河井継之助の陽明学

 

河井継之助率いる長岡藩は、幕末維新において、譜代藩は徳川家に殉ずべきと官軍に抗戦玉砕している

これが陽明学の思想的美意識、正邪の判断は百年の後世にまかせると

事をおこすとき、それが成功するかしないかは第一義ではない。結果がどうかということは問わない。むしろ結果の利益を論ずることはこの学問のもっとも恥ずるところなのである。この学問の第一義というのは、その行為そのものが美しいかどうかだけであり、それだけを考えつめていく

 

月代

 

「女房の月代(さかやぎ)そりは気持ちが良い、剃り重ねなどせずスーッと一剃りである」

河井継之助は毎朝女房の「おすが」に月代(さかやぎ)を剃らせている。嫁に来たとき「余念をもってはいかに器用者でも仕損じる。目と心を一つにしろ。目と心を一つにしてスーッと剃れば誰にでも剃れる」とそのコツを教えている。
生まれつき器用でない「おすが」は、その教えを十年一日の如く守っている。そこが「おすが」の凄みである。

(人間は、おすがのような単純さをもたねば物事ができぬのかもしれない)

司馬遼太郎「峠」

 

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