HHJ
NHK放火狂事件 : 関係者はみんな精神鑑定を ☆NHK大津支局の元記者、放火狂の疑惑の渦につき落とされた笠松裕史はどうなったか? 大津地検は3月31日、放火と放火未遂で起訴した。笠松被告は、12月末から3か月間裁判にかけられかどうか調べるためにいわゆる精神鑑定を受けていたが、その結果、〈責任能力がある〉と地検は判断した〔1〕。 12件の連続放火のうち、地検が有罪を立証できる確信を持ったのはわずか2件である。去年5月15日深夜、JR大津駅の近くで起きた民家の全焼。6月5日未明、実家に静養のため帰った大阪府岸和田市での放火未遂。あとの10件は政治的な問題かもしれない。無名の市民たちの反応がNHKの人気ドラマのようにシナリオを変える可能性はこれからも十分ある。 特派員が疑問に思うのは、 1
どの不審火でも目撃証言がない。都市の中心部で、しかも、警戒が強まったことを考えると、不思議なことである。 2
笠松記者に結びつけられる客観的な証拠がない。 3
岸和田市での放火は、捜査員が張り込んで尾行していたときに起きたが、現行犯逮捕ではないので、捜査員は放火を目撃していないと考えられる。ダンボールに火がついたとき、捜査員はどこにいたのか?カメラを持たかったのは怠慢ではないか? 岸和田市の事件については、毎日新聞が非常に意味ありげな記事を書いた〔2〕。〈岸和田市の放火未遂は笠松容疑者をマークしていた捜査員が極秘裏に消していたもので、この件を指摘され、自供を始めたという。岸和田市の放火は、地元消防も火災として認知していない容疑者と捜査本部だけの“秘密”で、この1件について聴取するのは5日が初めてだった。〉 これを信用すれば、警察はNHK記者を現行犯で緊急逮捕しなければならない事態だった。そうしなかった理由は、記者は放火していなかった、か、捜査員がみずから放火して消した、か、11月5日まで逮捕を遅延させる政治的な理由があった、か、だろう。 警察にばかり疑惑の目を向けると、あとがこわいので、他のストーリーを想像してみよう。つまり、この連続放火事件は行政機関のある種の不正事件や交通機関の事故のように関係者らが目的を知らされずに部分品を作った〈他人のための死刑台〉だったかもしれない。複数の誰かが建物などに火をつけて消すように国際テロ組織から脅迫されて、仕方なく実行したというきわめて暗い演劇である。 ☆ D 長木川上流社会特派員 ダレナニ 1 共同通信 2006年 3月31日 (金) 19:36 2 毎日新聞 11月7日15時4分更新 深尾昭寛、高橋隆輔、蒔田備憲 |
Updated 2006.3.25 イスラエルとパレスチナ: テロ・シアターを支える根源的な不信 ☆1月25日パレスチナの選挙でハマスが勝利した。自爆テロでイスラエル国民を恐怖に陥れた過激派がパレスチナ自治政府の主導権を握ったことに、イスラエルと世界中の理性的な人々は呆然とした。アメリカとEUはハマスをテロ組織に分類している。ハマスはイスラエルの壊滅を組織の憲法にしている。良好な対話が成立するとは思われない。ハマスは、プーチン(Vladimir Poutine)大統領に招かれて最初の外交活動をロシアで行なったが、そこでもイスラエル壊滅の宣伝をやめなかった。イスラエルとパレスチナの紛争はなぜ起きたか、なぜ終わりがないのか?〈スパイと泥棒らは我々の土地を盗んだ〉と責任者の一人ザハール(Mahmoud Zahar)は言う〔1〕。 しかし、深層を探ってみると、第2次世界大戦に行き当たる。ユダヤ人はナチス・ドイツの強制収容所に送り込まれた一方、アメリカで原子爆弾の開発製造を懸命に推進していた。中枢の科学者はリーダーのオッペンハイマー(J. Robert Oppenheimer)以下ユダヤ系ばかりだった。完成した2個の原子爆弾は鉤十字の国に向かわないで、皮肉なことにそれとよく似た仏教の卍が支配する国に落ちた。人類破滅の兵器は、どうすれば人類が平和に生存できるかという問題を突きつけたが、科学的な知性を忌み嫌う感情はどの地域でも根強い。これが真実の一面だとすれば、先進国は安全な地球を作るための信頼できる見取り図を砂漠の民にも示さなければならないのではないか? ☆ Kome 1 Les Palestiniens installent le Hamas
au pouvoir [27
janvier 2006] Le Figaro After Hamas Victory, Israel's Likely Course By GREG MYRE Published: January 27, 2006 NEW YORK TIMES MOSCOU (AFP) Le Hamas ne reconnaîtra pas Israël (Avec AFP) [29 janvier 2006] «les espions et les voleurs (les
Israéliens), ceux qui nous ont volé notre terre, doivent nous craindre», a
dit Mahmoud Zahar. |
Updated 2006.2.25 極東のアミダクジ ・モード ☆アメリカは去年9月北朝鮮と違法な活動を行なっているという理由でマカオのバンコ・デルタ・アジア銀行を〈マネーロンダリングの主要懸念先〉に指定して、アメリカの金融機関と取り引きを禁じた。香港金融界の大物が所有する同銀行は、北朝鮮との取引停止を発表した。北朝鮮の政府機関と企業の口座は中国当局によって閉鎖され、北朝鮮は解除を要求して、次の6か国協議を拒否した〔1〕。 〈マカオは北朝鮮にとって海外重要拠点だ。また金正日総書記の私生活にかかる資金調達企業とされる朝光貿易もマカオにある。韓国の金大中前大統領の北朝鮮への秘密送金もマカオの銀行口座が使われた。とくにニセ米ドルスーパーKの流通拠点として知られ、今回米国が制裁措置を取った「バンコ・デルタ・アジア」は北朝鮮と二十年以上の取引があり、北朝鮮製の偽造紙幣の受け入れや流通にかかわった疑いがもたれている。〉 アメリカ議会調査局のラファエル・パール研究員は〈北朝鮮が偽造紙幤など、違法行為で手にする年間収入が、外貨収入全体の40%に達すると推定した。〉 偽造製品は偽造国家を作る。共産主義の北朝鮮は、偽造製品を輸出する犯罪的な経済構造を将来のために選び取る理由があったのか? とはいえ、偽造はタバコにも及んでいる。タバコ・メーカーのフィリップ・モリスが各国の企業と合同でアメリカ政府に提出した報告書によると、北朝鮮は偽ブランドのタバコ製造で、年間8000万ドルから1億6000万ドル(約187億円)の外貨収入をかせぎ、この額は北朝鮮の合法な輸出総額の8%から16%に当たるという。製造能力は年間20億箱以上にのぼる〔2〕。市場はアメリカと例によって東アジアである。特にアメリカではこの数年来北朝鮮製造の偽のマールボロが細菌のように猛烈な勢いで蔓延した。 日本での実態は明らかでない。しかし、マイルド・セブンやマール・ボロなどの偽造製品は自動販売機に入っていないと安心できるような国ではない。喫煙者なら、思い当たることがある。 アメリカは新しい金融制裁を準備している。この措置は、朝鮮日報によれば、〈北朝鮮と取り引きするすべての金融機関は、米国とは取り引きできない〉という内容で、去年6月と10月に発表されたアメリカ合衆国内の北朝鮮企業に対する資産凍結令と同じ大統領行政命令である。これが発効すれば、〈北朝鮮の対外取り引きは全面的な打撃を受けることが考えられる。すでに国際銀行界の中心地であるスイスのクレディ・スイス銀行が最近、北朝鮮と新規取り引きを中断すると発表した。〉 金融制裁は、北朝鮮と韓国の一体化をますます強めるだろう。政治体制の異なる二つの政府は国際社会における外交と経済という重大な利益のためでしかない。これは狡猾な連合だが、何らかの悪い目的のためだと仮定すれば、自然な適合である。この生態を簡潔に説明するのは難しいが、アミダクジ遊びに似たところがある。特派員が入口で〈ソウル〉という文字を選んで垂直線を辿る、すると、次から次と曲がり角が待ち、そこを曲がって通らざるをえない。到着地点は、〈韓国の首都〉ではない。 本来、このアミダクジ・モードはある恐怖から自衛するための内部的な分節である。構造改革である。敗戦後の日本でも、アメリカの占領軍に対して裏側でそういう行動を取ったはずだ。あきれた認識だといきどおる人は、HHJにそう考えさせた〈行政機関〉に文句を言ってほしい。 ☆ D 1朝鮮日報 2006年01月28日 産経 2005年12月 7日 (水) 産経 2005年12月14日 (水) 2 産経 1月29日 |
Updated
2006.2.5 イランの核計画: 国の存亡を賭ける愚かさ ☆国連の安全保障常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)とドイツは、1月30日、イランの核プログラムを安全保障理事会に付託する共同声明を出した。制裁を許す国際原子力機関(AIEA l'Agence internationale de l'énergie atomique)の条文へのレフェランス(参照の指示)を削ることをロシアが要求して受け入れられたので、中国も賛成して、拒否権を持つ5大国の合意を見た。安保理への付託は、AIEA議長エル・バラダイ(ElBaradei)が3月6日公表するイランで進行中の査察の報告を待つという〔1,2,3〕。 2月1日、イランのアフマディネヤド(M .Ahmadinejad)大統領は、核大国を〈藁の勢力〉と呼んで、屈服しないと挑戦的に語った。核問題の交渉責任者ラリジャニ(Ali Larijani)は、この地域での列強の利益が危険にさらされると警告した〔4〕。〈イラン人の国家的な誇りをもてあそぶな。〉しかし、イランは1月ウラン濃縮に着手している〔1〕。 その誇りは国の存亡を賭けるほど大事なものなのか?アジアの端で生きる民主的な一般市民には、理解できない。しかし、原子力をイスラムの神と同列に置くような政治なら、異質な文化を持つ外国にとって常に恐怖である。人権意識がないどころか、人間存在を軽視している。これは、言葉と外交を駆け引きにすぎないと考えることの土台にある。 ☆ D 1
Iran : l'AIEA transmet le dossier à l'ONU Maurin Picard [02 février 2006] Le Figaro 1
Iran : les «cinq grands» veulent saisir le Conseil de sécurité (Avec AFP) [31 janvier 2006] Le Figaro 3 Conseil
de sécurité saisi sur l'Iran 4 TEHERAN (AFP) 1 Février 2006 19h19 Le président iranien
ultraconservateur, Mahmoud Ahmadinejad, a défié les puissances nucléaires de
l'Onu mercredi, les qualifiant de "puissances de paille" devant
lesquelles l'Iran "ne s'inclinera pas" sur son dossier nucléaire. |
Updated 2006.1.23 フランスの核攻撃が現実的になるとき ☆フランスのシラク(Jacque
Chirac)大統領は、1月19日ブルターニュ半島の軍港ブレスの沖にあるロング島の核兵器オペレーション基地を訪れて、核攻撃に頼ることがありうると告げた。もし死活的な利益が脅かされたら、地域勢力を標的にして〔1〕。 グリオ記者の報告は荘重な響きがある。〈憲法は国家の最高責任者を軍の最高責任者にする。この名目において、彼は、ただ彼だけが、原子力兵器の使用を決定する権力を持つ。〔2〕〉 シラク大統領は語った。〈現在の不安と未来の不確定さに直面して、核抑止力は我々の安全の基礎的な保証(ギャランティ)でありつづけている。〉しかし、冷戦が終わったあとの〈恒常的な進化の環境では〉、新しい脅威に対抗するためには1964年の核ドクトリンは現実に合うようにしなければならない〔2〕。それで、《死活的な利益》という観念に関して、重大な戦略的適合を決定した。つまり、テロリスムの手段に訴えるおそれがある国あるいは大量破壊兵器や核兵器を採り入れた地域勢力による可能的な攻撃に対する反撃である。 悪の枢軸と国際テロ組織との新しい戦争が終局に近づきつつあるとき、フランスが核兵器使用の概念を現実に合わせたのは状況の深刻さをうかがわせる。言うまでもなく、イランがミサイルをヨーロッパの空にぶら下げながら核開発の権利を主張するからである。それは可能的な攻撃と見なされる性質に発展する危険がある、とフランス政府は判断したのだろう。最後通牒的な警戒態勢のように思える。もうひとつの理由は、国際テロリスムは北朝鮮の例が示したとおりシャンタージュ(ゆすり)で裏金を稼ぐまくるという犯罪的な核プログラムを放棄しないことである。金と品物と食糧どころか、国と国民までも奪ってしまう異常な国際的活動に対抗するには法的な手段では限界がある。 イランの核開発計画は、安全保障理事会への付託が議論の焦点となっている。アメリカのライス(Condoreza
Rice)国務長官は18日記者団に向かって〈イランと話すことはない〉と語り、ハビエル・ソラナ(Javier
Solana)EU共通外交安全保障上級代表は〈新たなことがなければ交渉には意味がない〉と絶望的なトーンを響かせた〔3〕。国連による制裁とイランの強硬姿勢を考えると、やはり戦争は避けられないのではないか?ロシアと中国は経済的な利害がからむために付託に反対しているが、イラン指導部を説得する力はない。アメリカとEUがイランを制裁すれば、イランと連携する北朝鮮はどう動くか、極東地域の平和も色を失うだろう。 イラン、かつて〈世界の半分〉と自負した国では、21日〈ヨーロッパにある国の資産を東南アジアに移す〉と語った中央銀行総裁の発言が混乱を引き起こしている〔4〕。 日本では、18日ライブドアの粉飾決算疑惑でライブドア株の取り引き注文が暴発、東京証券取引所のシステムが処理能力を超える恐れが出て株取引を全面的にストップした〔5〕。 生命にかかわる環境の根源的な異変がどこかで起きると、生物は敏感に反応する。無責任な国でそんな変化に対応する方法が見つかれば、その日暮らしの国民は幸運である。 ☆ D 2
Chirac adapte la dissuasion aux nouvelles menaces Philippe Goulliaud [20
janvier 2006] Le Figaro 2
La Constitution fait du chef de l'Etat le chef des armées. A ce titre, c'est
lui, et lui seul, qui a le pouvoir de décider de l'emploi de l'arme atomique. «Face
aux inquiétudes du présent et aux incertitudes du futur, la dissuasion
nucléaire demeure la garantie fondamentale de notre sécurité», a-t-il déclaré. Mais dans «un environnement en constante évolution» après
la fin de la guerre froide, la doctrine doit être actualisée pour répondre
aux menaces nouvelles. 3 産経新聞 2006年 1月19日 (木) ワシントン=樫山幸夫 4
Téhéran retire ses devises d'Europe 5 TBSi 2006/01/18 |
Updated 2006.1.17 首相の靖国神社参拝 : 中国が切る孤立化のカードには勝てない ☆新年最初の重要ニュースは、中国と日本とアメリカの関係を斜めから立体的に浮き上がらせた。12月31日、アメリカ政府関係者が打ち明けたところによると、11月の京都会談で中国が批判する靖国神社参拝についてブッシュ(George W.
Bush)大統領が間接的に質問した。〈中国をどう見ているのか ?〔1〕〉小泉純一郎首相は〈心ならずも犠牲となった戦没者に哀悼を示すため〔2〕〉と参拝を正当化した。しかし、日本側はそれについて記者会見などで具体的に公表しないようにアメリカ政府に要請したという〔2〕。 その理由はごまかせない。アメリカ政府が靖国問題で小泉首相に味方しないとなれば、首相と自民公明連立政権と圧倒的多数の支持者が国内でばかりでなく国際社会でも信用を失ってしまうからである。言論の必要性を減少させることに役立った絶対的な保証人であるアメリカ、そのトップが日本人の現在に疑問を投げつけた意義は大きい。日本国民は、靖国神社参拝が国際的に一つの象徴として問題にされているという事実を虚心に認めなければならないだろう。侵略戦争全体の反省が欠けているからこそ、現在の国際的な孤立を招き、しかも、自縄自縛的な窮地に嵌まり込んでしまった。 〈やめるのも一つの方法だ〉とブッシュ大統領のアジア歴訪に同行したマイケル・グリーン(Michael
J. Green)前国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は、アメリカ政府内の参拝反対論を毎日新聞に語った。〈中国は歴史問題で日本を悪玉に仕立て、孤立化させるカードとして使っているが、日本にはこれに対抗する戦略が十分ではない。〉最近の日中の緊密な経済交流を考えると、孤立化は国際政治の領域に限られる。自由主義者には少しも迷惑なカードではない。とはいえ、中国が国内での自由と人権を先進国の水準にまで向上させる努力をしなければ、フー・ジンタオ(Hu
Jintao)政権の国際的な信頼も確かなものにはなりえない。11月20日北京でブッシュ大統領はそれを心配したが、フー主席は〈民主的な政治制度の発展においても、目を引く歴史的な進歩が行なわれている〉と答えた〔3〕。 羽織袴で軍人の霊に頭を垂れる小泉首相は、冗談でもそんなことは言えない。アメリカ政府が求めたアジア政策の見直しとは、それが意味する日本のリーダーの精神構造を変えろ、ということである。現実的には、靖国神社を廃止して、A級戦犯はともかく職業軍人と一般国民の兵士の霊を別々にまつる宗教と無関係な施設にする必要があるだろう。人間は死んでも人間以上の存在になるのではなく、その反対に人間以下の存在になるわけでもない、ということを確認するのは民主主義の環境づくりに効果的であり、国際社会でも理解されるにちがいない。もっとも、〈犠牲者〉が何の犠牲だったか、日本人がそこで明確に語れば。 ☆ H 1 毎日新聞 1月1日 平田崇浩、ワシントン及川正也 2 産経 2006年 1月 1日 (日) ワシントン=有元隆志 3 Bush Attends Beijing Church, Promoting
Religious Freedom By Peter Baker and Philip P. Pan Washington Post Staff Writers Sunday, November 20, 2005 |
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