鍛冶作業記録

スプリングハンマーの設置 2006年12月28日

 長年の願いが叶って『酔鍛磨庵』にスプリングハンマーが入ることになりました。ハンマーゲットまでにはそれはそれは苦労がありました。今後、動力ハンマーをゲットされようと思う方のために、今までのことを記録しておくことにします。
 搬入設置の様子は日誌の11月11日〜12月29日(明日)までを読んでいただければより詳しく分かると思います。

 まず、ハンマーは新品を購入することも可能です。新潟県 白根市の『寺澤鉄工所』さんでは120〜130万円くらいで作ってくださるようです。また、中古品をオーバーホールした物も販売していただけるようです。いろんな苦労をしないで購入するにはここを使われるのが一番良いと思います。

 熊公は色々な場面で「動力ハンマーが欲しいです・・・」と、話してきました。それに答えてくださった方が何人かいらっしゃいました。山形の『武光』さんはご自分の持っていらっしゃるハンマーを譲って下さることを伝えてくださいました。『ナイフメーカーK』さんからは深谷にお住まいのナイフメーカーさんの使われていない物を譲っていただく道と、『武生のK』さんにコンタクトを取らせていただく方法を知らせていただきました。また、新潟県の『相豊ハンマー』さんの社長さんに動力ハンマーが出ない物か相談して、出た物があったのですが、これは地元の鍛冶屋さんに引き取られました。
 山形のハンマーはバラバラな状態で、不足部品がある。深谷の物は数年来雨ざらしになっている。『武生のK』さんから教えていただいた物は滋賀県にあり、金床がない。3つともそれぞれにすぐ稼働できる状態ではなかったです。
 熊公は毎年戸隠にスキーに行きますが、戸隠の麓、黒姫の古間は鍛冶屋の町です。この3月末にも行きましたが、ここにある『黒姫打刃物センター』には毎回寄ってきます。ここには鍛冶場が再現されているのですが、この春に行ったところ閉鎖されていて、このことで事務室の方と話すチャンスがありました。ここで何となく、「スプリングハンマーなんか出るものですかね・・・?」と、話したところ、「時々出ますよ、もし宜しければ連絡しましょうか?」と、言われ、即座にお願いしました。
 丁度半年後、9月30日にハンマーが出たという連絡を受けました。ちゃんと覚えていて頂けたこと嬉しかったです。数ヶ月前まで稼働していた物、メンテナンスは特別に必要ありませんから、これを譲っていただくことにしました。

 10月は色々忙しく動きが取れず、11月11日に実際に見に行きました。これは重要なことです。窓口になって下さった『古間のK』さんが第三者の鍛冶屋の『I』さんにハンマーの状態を確認してくださったのも良かったです。ベルトの交換、ボルトの交換を教えられ、譲っていただくハンマーが良い物であると評価してくださいました。やはり毎日使われている方に見ていただくのは何より大切です。これで確実に譲っていただくことにして、工房の改修に掛かりました。
 黒姫に行く前に搬入口を簡単に開けられるようにスライドドア化しました。黒姫から戻って、『I』さんの取られているハンマーの固定方式、H鋼アングルに取り付ける方法を取ることにしました。『I』さんの所で実際にハンマーを動かしてみましたがH鋼アングルでも充分使えました。熊公はこのアングルを半分コンクリートで埋めて固定を図ることにしました。
 コンクリートで土台を作る場合は90cm×110cm×80cm(幅・奥行き・深さ)は最低必要になりますから、1立方メートル以上のコンクリートが必要になります。アンカーボルトの位置も確実に出す必要がありますから、かなり大変な作業になります。コンクリートを使った場合、アンカーボルトの融通を効かせるためにボルトのコンクリートから出る部分をすり鉢状にしておくと後で調整がしやすいと聞きました。
 H鋼アングルは日誌の11月23日を見てください。この製作は約1ヶ月掛かりました。搬入日は12月22日となりました。これが決まったことで今度はハンマーの搬送を頼む事になります。御世話になっている町工場の社長さんに紹介していただいた運送業者さんにお願いしました。ネットで業者を捜し連絡しましたが、機械を運ぶとなると断られました。やはり、機械を専門に運ぶ業者さんにお願いするのが一番です。また、やはりその方面を知っている方にお願いすることでグンと値段が安くなりました。

 ユニック車2tを借りることが出来たとして(玉掛け免許が無ければ実際には借りることは出来ない)、2日間のリースで約5万、高速代、燃料代で2.5万、食費や宿泊で1.5万と考えると9万円は掛かります。実際はユニック車は借りられませんし・・・。今回の運送料金は「メチャクチャ安くしてますよ」と言う言葉通り10万円でした。自分が出向かなくても良く、この値段は早々ある物じゃないですね・・・。往復で550kmを越えるところから荷物を取ってきて下さったわけで本当に有り難かったです。
 運送業者が決まり、古間の鍛冶屋さんにそれを伝え、搬入日を決めました。12月25日、クリスマスの日になりました。この段階で古間の鍛冶屋さんにハンマーの料金を支払いました。ハンマーの値段は8万円です。中間金敷の修理に6000円、消耗品である鎚金・上部金敷が4万円でした。

  ハンマー代・・・・・・・・・・ 80000円
  中間金敷修理代・・・・・・ 6000円
  消耗品代・・・・・・・・・・・ 40000円
  H鋼アングル代・・・・・・ 50000円  −−交渉の仕方で値段は変わりそう−−
  搬送料金・・・・・・・・・・ 105000円  −−これは地域によって大幅に変わるでしょう−−
            合計:281000円

 これが今回掛かった費用です。この他に、コンクリート代等色々出費がありました・・・。
 全ての手配がすんでからの作業は、H鋼アングルを据え付ける部分の掘り込み、横座の改修です。次に、重量物を運ぶための道具を揃えること、チェーンブロック・固定用チェーン・三脚ヘッド・スリング2m(3本)を用意しました。また、櫓や大金床を設置するためには完全に吊り上げなければなりませんから、ハンマー上部の梁を補強する作業をしました。

 H鋼アングル設置に際して、大金床の来る部分を充分に填圧を掛けて、コンクリートを10cm程打ちました。後ろ側は砂利を敷き填圧を掛けて水平を取りました。H鋼を設置したら、まず水平をしっかり取る必要があります。熊公はここで失敗しました。その後コンクリートを後ろ側に厚く(8cm)、前側は薄く(5cm)程コンクリートで固定しました。固定用のボルト穴は『ライトボーダー』と言う道具をお隣の『埼玉の村の鍛冶屋』さんの会社からお借りしました。φ24mmの穴がいとも簡単に開けられる道具です。

 搬入に当たっては、絶対安全靴、軍手、ヘルメットは着用した方が良いです。また、万が一のことを考えて携帯電話をポケットに入れて作業した方が良いです。
 大金床は、一度吊り上げ、レール(2cm角の鉄パイプを使いました)120cm(2本2組)50cmの足場パイプの切れ端(3本)をコロとして置き、レールの上を移動させました。430kgでも、コロがあれば簡単に移動できました。ハンマー本体は三脚で吊り上げました。熊公は足の長さを2.45mに切りましたが、3mの方が良いです。高さがないと移動しずらいものです。また、足場パイプの先にはベースを取り付けました。430kgの金床を吊り上げても沈み込むことはありませんでした。

 大金床の下にはゴムシートを敷くと良いと『I』さんから聞きました。ただし、普通のゴムシートではなく、布が入っている耐油性の物で厚さ1cm位の物を用意するように言われました。随分さがした結果、リンクのページに載せた会社を見つけました。色々なゴムを販売していて、切り売りしてくださるので助かります。これを敷くことで金床が落ち着くと言うことでした。この作業は明日行い、完全にハンマーをH鋼アングルに固定します。

 次に電源です。モーターは3相200Vが能率良いわけで、『低圧電力』の契約をすることになりそうです。『従量電灯』の契約をしなくてすめばこちらの方が安く済むのですが・・・。そう言う契約は出来ないでしょうね・・・・。

 大体こんな状態でスプリングハンマーを設置することになりました。もし、今後ハンマーを入れようと言うことになった場合、熊公の経験をお伝えします。





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