熊 公 鍛 冶 工 房


熊公の工房における鍛冶作業の日誌
特別な事柄は印を付け『鍛冶作業記録』にも書き込みます

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2024年02月13日(火)
 工房着:午前9時20分  作業開始:午前10時30分−作業終了:午後3時30分
 工房の気温:4度

 今日は教え子が工房に遊びに来ます。そこで早めに着くように工房へ行きました。まずは忍具や砂鉄・玉鋼などすぐに見せる事ができるように作業台の上にセッティングして、床や机の上を今日も掃除しました。
 また、この前サイズ違いで注文してしまった外の流しの排水パイプ、ピッタリの物を新しく買い直したので交換してから、『指扇駅』に教え子を迎えに行きました。5分前に到着したところ、彼も丁度到着して待ち合わせ場所に来たところでした。すぐに合流できて良かったです。
 工房へ来る際、荒川を渡る時『浅間山』が綺麗に眺められたので、堤防の上まで車で行き、景色を眺めました。教え子は鉄道が好きで・旅も好きな子ですから、富士山、奥多摩・奥武蔵の山々、浅間山の景色を喜んで眺めていました。

 
赤丸 浅間山                         教え子の『K君』

 堤防の下は江戸時代に開かれた新田である事、高まったところには遺跡がある事等、話しながら工房に戻ってきました。彼と会うのは10年ぶりくらいです。現在大学3年生で就活始める前に工房に遊びに来ました。まずは挨拶をして、来訪者名簿に名前を書いて貰い、写真を撮影しました。彼は104人目の来訪者となりました。

 以前送ってくれた自由研究のことなんかを話しました。鉄道が好きな子ですから色々話してくれました。その中で面白いと思ったのは、東北本線の起点が『上野駅』ではなく『東京駅』である事を聞きました。その為、『神田駅・秋葉原駅・御徒町駅』は東北本線の駅という事を聞きました。また、大回り乗車のルールなども聞く事ができました。活き活きと話してくれて本当に楽しかったです。

 熊公も大阪−神戸間に敷設された1870年製の英国 DARLINGTON IRON社の錬鉄製『双頭レール』を触って貰いました。「これは博物館に展示されてある物、触る事ができるなんて嬉しい!!」 と喜んでくれました。『錬鉄』というものがどんな鉄か話して、輪切りにして断面を磨き『文鎮』にしてある物の断面に見える模様を見てもらいました。感動していました。そこで今日のお土産にこの『文鎮』をプレゼントしたらまたまた大喜びしていました。

 その他、『玉鋼』や『真砂砂鉄』・『赤目砂鉄』などの話をして、実物を見てもらったり、触って貰ったりしました。最終的には鉄がどのように出来て地球に存在するのか、宇宙のロマンも語っちゃいました。
 また、熊公所有の脇差し二振りも持って行ったので見てもらい、鉄の美しさを感じて貰いました。本身の刀を手にするのは初めてと言う事で、良い体験ができたようでした。
 その後は工房にある忍具類を見てもらいました。

 彼からは実際の旅行であった話とかを聞く事ができました。熊公は母親の実家(岩手県 雫石)に行く際、子供の頃は『蒸気機関車』で常磐線経由、それが『ディーゼルカー』になって東北本線経由になったこと、『電車』になり、更に『新幹線』が開通する事になって街の雰囲気がガラッと変わった事など話しました。実際に『蒸気機関車』が在来線を走っていた事は彼にとっては驚きであり、体験したい夢のようでした。

 時計は1時半になっていたので慌ててカレー屋さんに行きました。カレー屋さんは我々2人だけ、美味しくノンビリ、カレーを食べました。

 
  熊公所持の日本刀を鑑賞                    カレー屋さんで 美味い!!

 毎年4月の第1土曜日に『カレー祭り』というイベントを行うという事で、今年は無理としても、来年手裏剣打ちとかの体験コーナーを開けないか・・・」 と店員さんに言われました。これは習志野さんや親方と相談して出来れば実現してあげたいと思いました。

 工房に戻って、作業室のスプリングハンマーや火床、金床やヤットコなどを見てもらい、スプリングハンマーのパワーを見てもらったりしました。また、色々作った治具など、何のためにどう使うかなど当てて貰ったりしました。教え子は作業室の空間を見ながら、「趣味に没頭できる空間ですね!!」 と、話していました。
 鍛冶作業のことから、作品制作は勿論、必要な道具を自分で作り出す事、『鉄の事』を追いかけている間に、色々な人と出会ったり、『鉄の旅』を計画したり、宇宙の事や原子の世界まで、興味が湧く事に向かっていく事、教え子は良く理解してくれていました。きっと彼も熊公と同じ様な体験をして行くのだろうと思っています。

 彼の大学での専攻は『海洋生物の研究』で特に『微生物』について研究していくようです。そして、就職先としては鉄道関係、旅行関係、そして、海洋生物に関しての学芸的研究と考えて居るようでした。鉄道・旅行は関連ある事すぐに分かりますが、海洋生物に関する事柄は全く関連無いように思えます。しかし、彼の中には確りと繋がっている事が分かりました。
 卒業生の中にはJAXAで宇宙ヨットの研究をして居る子や金沢大学で死んで海底に沈んだ鯨を分解していく生物を研究している子、理化学研究所でレーザーなどの研究をして居る子など、それぞれ色々な事を追究している先輩がいる事も伝えました。
 今日は話さなかったですが、フランスで沢山の賞を取って帰国し立派な画伯になった子もいるし、ミュージカルの役者をして居る子も居ます。宝ジェンヌの子こもいるし、CAの子もいるし、自衛隊のパイロットになった子もいます。それぞれみんな追い求めるものが有った子達でした。勿論、特別な職業に就く事だけが凄いわけではありません。でも、ちょっと特別な仕事に就いた子達はやっぱり自分を確り持っている子達だったと思います・・・。

 話は尽きず、もっともっと話を聴いていたかったですが、気付けば3時をまわっていました。彼の自宅は現在は横浜です。帰る時のルートから『埼京線』の駅に送るのがベストと考えました。そこで、『浮間船渡駅』まで送る事にしました。車に乗車して交通情報をチェックしたら、『新大宮バイパス』使用だと、通常より20分位オーバーする感じでした。そこで『荒川右岸コース』で帰路に着きました。高島平から熊公の家に帰るのであれば10分掛からないですが、そのまま『高島通り』を浮間方面まで走り、『浮間船渡駅』まで送りました。
 車の道中でも沢山話しました。途中、『難波田城趾』のことや『羽根倉合戦』のこと、『野火止用水』が新河岸川に注ぎ込む辺りの事など、車窓から見える事話すと面白いくらい反応が返ってきました。楽しい帰路になりました。

 彼は『浮間船渡駅』から『埼京線』に乗り、渋谷に出て『東急東横線』で横浜に帰ります。途中で直通に乗り換えが出来れば良いですが・・・。今日は本当に楽しい一日に成りました。

 明日からは依頼品の製作、明日は『伊賀流棒手裏剣』 5本を鍛造する予定です。そうでした。不足していた鋼材の発注を掛けましたが、欠品中という連絡・・・。なんと、入荷は5月20日頃というとんでもない返答がありました。3ヶ月も掛かるのでしょうか? その為作業計画がちょっと狂いそうです・・・。
2024年02月14日(水)
 工房着:午前9時50分  作業開始:午前10時10分−作業終了:午後4時05分
 工房の気温:9度

 今日からはまた忍具作りです。今日は『伊賀流棒手裏剣』を作ります。10本の依頼なので5本ずつ造っていきます。

 教会の典礼では『灰の水曜日』です。今日から『復活祭』に向けて準備していく『四旬節』がスタートしました。昔はこの四旬節期間中『大斎(食事を減らす)・小斎(肉を食べない)』を守らなければならなかったので、ブラジルなどではこの『灰の水曜日』の前日までドンチャン騒ぎをしたわけです。カーニバルですね・・・。現在では『灰の水曜日』と『聖金曜日』の2日だけ『大斎・小斎日』になっています。『大斎・小斎』は自分の心を神や人々にささげることのしるしです。

 『灰の水曜日』のミサにあずかると「あなたはちりであり、ちりに帰って 行くのです」 と、額に灰を付けられます。肉体はなくなる、しかし、霊魂は永遠のもので、復活を意識する日なわけです。60才以上は大斎免除ですが、年に2度の事、熊公は頑張りました・・・。やっぱりお腹が空きました・・・。

 作業をしていれば空腹は全く感じませんから良いです。棒手裏剣を鍛造する前に『ロケットストーブ』にφ10mmの穴を3つ開けました。そして、コークスに火を付ける際に、『ロケットストーブ』の燃焼の様子を観察する事にしました。前回は軽く送風しないと良い燃焼になりませんでしたが、今回は何もせずとも良い感じに燃焼してくれました。通気口はあと2〜3個開けても良いかもしれないです。
 これを棒手裏剣などの焼き入れに使用する場合は少し送風してやり800度くらいまで温度が上がるようにしてやる必要があるかも知れないです。でも、800度まで出せればガス代が不要に成るから良いですね。

 
    通気口を3つ開けて燃焼実験               作品No.1768〜1772 『伊賀流棒手裏剣』

 棒手裏剣の鍛造はスプリングハンマーは使わずに鍛造しました。今回は5本揃えて鍛造する事が出来た感じがします。そして、1日5本ずつ造っていくのは無理なく作れて良いペースです。

 明日も5本鍛造します。同時に『ロケットストーブ』の通気口を増やして、また燃焼の様子を観察してみようと思って居ます。
 送風機を使いコークスを燃焼させたらどんなでしょうか・・・。木片を燃やすよりも高温を出せそうな感じですね・・・。実験する価値はありそうです。出来れば木片だけで800度まで出せるとベストなんですが・・・。
2024年02月15日(木)
 工房着:午前10時00分  作業開始:午前10時20分−作業終了:午後3時30分
 工房の気温:11度

 今日は上尾の方は午後になって風が強くなりました。『春一番』という事です。

 今日も『伊賀流棒手裏剣』5本鍛造です。平行して『ロケットストーブ』の実験もしてみました。まずは通気口を2つ開けて燃焼の様子を見ましたが昨日よりも良く燃えてくれました。あと2つ位開けても良さそうです。
 それから薪をくべる部分の単管長すぎるようだったので5cm程切り取りました。

 
      何もしない状態での燃焼の様子            背面の扇風機を回して風を送り込んだ状態の燃焼

 上の写真のように自然に燃焼している状態でも結構良い感じに燃焼してくれていました。扇風機を回してその風を管に送り込むと更に激しく燃焼します。この状態を保てれば棒手裏剣など先端部分だけ焼き入れするような作業で使えそうな気がしています。
 通気口を2つ増やして更に様子を見ようと思って居ます。コークスも燃やしてみようと考えて居ます。それから木片は天辺から補給するのが良い感じでした。木片挿入口は送風管にした方が良いようでした。手動or足踏み送風機をゲットして繋げたら良い感じかも知れないです。

 さて、今日も『伊賀流棒手裏剣』5本の鍛造です。燃焼実験をしながら作業しました。今日は少しスプリングハンマーを使って作業してみましたが、やはり手ハンマーよりも作業効率が良いです。


作品No.1773〜1777 『伊賀流棒手裏剣』

 これで『伊賀流棒手裏剣』10本鍛造し終えました。作業後、ノラボウ菜・最後の白菜・ヒヨドリに喰われて丸裸になっちゃったブロッコリー・小カブを収穫してきました。白菜・ブロッコリーの畑はジャガイモを植え付けるので来週の何処かで耕そうと思って居ます。

 明日からは別の作業です。帰宅したら発注していた鋼材が届いていました。そこで『鉄輪八方手裏剣』を鍛造しようかと思っています。切り捨てる分が多くなりますが刃をいちいち打ち出さずに作れるように鋼材を用意しました。ただ、今日は年金支給日でしたから、銀行にも行かなければならないですから、明日はお休みしちゃう可能性もあります・・・。
2024年02月19日(月)
 工房着:午前9時40分  作業開始:午前10時00分−作業終了:午後2時20分
 工房の気温:12度

 金曜日はやはり銀行に行きました。昨年暮れに購入した電動アシスト自転車、『パワーモード』にして坂道を登ってみると、結構な上り坂ですが時速13km位で登る事が出来ました。それでいて足への負担はほとんど無しです。今までは自宅から3分掛からないところに支店がありましたが、統合されてしまい1.3km位離れてしまいました。普通に歩いたら15分は掛かっちゃいますが、この電動アシスト自転車だと5分くらいで行く事が出来ます。買って良かったです。

 さて、今日は『鉄輪八方手裏剣』と『腸抉付十字手裏剣』を一枚ずつ鍛造します。今日は焼き鈍しを掛けるところまで、明日仕上げる予定です。

 まずは素材を切り出しました。『鉄輪八方手裏剣』はこれまで50mm×50mm×12mmの素材を使っていました。このサイズだと刃を打ち出してやる必要があります。切り捨てる部分を減らす事が出来るのは良いのですが、時間が掛かってしまいます。そこで今回は65mm×65mm×12mmの素材で大きな八角形を打ち出し、そこから切り出す事にしました。今流に言えば『タイパ(タイムパフォーマンス)』を考えたわけですね・・・。こちらの方が楽で時短になります。

 『腸抉付十字手裏剣』は32mm×90mm×12mmの素材を使いました。こちらは長さ80mmでも良さそうです。十字手裏剣は本当に数多く鍛造していますから綺麗に仕上げる事が出来るようになりました。

 
 『鉄輪八方手裏剣』                        『腸抉付十字手裏剣』

 明日はこの二枚を仕上げる予定です。八方手裏剣は刃を付ける場所が32箇所になるので結構手間が掛かります。スムーズに作業が出来ると良いですが・・・。

 鍛造作業後『ロケットストーブ』の燃焼実験をしてみました。今日も通気口を2つ増やしてみましたが、何故か燃焼の仕方が悪くなってしまいました・・・。通気口を増やした事で『煙突効果』が損なわれてしまったのでしょうか・・・。
 いずれにしても、単管は細すぎる感じです。直径が100mm位の鉄の管があれば良いのですが・・・。鉄板を管に仕上げて、もう一度作って見るのもいいですね・・・。

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