駒宮 真七郎著
  (日本を支えた輸送船たちの末路)
戦時輸送船団・・・それは第2次世界大戦中、資源を運び、兵力を輸送した縁の下の力持ちたち。
  この本はあまり取り上げられる事のないそんな輸送船団たちを一つ一つ丁寧に追っていった本です。
  
  昭和17年頃から終戦までの一つ一つの船団の出航地・到着地・船団名・加入輸送船名・護衛艦艇名と、その船団がどうなったかを詳細に記した記述が延々と続いていきます。
  
  もうそれがもう沈む事沈む事。全船無事に目的地到着なんて物は数えるほどしかありません。
  それも戦局が不利に傾いていくにつれ護衛の艦艇含めて船団全滅なんてことも。
  基本的に護衛が敵潜をを制圧することはほとんどなく、全船無事に到着するにはとにかく運が必要だったという感じですね。
  
  護衛がいたところで対空兵装の貧弱な海防艦や駆潜艇ですから空襲にはめっぽう弱いですし。
  
  また、対潜用艦隊運動の之の字運動の図面が乗っていたのですが、かなりバリエーションがあることに驚きました。
  A法なんかは単純ですが、G法とかI法とかになると本当毎回ごとの操舵角がばらばらでこれを運用した際の苦労がしのばれます。
  
  また、護衛艦艇の主なるものだった海防艦・駆潜艇・掃海艇についてもページを割いていますがこれら艦艇の損害率が滅茶苦茶なとになっています。
  海防艦の損害率43.9%、駆潜艇の損害率65.4%、掃海艇の損害率83.8%
  掃海艇にいたっては31隻建造された中で終戦時健在だったのは3隻のみという損害ぶり。
  また海防艦では、竣工後一日で撃沈された七三号、竣工後33日で撃沈された六連など短命振りが目に付きます。
  
  なんていうか、正直読んでいて虚しくなりましたね。どの船もあまりに簡単に撃沈されていくもので。