「持ち込まれる産廃ゴミの有害性」は認めながら
事業団の言い分そのままの決定をくだした
判決文の問題点


問題点その1.湧水はあるか、ないか

 「ふじみ湖」の水が、「湧水によるもの」なのか、「ただの雨水のたまり」なのかが一番大きな争点です。
 採石をしていた当時の人の証言でも、「湧水が多く、排水をしながら採石をしていた」と言っている事実。1〜2ヶ月雨が降らなくても、水が出てくる事実。何よりも、あのきれいに澄んだ水。これがただの「雨水のたまったもの」であるというのでしょうか。 
 しかし、判決文は、「処分場内に少量の地下水があるとしても、地盤を不安定化させ、遮水工に影響を与えるような豊富な湧水・地下水があるとは認めがたい」といっているのです。

問題点その2.遮水シートの安全性
  地面に遮水シートを敷くことで、本当に「汚水が地中にしみこむこと」を防げるかどうかという問題です。
 原告側は、東京・日の出町のシート破損例など、全国にたくさんある具体例を指摘しました。また、なによりも、30〜40年も破損せずにあるシートは、どこにもないのです。メーカーの「数10年安全」というのは、「実験で試されたもの」ではありません。 
 しかし、判決文は、メーカーも言い分を鵜呑みにして、「原告の主張は、抽象的な可能性等を指摘するにとどまる」と言っています。 
 そして、最後に、「遮水シートとして採用することが不可能なほど危険性が高いとまで認めることができない」と、結論づけているのです。
問題点その3.埋立地盤の安定性
 ふじみ湖の水を抜いたあと、砕石を埋めて、水抜き工事前の水面のレベルまで盛り立て造成をして、その上に廃棄物を埋め立てるのだから、地盤の安定性は大きな問題になります。
 判決文は、事業団の言い分をそのまま引用して、「不等沈下等はすることがないよう設計・施工する」のだから、安定性は「一応認めることができる」と結論づけています。
 しかし、県内国立大学の地質専門家は、「湖の水を抜いたあとに、廃棄物を埋めるのは、泥船の上にゴミを積むようなものだ」と、言っています。計算上では「不等沈下しないように設計」
しても、「このような大規模な経験はしていない」のです。
 地質の専門家は、「そもそも、このような無謀な計画はしないのです」と述べています。

問題点その4.溶融施設の安全性
 処分場の隣に、ガス化溶融炉といわれる施設ができます。ここから排出されるダイオキシン等の大気汚染も心配されます。
 原告側は、「ガス化溶融炉施設が、まだ実績が少ない新しい技術であり、全国あっちこっちで、トラブルが起きている」事実を指摘しました。
 判決文は、事業団、メーカーの説明のみを鵜呑みにし、「必ずしも、本件溶融施設において、事故が発生する可能性が高いともで認めることができない」と、結論づけているのです。

最後に
 以上みてきたように、この判決は、「廃棄物の危険性」だけは原告の言い分を認めていますが、あとの争点9つについては、事業団の言い分のままでの判決文です。
 私たちは、この仮処分判決文にはとうてい納得することはできません。
 以上の理由で、11月1日、水戸地方裁判所に本裁判を起こしました。
 笠間市民のみなさま、ならびに、茨城県内外のみなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

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