G-FRONT関西
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クリスマス企画の開催にあたって
運動・研究部部長:暮石 一浩


日増しに冬の色が濃くなってきた今日この頃ですが、寒さと一緒に当会のクリスマス企画も近づいてきました。今年は、京都精華大学准教授の野口勝三さんを招いて「ジェンダーをめぐる難問(アポリア)」というタイトルで講演をしていただくわけですが、それに先立ちまして、少しご案内をさせていただこうと思います。

昨年は、ジェンダーを問い直すというコンセプトの本が何冊か続けて出版されました。わたしもその中の一冊『バックラッシュ なぜジェンダーフリーは叩かれたのか?』(双風舎)という本を読み始め、世の中ではわたしたちが思っている以上にジェンダーフリーに対するバッシングが起こっていること、そして一方ではジェンダーフリー推進派のなかにも人々の共感を得られないような理想論を振り回す人もいるという現実があることを知り、その双方を批判的に検証して新たなヴィジョンを模索していく必要がある、と思ったのです。

現在、わたしたちは「ジェンダー」について考えるとき、ポスト・モダンという視点から、そして性別二元制に対する批判とその超克という観点からそれを語るのが「常識」となっています。それは、強制異性愛主義からのリベレーションを唱え始めたわたしたちの重要な立脚点であったように思います。ところが、それが「常識」となり、ひとつの視座が確立されたとき、その立脚点が新たなパラダイムとしてわたしたちを覆っているのではないか、とわたしは考えるようになりました。

この思いがきっかけとなり、今年の企画の骨子が決まりました。そして、この問題に最もふさわしい講師として野口勝三さんの名前が挙がったわけです。

私事ですが、わたしが野口さんと初めて出会ったのは、1994年に東京で行われた「第1回 レズビアン・ゲイ・パレード」の折りであったと記憶しています。彼は当時名古屋を中心に活動していた「YOU gikai」に所属していて、当会と合同で開催された合宿にも参加していました。また、伏見憲明さんの招きで一緒に埼玉のお宅にお邪魔したり、また、伏見さんの別荘での集まりに参加したりといった交友を重ねてきました。野口さんは元々理系の方ですが、こうした伏見さんとの縁で文転を果たし、現在は京都精華大学で哲学の教鞭を執っておられます(野口さんのお考えについては、伏見さんの近著『欲望問題』でも紹介されていますので、そちらも併せてお読みになることをお勧めします)。

当会が結成当初の名称を「ゲイ・フロント関西」と言ったように、わたしたちはアイデンティティに拘るところからその歩みを始めてきました。そして2002年、会は名称を「G−FRONT関西」と改称しました。これは脱アイデンティティのひとつの試みであったとわたしは認識しています。そして今、先述のように脱アイデンティティの立脚点としてきた「常識」をもう一度問い直そうとしています。「問い直す」ということは、アイデンティティへの回帰、あるいは元来た道へと引き返すということではありません。それによってわたしたちの歴史を検証し、その積み重ねの上に新たな歩みを重ねていくこととしたいのです。この作業を「止揚」とわたしは呼びたいと思いますが、この試みが成功するか否かは、この会に集うわたしたちのこれからの姿勢にかかわっているのでしょう。

今回の講演会がそのための嚆矢となることを願って、本企画へのご案内とさせていただきます。一人でも多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

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