無名抄 その六


 高校弓士へのアドバイス(段級審査について・その参)

 ※但し、対象は岩手県で無指定〜弐段を受審する高校生です。


段級審査についてのアドバイスの最後に、
学科試験についてと、その他いろいろについて、書き連ねたいと思います。
しかし、今までのを全部気にしていたら、胃が痛くなりそうですね〜
自分が特に気をつけたいとこだけ読むのも良いし、
小姑の小言と読み流してもいいですよ(^_^) 読んでもらえるだけで嬉しいです。

学科篇。

1 ちゃんと勉強してから受験しましょう。
「先輩が、『学科で落ちるやつなんていないからテキトーに書け』って言ってたよ〜」
という声を聞いたことがありますが、それは大変な間違いです。
学科試験は、学科担当の審査員の先生が、1枚1枚丁寧に読んで点数をつけます。
60点以下だと審議に回され、不合格になることもあると聞いています。
実際、私は「学科でだめだったのでは」と思われる不合格を一度経験しました。
その時は「これだ」と思って長々と解答を書いたのですが、試験後に教本を見ると…
出題されたことと私が答えと思って書いた内容は「まったく違う!」「かすりもしてない!」
案の定不合格でした(T_T) 実技も良くなかったんですけどもね。お恥ずかしい〜。
このようなことにならないように、皆さんはちゃんと勉強してから学科に挑んで下さい。
全日本弓道連盟の機関誌
『弓道』に、全国の学科の模範解答が掲載されますので、
参考にするとよいと思います。

2 学科問題は、前もって渡されるプリントから出題されます。
これも、県によっていろいろ違うようですが、
岩手県では1年ごとに、「無指定」〜「五段」の受審者のために、
「この中から出題します」という段ごとの学科問題集をプリントにまとめて発表
しています。
「無指定」を受審する皆さんは、「無指定の学科問題」を勉強すればいいし、
「初段」受審の皆さんは、「初段の学科問題」を完璧に答えられるようにしておけばいいのです。
プリントは、事前に渡されるはずなので、顧問の先生に聞いてみて下さい。
ちなみに、私達が高校生の頃は、このような親切なプリントはありませんでした。

3 読める字で、時間が許すかぎり、書けるだけ書く。
米粒のような字、乱雑な字などで、採点する先生を困らせないようにしましょう。
弓道用語には、普段使わない難しい漢字がけっこうあります。
ひととおり読めるようにし、書く場合は誤字脱字に注意しましょう。
また、自分の考えを述べる問題の回答が「3行だけ」とか短かすぎると、
採点しようにも点数がつけられなくて非常に困るそうです。
時間も用紙もたっぷりありますので、とにかく一生懸命、考えるところを常識的に書いて下さい。

4 問題を良く読む。
落ちついて問題を良く読みましょう。
勘違いして、問題の求める答えからかけ離れた事を書いてしまってはもったいないです。

5 受験番号、記名を忘れずに。
学科試験の用紙には受験番号を書く欄があるので、自分の番号を覚えておきましょう。
解答を書くより、まず先に自分の名前をはっきりと書きましょう。

その他いろいろ篇。

1 会場に着いたら、まず受付へ!
出欠確認、氏名の確認のため、必ず受付で「学校名」「何段を受ける」「名前」を言って下さい。
貼り出してある立順表の氏名に間違いがある場合は、その事を受付に申し出て下さい。
大人数の場合は、代表者が責任をもって「○○高校、全員います」と報告してもいいと思います。
(↑
一関会場の場合です。受審会場によって異なるかもしれませんので、御注意下さい。)
会場には余裕をもって到着し、素早く受付を済ませてから開会式に参加しましょう。

2 弓具の取り違え、置き忘れはありませんか?
矢・替え弦を間違えて持ち帰る人、置き忘れて帰ってしまう人が、ほぼ毎回います。

大勢の受審者が集まるので、似たような矢も多く、うっかり間違えるのです。
「黒のシャフト、青い巻糸の矢を間違えて持って行った人はいませんか?」など、
控室で問い合わせのアナウンスがあったら、
自信があっても各校矢筒を開けて必ず確認して下さい。
学校に帰ってから知らない矢が一本出てきたら、武道館に連絡したり届けたり…余計な手間がかかります。
自分のだと思って持ち帰った弦巻に伸弦が入っていたら…試合中の弦切れで初めてそれに気づいたら…?
ゆがけも矢も弦も、皆さん専用の、かけがえのない道具です。帰る前に何度も確認して下さい。
道具は、自分の物も他人の物も本当に大事にしましょう。
かくいう私は試合でよく弦巻を置き忘れてしまいます。
一つなくしてしまい、本当にがっかりしました…気をつけます。

3 「無指定」と「初段」は違います。
受付をしていると、「初段を受ける○○です」と言われて名簿を探すと初段には記載が無い。
無指定のほうにあって、本人に確認する、ということが何度かありました。
「無指定受審」と「初段受審」は違います。
「無指定」は、初めて審査を受ける方が、通常「一級」か「初段」かを判定してもらう審査です。
「初段」は、「無指定」で「一級」を認許された方が受審し、「初段」にふさわしいかどうか判定されます。
最初から「初段」を受けることはできません。何年生であろうと最初の審査は「無指定」なのです。
また、「無指定を受けて初段に合格した」場合には、最終的に(無指定の審査料を含めて)
「初段を受けて初段に合格した」のと同じ審査料・登録料を払うことになるので、御注意願います。

4 むやみに外出しないこと。
実技試験の進行時間の目安が、紙に書いて貼り出されます。
でも、その時間どおりに審査が進むとは限りません。
1時間も早まるという場合もあり得るので、むやみに外出しないことをお勧めします。
控えに呼びだされる人の番号をチェックして、自分の立が早まっていても慌てないよう、
余裕をもって準備しておきましょう。

5 講評を聞いて今後の練習の糧にしましょう。
もしも残念ながら不合格だったら、残念がって終わりにしないことです。
審査員の先生をつかまえて、「○段を受けた○○ですが、どこが良くなかったか教えていただきたいのです」
と、講評を伺うのが、今後の自分のため。明日からどこを注意したらいいか知りましょう。
受審者ひとりひとりの射の評をメモされているので、ほとんどの先生は教えて下さるはずです。
大急ぎで帰り支度をしている先生やトイレに行こうとしている先生は避けましょうね。

 ◆ ◆ ◆

以上が、岩手の高校弓士の皆さんに対する審査関連のアドバイスです。
記載に間違いは無いよう注意したつもりですが、あった場合はすぐに訂正し、更新します。
それでは、皆さんの御健闘を心からお祈りします!


2002.6.25 観

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