和胡西曹示顧賊曹(胡西曹(こせいしょう)に和し顧賊曹(こぞくしょう)に示す)
西
蕤賓(すいひん) 五月の(うち)
清朝(せいちょう) 南颸 (なんし)起こる。
()せず ()(おそ)からず
飄飄(ひょうひょう)として我が衣を吹く。
重なれる雲は白日(はくじつ)(おお)
(しず)かなる雨は(ふん)として微微(びび)たり。
目を(うつ)して西園(せいえん)()れば
曄曄(ようよう)として紫葵栄(しきさか)


大意
時はまさに5月、朝方、南の方から涼しい風が吹き始めた。
その風ははやくもなく遅くもなくて、舞うように、わたしの衣を吹き上げた。
やがて厚い雲が太陽をさえぎり、雨がしめやかに降り始めた
西の畑に視線を移せば、そこには紫葵の花があでやかに咲き誇っている。
……
このあとに花は咲いているけどしおれる時がくる。
わたしも時期を逸しまいと願う。
秋の収穫を期待していたが、当てがはずれた。
くよくよ悲しんでいる。
と続きます。

さて、「紫葵」ですが「葵」はひまわり、あおい、或いはちさ、せりなどの意に用いられる。「紫葵」は不明。と解説してあります。

小学館の辞典であさらいです。
あおい(あふひ)【葵】

1 アオイ科の植物、タチアオイ、フユアオイ、ゼニアオイ、トロロアオイ、モミジアオイなどの俗称。
2 「ふたばあおい(二葉葵)」のこと。
3 「たちあおい(立葵)」のこと。現在「あおい」といえば、この植物をさす。
《季・夏》
4 「かんあおい(寒葵)」のこと。
5 「てんじくあおい(天竺葵)」のこと。
6 襲(かさね)の色目の名。表は薄青、裏は薄紫。陰暦四月に着用する。
7 葵の葉を図案化した模様。
8 (「青いもの」の略か)蕎麦(そば)をいう女房詞。
9 紋所の名。
10 「あおいまつり(葵祭)」の略。
11 遊女が金銭をいう。

以上が辞典の説明です。
関係のない部分がありますが、わたくしの再確認の意味で記載しました。
肝心な事を忘れていました。
アオイ科の植物で「木」であればフヨウ属のムクゲ、フヨウ、ハマボウですが
この詩の「紫葵」は木とは違うように思えます。
ひとつの理由は5月に咲くにはすこし早いように感じますし西の畑ですから
やっぱり野菜を植えてあるんじゃないでしょうか?
ちょっと夢がないように思えますが。



ホームに戻る 文学と樹木に戻る