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CHARLES AZNAVOUR シャルル・アズナブール
1924/5/22生  
少年時代から作曲の勉強を始め、18歳の時、友人とシャンソンのデュエットを組み、アメリカ、 カナダを巡業した。 48年、映画デビュー。

フランス在住の友人からの手紙:

お元気ですか、数日前のTVでアズナブールの80歳の誕生日を祝う劇場の中継をしていました。欧州の片田舎であるアルメニア出身で肩身の狭い思いをしつつパリで苦学をしながら音楽を勉強して作詞・作曲をしてアルバイトをしていたのですが、まったくうだつがあがらない青春の時代をすごしています。

その後映画にでたり、演劇にでたり、シャンソンでは欧州各地、アメリカを廻っています。大変な努力家ではあるのですがいつも「いまいち・・・」という感じでした。彼の頑固な歌の歌い方は特徴があるもののなかなか認められないというのが音楽界の定評であったのです。シャンソンのなかに「語り」という部分がありますがこの「語り」と「歌う」のあいだを彼は得意としていて独自なシャンソンの世界を作っていました。

この番組はパリの劇場からの中継でアズナブールを慕うアーティストが次々と登場してきます。そのなかでリーヌ・ルノーが駆けつけて即席のデュエット風のシャンソンを披露しました。彼女は多分アズナブールよりちょっと若いのですがそれでも いまではシャンソン会の大御所です。

そのデュエットのなかでリーヌ・ルノーの 「あなたは 二十歳を4回も繰り返した・・・・」という表現がありました。
アズナブールの有名な台詞のなかに「・・・イヴレッス ・・・ジュネッス」があるからです。

ちょっと注が必要ですね、80歳の誕生日。
フランス語では80という数値はキャトルヴァンというのです。
つまり4x20=80となるのです。これで青春を4回も味わうの意味を彼女はこめたのです。
イヴレッスは酔いです、ジュネッスは青春で 青春をとことんに飲みつくしてここちのよい酔いの境地に至るのことです。
この二つの単語は終わる音が「ッス」ですので韻をふんでいるのです。
つまり綺麗なひびきなのです。

彼らにとって青春の時代は戦後のひとときであり夢があり希望にあふれていた、アズナブールはまだ駆け出しで苦労していた、その時に彼らはであっているのですがそれはちょっとしたすれ違いの出会いでした。
彼女はあまりにも輝いていたし 彼はまだまだ駆け出しであったからです。彼はあこがれのまなこで彼女を見るだけしか許されていない時代でした。

舞台のうえで変化がありました、それはアズナブールが彼女になにかをささやいたのです。彼女の表情はほんのりとばら色になったいました。80歳の彼はまだ健在で歌っています。

またこぼれるようなライラックの美しい季節になりました。


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