刈り込まれた柏の木
ヘルマン・ヘッセ
V・ミヒェルス 岡田朝雄訳
庭仕事の楽しみ
草思社
・・・・・・以下引用
     刈り込まれた柏の木

     樹よなんとおまえは刈り込まれてしまったことか
     なんと見なれぬ奇妙な姿で立っていることか!
     おまえの心に反抗と意志のほかは何も残らぬほど
     なんとおまえは幾百回となく苦しんだことだろう!
     私もおまえと同じだ切り取られ
     責めさいなまれた人生を放棄せず
     悩まされ通しの惨めな状態から
     毎日新たに額を光にあてている。

     私の心の中の柔らかく優しかったものを
     世間は罵倒して殺してしまった
     だが私の本質は破壊し得ない
     私は満足し宥められた
     幾百回となく切り刻まれた枝から
     我慢強く新しい葉を萌え出させた
     そしてどんな苦しみにも抵抗して
     私はこの狂った世界に恋し続けている。
・・・・・・引用終わり
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