入門その頃のバス

型式以外のバスの分類基準

バスの型式を調べるのは困難で、また、型式そのものにも意味があるわけではないということについて、書いてきました。
また、バスのシャーシメーカーや型式は、バスの外観から見分けることが困難な場合があるということも書いてきました。そんな分かりにくいバスというものは、理解しようとすること自体が難しく、趣味者を遠ざけてきたという要素がありました。
それならば、型式以外に、バスを分類するための基準としてふさわしいものがあるのかどうか、考えて見ましょう。

ボディの名前

①富士重工7E
7E

②西日本車体96MC
96MC

③川崎車体73SC
73SC

バスの型式は、基本的にはシャーシに付けられる名前です。バスが分かりにくい大きな要因が、見た目からシャーシを知るのが難しいと言う点なので、そもそもシャーシに付けられた名前であることからして、分かりにくいのは当然なのです。
それでは、誰しもが目にするボディそのものに名前はないのでしょうか。
実はあるようです。あるようですが、実際はないと同じです。
どういうことかと言うと、バスボディの名前がカタログに書いてあるわけではないし、銘板に書いてあるわけではないし、もちろんボディに表記されているわけでもありません。
どうやらバスボディの名前は、ボディメーカーの内部呼称であって、これが出回ったもののようです。どのようにして出回ったかは分かりませんが、バスに関する文献が発行されるようになり、その編集者や研究者が実際にメーカーなどに取材する中で判明し、その情報が流通することにより、あたかも当然の事実であるかのように広まったのだと思います。
もちろん、それは取材の結果であるなら事実であるわけですが、公式呼称なのか内部呼称なのか判然としないものもあり、現時点で愛好家が当然のように使っていることに、多少の違和感を感じてしまいます。

①富士重工「マキシオン」
マキシオン

②西日本車体「ネオロイヤル」
ネオロイヤル

③呉羽自工「サンシャインデッカー」
サンシャインデッカー

一部にボディメーカーがボディに対してつけた商品名があります。富士重工の「マキシオン」がいい例です。また、呉羽自工の「サンシャインデッカー」などというのもあります。ただし、これらについても、車両のどこかに書いてあるわけではありませんし、また「ハイデッカー」などの車格を表す名前との区別は曖昧です。

バスの愛称

①オバQ
オバQ

②ブルドッグ
ブルドッグ

③カマボコ
カマボコ

次に、正式名称でない愛称のような名前を見てゆきます。
①の「オバQ」は、1960〜70年代に製造された川崎丸型と呼ばれるボディで、正面の顔つきが漫画の「オバケのQ太郎」に似ていることからこう呼ばれます。メーカー側なのかユーザー(バス事業者)側なのかは分かりませんが、誰かが言い始めた通称があまりにも的を得ているため、広範囲に定着したのだと思われます。
②の「ブルドッグ」は1970〜80年代に製造された三菱の路線バスボディで、正面のライト周りのユニットの形状がブルドッグの口周りに似ていることからこう呼ばれます。この車両が主力だった時代にはバス趣味が普及しておらず、この呼び名も浸透していたとは言いがたいのですが、2000年代に入り、この車両が希少性を増した頃に趣味者の間から広がったものと思われます。
③の「カマボコ」は昭和40年代に製造されていた西日本車体の路線バスボディで、前面や後面のおでこ部分の切妻形状がカマボコに似ていることから、趣味者の間でこう呼ばれるようになりました。1978年にモデルチェンジされた後継車両についても「はんぺん」などと呼ぶ人がいるようです。
これらはいずれもボディスタイルの特徴から名付けられた愛称で、正式名称ではありません。また、浸透度にも差があり、バスの分類基準とするにはいささか不十分な気がします。

車両番号

①川崎鶴見臨港バス
車両番号

②神奈川中央交通
車両番号

③西武バス
車両番号

④川崎市交通局
車両番号

⑤西日本鉄道
車両番号

⑥西日本JRバス
車両番号

鉄道車両には形式というのがあって、製造番号とともにそれが車体に書かれています。「モハ201-33」とか「5012」とかいう番号です。鉄道車両を分類する場合は、通常この形式番号を使います。
バスの車体にもこのような番号が書いてある場合があります。これはバス事業者が独自につけている車番(または社番、局番などとも呼ばれる)で、その事業者内では一定のルールに基づいて付番されています。
ただ、バスの場合は鉄道車両と違ってユーザーであるバス事業者の独自設計による車両はほとんどなく、メーカーの設計したものをカスタマイズして購入しているため、鉄道車両のように事業者ごとの番号を分類基準とするのは適切ではありません。
多くの場合、これらの車番で、購入年、メーカー、用途、所属営業所などを表します。アルファベットや文字は所属営業所を示す例が多く、上の写真の川崎鶴見臨港バス、神奈川中央交通、川崎市交通局がそうです。数字は購入年を下1桁〜2桁で表したり、用途を3桁で表したりする例が多いようです。しかし、事業者によって桁数や分類法が違いますし、もちろん横断的な統一ルールなどはありません。

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80s岩手県のバス“その頃”