向こう、30m程先にあにぃは立っていた。こんなに離れててしか
も、この歓声の中だったんだから、矢っ張りさっきのあにぃの声は、空耳だっ
たのかな?
……でもそんなのどうでもいいか。あにぃが来てくれた、それが何より重要
なことだよ!
「スゴイ、スゴイ!!」
「おめでとう、衛ちゃん!!」
智里達が、大歓声を上げている。でも、ボクの意識は既にあにぃにしか向い
ていなかった。その声に応える余裕など、あるハズもない。ボクは立ち止まる
ことなく、ゴールした勢いそのままに駆け抜けていく。
「衛!!」
両手を広げたあにぃの胸に、一直線に飛び込む。
「あにぃぃぃっ!!」
ちょっとよろけて、でもしっかりと抱き留めてくれる。ホントに……ホント
にあにぃだ!! あにぃが来てくれた!!
「凄かったよ、衛。1番だったね」
あにぃの大きな手が、優しくボクの頭を撫でてくれる。
「どうして……? どうして、あにぃ? 今日は来れないんじゃ……」
自分の腕の中にある感触と、頭を撫でられる気持ちよさであにぃの存在を確
信したボクはようやく安心して、最初に浮かんだ疑問を投げかけてみた。あに
ぃは悪戯っぽく微笑むと、器用に片目をつぶる。
「8時間予定のオペレーションを3時間で片付けて来ちゃった」
「8時間を……3時間!?」
「そ! 偉いでしょ! 誉めて、誉めて」
おどけて言ってくるあにぃ。でもそんなこと、普通なら出来っこない。だけ
ど、あにぃはここにいる。ボクのために、相当な無理をしてくれたんだ。注意
深く見ると平気を装っているけど、その表情には疲労の陰が色濃く出ていた。
「……あにぃ……」
鼻の奥がツンとしてくる。ボクはあにぃの首に両手を回すと、躊躇なく引き
寄せて、唇を重ねる。そのまま数秒。所在なげにわきわき動いていたあにぃの
両手も、観念したようにボクの背中に回される。
「…………えへへ、ご褒美だよ(はぁと)」
ゆっくりと体を離して、目尻に溜まった涙を指で拭いながら言ったその直後
に、背後からさっき以上の歓声――というより、悲鳴じみた混乱の渦が巻き起
こる。
「ま、ま、ま、まもぉーー!! アタシのおにいさまになんてことすんのよぉ
ぉぉーー!!」
何時から、麻由美のあにぃになったんだよ!!(怒)
「行こう! あにぃ!」
背後の混乱を無視して、あにぃの手を取り走り出す。もうちょっと我慢して
ねあにぃ。2人っきりになったらゆっくり休ませてあげるから。
ご休憩じゃなく、ご宿泊で(はぁと)。
「こら待てぇーーっ!!」
「衛ちゃん、不潔です!!」
智里も舞子も無視、無視!
「ねぇ、あにぃ」
ボク、ホントの一番星見つけたよ。どうしてこんな簡単なこと、今まで判ら
なかったんだろう。こんなに身近で何時もキラキラ輝いてたのに。
「ボク……」
もっともっと強くなる。
あにぃに相応しいボクになる。
信じてるから。
この想いがあれば、奇跡だって起こせるよ。
何時かきっと――
「あにぃのこと……」
ボクもあにぃの一番星になってみせる。
「あにぃのこと、だぁ〜い好きだよ!!」
−That's all.−
(1st edition : 2000/05/31)
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