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図書紹介:『ホーキング、宇宙と人間を語る』

  • 著者:スティーヴン・ホーキング、レナード・ムロディナウ、(訳)佐藤 勝彦  
  • 発行所:株式会社エクスナレッジ、ページ数:270ページ
    発行日:2011年1月5日第一刷、定価:1800円+税


 スティーヴン・ホーキングは21歳で筋委縮性側索硬化症という病気を発症したが、それと闘いながらオックスフォード大学、 ケンブリッジ大学で物理学と宇宙論を専攻、かつてニュートンが務めたというケンブリッジ大学ルーカス記念講座教授職を30年にわたって務めたという。 歩くことはもちろん、自由に動くこともしゃべることもできない身体的不自由さの中で知的関心事を追求し続け、現在も精力的に研究を行っている。 本書の表紙の写真は, 2007年に米国で無重力体験を飛行を行ったときの写真のようである。このような本を書いたり講演をしたり できていることはまさに驚異であり、奇跡であり、多くの人々に勇気と希望を与えていると思う。
 本書によれば、本書の目的は、私たちが住む宇宙の存在に関するいくつかの疑問に対して「科学における最近の発見と理論の進歩から示唆される答えを示す」ことである。 これらの疑問は多くの人が持っており、私もずっと持ち続けていたので、どの程度理解できるか不安を持ちつつ、一方で期待をもって読んだ。 細かい点では理解できない部分が多いが、歴史的な経緯をたどりながら説明されているので何とか我慢しながら最後まで読みとおすことができた。 読んだ感想としては、最近の量子物理学や天文学などの発展により、一歩進展した宇宙像ができつつあるということ、そしてその概要を漠然とであるが 感じることができたことである。部分的であるが、興味を持った内容の一部を下記に示す。
1.哲学は現代の科学の進歩、特に物理学の進歩についていくことができなくなっている。
2.宇宙は11次元であり、我々の宇宙では3次元+時間の4次元以外は内部空間として丸め込まれていて見えない。生命の存在に適した空間の次元は3次元である。
3.現代的宇宙論におけるさまざまな理論の帰結は、私たちがいる宇宙はたくさんある宇宙のひとつであるといえる。
ホーキング博士が今後も研究を続けられることを祈ります。
(2011年1月1日)
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