HALF AND HALF JOURNAL
RIVER UTOPIA
HHJ
法律から見る広告物
☆屋外広告物法は目的として第1条にこう述べる。〈この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所及び方法並びに屋外広告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。〉第4条Aでは、都道府県が条例で広告物の表示とその掲出物の設置を禁止制限することができる対象を規定している。〈1橋梁。2街路樹及び路傍樹。3銅像及び記念碑。4前各号に掲げるものの外当該都道府県がとくに指定する物件。〉 田代町山瀬ダムのすぐ下流に、大石渡と長谷地の集落の間に新しく架けられた橋がある。その匂欄にはパネルが2枚取り付けられ、1枚は〈ハングの里〉という文字が入ったハング・グライダーのレリーフで、もう1枚は田代町名産のたけのこのレリーフ。町起こしのためだろうと、そういう宣伝広告の仕方は法律に触れる。ところで、秋田県は条例でどのように定めているか、と屋外広告物条例を読んでみると、第3条で橋に広告物を表示することを禁止するが、その適用外として第6条は国と地方自治体が自己の管理する土地または物件に表示・設置するのは構わないと定める。これが国の法律から逸脱する規定であることは言うまでもない。秋田県は速やかに国の法律に適合するよう条例を改正する必要があるだろう。リヴァー・ユートピアは、県条例の考え方が民主主義に反すると非難したい。県議会と行政その他関係者は、橋に広告物を付けるべきでない理由を理解しようと努めるべきである。それが近年流行の橋の上の郷土宣伝広告物を除去するここに繋がると思う。 ☆ HHJ 2000.12 VOL.77 リヴァー・ユートピア |
大館橋の不正広告物 ☆秋田県屋外広告物条例が国の屋外広告物法に反するのではないかという質問書を総務部長宛てに送った。1月26日付けの建設交通部都市計画課大嶋直樹課長の回答書はこうだ。〈屋外広告物法は、屋外広告物行政における美観風致の維持と公衆に対する危害の防止の観点に限定し、規制の基準を定めた法律であり、実際の屋外公告物規制は、各都道府県が屋外広告物法に基づき条例およぴこれに基づく規則等を定めて独自に行なっております。/本県の条例では、橋梁に広告物が無秩序に表示されることは美観風致の観点から好ましくないこと、また、広告物があることにより交通上見通しの不良等を生じ、このため公衆に危害を与えることが予想されることから広告物を掲出してはならない物件としております。/しかしながら、「国又は地方公共団体が公共的目的をもって自己の管理する土地又は物件に表示する広告物」については、条例において禁止地域、禁止物件の規定を適用除外としております。これは、国又は地方公共団体が当該広告物が美観風致の向上に資するものであるかどうか、また、公衆に対する危害を与える可能性があるかないかについて個別に判断できることから規定しているものであります。したがって、何ら法の趣旨を逸脱するものではなく、また、条例が直ちに法に抵触する規定であるとは言えないものと考えております。/次に、適用除外は条例制定時から規定されていたものであり、県議会で議決されたのは昭和49年3月原龍一議長の時です。〉 適用除外の法的根拠について質問したが、答えない。適用除外の理由は広告物の妥当牲を〈個別に判断できる〉とだけ記す。一般業者などの広告物でも申請段階で個別に判断できるので、これは理由にならない。そもそも広告物は人の意識を引き寄せてメッセージを記憶させることを目的とする。国の法律は国や地方自治体が自由にできるとは規定していないどころか、空間の特殊性と広告物の対立的関係を重く見て公権力に対しても制限的である。行政と一般業者の間に区別を設けていない。大館橋を例に取れば、下流側の勾欄のパネルと上流側の大文字マークを観賞しながら安全運転に気をつけてくれ、脇見運転する車に注意して通行してくれ、というやり方は精神分裂症的である。これは秋田県人の論理なのかどうか…いずれにしても昭和49年の制定と言えば、自家用車が普及した頃で橋と直接触れ合う機会が少なくなった時代だろう。そして、幸運なことに小畑元市長の伯父である小畑勇二郎が県知事を勤めていた。 大建設と重工業の夢の残骸 長木川上流社会特派員 ダレナニ ☆ HHJ 2001.2.14
VOL.78 MODE ACTUEL MODE ACTUELLE |
屋外広告物と美観について 大館橋の杉林パネル ☆屋外広告物条例に関する疑問について、秋田県建設交通部は、「国または地方公共団体が公共的目的をもって自己の管理する土地または物件に表示する広告物」については県条例において禁止地域と禁止物件の規定を適用除外にしていることは国の法律の趣旨を逸脱するものではない、と2001年1月回答した。その理由は、広告物が美観風致の向上に役立つかどうか、公衆への危害を与える可能性があるかないか、個別に判断できるから。しかし、国の屋外広告物法は国と地方自治体が自由にできると規定していないどころか、空間の特殊性と広告物の対立的な関係を重視して公権力に対しても制限的で、行政と民間業者を区別しない。国の法律の方が経験的に現実をよく考えた民主的な内容である。県条例は役人のセンスと判断能力に絶対的な価値を置く封建主義である。逸脱した部分は率直に削るべきだろう。大館市はその回答に対してどう考えるか、市民部生活環境課(丸岡信雄課長)に去年5月質問書を出した。11月の回答によれば、秋田県の考えに異論はない。行政機関が自由に決めていいかどうか、については〈その施設等を管理する行政機関の裁量権の範疇にある〉が、多数の住民等からの苦情申し立てなどがあった場合は検討されるべきだ。大館市環境保全条例が定める美観風致とはどういうことか、については、〈社会一般で受け入れられている常識的な見地での考え方による〉もので、苦情や反対意見などが寄せられなければ美観風致を害するものではないと考える。 市の環境保全条例は、リサイクル事業の拡大を契機に制定された。任命された環境美化推進員がゴミを含めた環境の保全活動を行なうという条項があるが、施行以来なぜか死文化している。市議会は毎月2万円の勉強手当てをもらったために、責任の観念をなくして関心も示さない。HHJはリヴァー・ユートピア憲章にあるように美観向上審議会の設置を提案する。これは行政と地域住民と芸術関係者によって構成され、地域の自然と環境の美観を人々の美感とともに向上させる目的である。言うまでもなく、どんな広告物でも検査のターゲットにする。
☆ HHJ 2002.7 VOL.84
リヴァー・ユートピア |
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